

子供の就学について不安がある方「ADHDの子供に合った小学校ってあるの?どんな選択肢があって、それぞれのメリット/デメリットを教えてほしい。就学に向けて準備した方が良いこと、注意点も知りたい」
こういった疑問、お悩みにお答えします。
✓本記事の内容
- ADHDの子供の小学校の4つの選択肢
- ADHDの子供の小学校の4つの選択肢のメリット/デメリット
- ADHDの子供の小学校で大切な4つの点
- ADHDの子供の小学校の注意点
- 小学校に向けて必要な5つの準備
「うちの子、小学校で生活で周りのみんなについていけるかな・・」
「ADHDの傾向がある子供に合った小学校の選択肢ってあるのかな・・」
就学を控えたお子さんの親であれば、誰でも心配になりますよね。
この記事を執筆している私は、療育指導員を10年以上しています。
これまでADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症スペクトラム(ASD)、学習障害(LD))など発達障害の子供の就学支援をしてきました。
本記事では、就学に不安がある方向けに、就学に向けた選択肢、それぞれのメリット/デメリット、準備すること、注意点などをまとめています。
療育指導員として、「これだけは押さえておきたい!」という内容に厳選しています。
本記事が参考になれば幸いです!
ADHDの子供の小学校の4つの選択肢

ADHDの子供の小学校の選択肢は4つあります。
- 1:普通学級(通常学級)
- 2:通級指導教室(通級)
- 3:特別支援学級(支援級)
- 4:特別支援学校
私の経験上、ADHDの子供の就学においては、1,2が一番多く、次に3になります。4は、ほとんどいないです。
もちろん、子供の特性によってですでの、絶対はありません。
それでは、1つずつみていきましょう。
1:普通学級(通常学級)

一般的なクラスのことで、1クラス40名以下で構成されています。
学校によっては、補助の先生がいるなど、体制に違いがあります。
2:通級指導教室(通級)

普通学級に在籍している状態で、週1~2回程度(1~2h)、通級指導教室に通って、個別で授業を受けることができます。
取り出し学習とも言われるもので、子供の苦手な科目などを中心に、個別で授業を受けることができます。
学校によって、学校内に設置されている場合(自校通級)と、近隣の学校に設置されている場合(他校通級)があります。
平成5年に、通級指導教室の設置が全国で制度化されたため、学校内で通級指導教室がある学校は増えている傾向にあります。
3:特別支援学級(支援級)

普通学級に在籍ではなく、籍も完全に、特別支援学級となり、別の教室(クラス)で授業を受け過ごします。
原則8名以下のクラスで、子供一人一人に合った課題を受けることができます。
情緒クラスと知的/身体障害のクラスに分かれていて、子供の特性に応じてクラスが変わります。
3-1:情緒クラス
知的/身体的な遅れはなく、多動/衝動性が高かったり、気持ちのコントロールのむずかしさから、奇声や癇癪などの行動を起こす子供が対象になります。
3-2:知的/身体障害クラス
知的、身体的な遅れがある子供が対象になります。医師の診断書、検査の数値など明確な特性が出ている場合になります。ちなみに設置している小学校の割合は76.6%、中学校は73.7%になります。
4:特別支援学校

知的/視覚/聴覚障害・肢体不自由・病弱のある子供が通う学校です。
以前は、養護学校、ろう学校、盲学校に分かれていましたが、2007年の法の改正により、「特別支援学校」に統一されました。
支援内容としては、通常学級と同様の教科を、子供の特性に合わせた支援で提供されます。
また子どもの自立に向けた授業(身辺自立、物/お金の管理などのライフスキル)もあります。
学校数が少ないため、近隣にない場合は、遠方への通学になる場合があります。
小学校が決まる時期

子供がさきほどの4つの選択肢のどれに進むかで変わっていきます。
小学校入学前に就学時健診(子供の健康と発達の検査)があります。
11月末までに受診が必要で、結果は翌年1月末に家庭に通知されます。
就学時健診の結果によって、就学相談の案内を受けます。
個別の配慮を必要とする特別支援が必要かどうか、親の意向の確認など、個別に時間をとります。
ADHDの子供の小学校の4つの選択肢のメリット/デメリット

ADHDの子供の4つの選択肢のメリット/デメリットを見ていきましょう。
1:通級指導教室(通級)

メリット
- 普通級の子との交流が多い
- 普通級の学習がメインで受けられる
- 苦手な部分だけ、普通級から離れて、個人のペース合わせて学ぶことができる。
デメリット
- 在籍基準があいまい
- 学校によっては、学校内になく、遠方まで通わないといけない
- 必ずしも専門性の高い先生が配置されているわけではない
- 高校には、現状ない
(2018年~文部科学省が準備を進めている段階)
2:特別支援学級(支援級)

メリット
- 給食や昼休みなどが普通級と交流がある
(学校により変わる) - その子の学びやすさ、理解力に合わせた授業内容
- 普通級と行き来することができる場合がある
(学校との相談により)
デメリット
- 在籍基準があいまい
- 学校によっては、学校内に設置されていなく、遠方まで通わないといけない
- 高校にはない
3:特別支援学校

メリット
- 専門性のある先生の指導が受けられる
- 個人の特性にきめ細かく対応した教材・授業内容・カリキュラム
- 高等部では、職業教育(訓練)が受けられる
デメリット
- 普通級の子との交流が少ない
- 障害の程度によって、入学できるかが判断される
- 高等部を卒業しても高卒認定資格得られない
(大学入学資格は得られる)
ADHDの子供の小学校で大切な4つの点

ADHDに関わらずですが、自閉症スペクトラムや学習障害など、なにかしたらの特性を持った子供の就学で大切なことは4つあります。
- その①:子供が「学べる・楽しめる」場所を選ぶ
- その②:「子供に合わせて環境を変える」という選択肢をもつ
- その③:子供の気持ちを聞く
- その④:第3者の意見も聞く
1つずつ見ていきましょう。
その①:子供が「楽しめる・学べる」場所を選ぶ

子供を主語にして、「この小学校の環境で、うちの子は楽しめるかな?学べるかな?」と確認することが大切です。
その②:「子供に合わせて環境を変える」という選択肢をもつ

入学した選択肢が全てではありません。
子供は成長しますし、環境も変わっていきます。
「絶対これが正しい!」という正解はありません。
その場その場の子供と環境の様子によっては、「環境を変える」ということも選択肢として持っておくことが大切です。
「環境を変える」というのは、具体的には、普通級→支援級にいくなど、入学時と違った環境に変えることです。
例えば、「今は普通級で落ち着いているけど、環境が合わなくて子供がどうしても辛そうなときは、通級や支援級など違う選択肢も考えておこう」と頭の片隅に入れておくことが大切です。
いざ行動するときのスピードが変わってきます。
ここの選択肢を持っていないと、困りが出てきたときに「どうしよう・・」と後手後手になり、子供の辛い経験が増えていく一方です。
事前に「選択肢を認識しておくこと」が大切になります。
その③:子供の気持ちを聞く

どの選択肢を選ぶべきか、迷われる場合は、子供の気持ちを聞きましょう。
親や先生から見て、明らかに「その環境は厳しい!」でなければ、子供の気持ちも、検討材料にし、一緒に決めていきましょう。
もちろん最終的な判断をするのは、お母さん、お父さんになりますが・・!
その④:第3者の意見も聞く

先生などの子供をよく知っている第3者の意見を聞きましょう。
また就学時健診の先生や医師(かかりつけのクリニックなどある場合)の意見も参考にしましょう。
ご家族だけでの判断はせず、客観的な意見もたくさんもらうことをオススメします。
ADHDの子供の小学校の注意点

注意点は1点だけです!
それは・・
子供の状態、気持ちを置いてけぼりで、判断をしないことです。
私が支援している方でも、悪気はないのですが、「支援級は、何となく避けたいから、普通級がいい!」と、明確な理由もなく、選択肢を狭めてしまう方が少なくありません。
そうなると、子供に合わない環境を押し付けることになり、子供が一番辛くなり、失敗体験を重ね、自己肯定感が下がる一方です。
ただご安心ください!本日紹介した「4つの大切なこと」を押さえてさえいれば、こういった状態にはなりませんので(^^)
事例も含めて紹介したかったので、説明だけしました!
小学校に向けて必要な5つの準備

小学校入学に向けて、必要な準備は5つあります。
私が普段支援している中で、就学に関するご相談が圧倒的に多い内容になります。それだけ困りやすいポイントということですね。
小学校1年生に必要な子供のスキルになりますので、心配な方は、これから紹介する接し方で、準備を進めてみましょう。
- その①:ヘルプ要求
- その②:学習面
(ひらがな/数字/時間) - その③:指示理解
(複数指示) - その④:運筆
- その⑤:時間に合わせて行動する
1つずつ見ていきましょう。
その①:その①:ヘルプ要求

困ったときに、先生や周囲の人に助けを求めることです。
分からないことがあったら、手を上げて質問をするなど、困ったときに周囲に言葉で伝えられることが大切になります。
普段から、困ったら何が分からないのか、言葉で言うよう促してみましょう。
その②:学習面(ひらがな/数字/時間)

ひらがな
ひらがなは、個人的に自分の名前が分かれば良いと思います。
というのも、学校によって、求められるレベルが変わるためです。
名前さえわかっていれば、自分の物、場所なども分かるので、生活に支障が出ることはないです!
数
数えられるという意味では、10までの理解はあると良いでしょう。
ここができれば生活で大きな困りになることはありません。
ちなみに数唱は、明確な基準はないですが、20ぐらいまで言える子が多いです。
時間
「今は○時」まで言えれば十分です。
家庭での過ごし方や、通っていた園の方針にもよるので、苦もなく子供ができる場合は「○時」まで言えると良いです。
その③:指示理解(複数指示)

2~3つの指示を聞いて行動できることです。
学校の例でいきますと、
「筆記用具と教科書出して、5Pを開いてください」などです。
このように1つの指示で複数の行動が含まれることが多いです。
普段の子供への声掛けの中に取り入れ、できたら褒めて伸ばし、習慣化させていきましょう。
関連記事
ADHDの子供の5つの褒め方【療育指導員の接し方を解説します!】
その④:運筆

ここも学校によって様々ですが・・自分の名前が書ければ大丈夫です。
書き順や大きさ、枠の中に書けているか・・などは求めず、第3者が見ても読める字であれば、問題ありません。
「読める字で名前書けるかな・・」と心配な方は、お子さんが嫌がなければ、一緒に書く機会を作ってみましょう。
その⑤:時間に合わせて行動する

時間を見て、行動できる習慣をつけましょう。
小学校では、自分でチャイムを聞いたり、時計を見て動きます。
もちろん周りの子供の真似をして、できることもありますが、時間に合わせて行動する習慣がないと、小学校で苦労します。
「○時になったら片付けよう!」など、時間を意識して行動する声掛けをしてみましょう。
ADHDの子供に必要な4つの小学校の選択肢とは【メリット~注意点まで解説します!】のまとめ

記事のポイントをまとめます。
- 【ADHDの子供の小学校の選択肢】
・普通学級
・通級
・特別支援級
・特別支援学校 - 【小学校の選択肢のメリット】
・子供に合わせた授業が受けやすい - 【小学校の選択肢のデメリット】
・普通学級の子との交流に差がある
・場所が遠い場合がある
・学校により違いがある - 【ADHDの子供の小学校で大切な点】
・子供が学べて楽しめる場所を選ぶ
・環境を変える、という選択肢をもつ
・子供の気持ちを聞く
・第3者の意見も聞く - 【ADHDの子供の小学校の注意点】
・親の要望を最優先にしない - 【小学校に向けて必要な5つの準備】
・ヘルプ要求
・学習面
・指示理解
・運筆
・時間に合わせて行動する
の5つを習慣づける関わりをする
以上になります。
他の情報もほしい!という方は、
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発達障害の子供に関する情報を、週に2~3回ほど発信しています。
知りたい情報がありましたら、参考にどうぞ!
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