

子供の発達が心配な方「子供にや少し知的な遅れもあるかも。知的障害の基準や支援など、軽度知的障害について詳しく知りたい。」
こういったお困りにお答えします。
✓本記事の内容
- 軽度知的障害とは
- 軽度知的障害の原因
- 軽度知的障害の子供の特徴
- 軽度知的障害の診断基準/検査方法
- 軽度知的障害の子供への向き合い方
- 軽度知的障害の子供の相談先
- 軽度知的障害の子供が受けられる支援
「軽度知的障害の診断を受けた」
「自閉症スペクトラムの診断を受けた」
「診断は受けてないけど、知的な遅れがあるかも」
など、子供の発達について悩まれている方が今、増えています。
この記事を執筆している私は、10年以上療育指導を通して、過去に1,000名以上の発達障害のお子さんとその親御さんを支援をしてきました。
その経験から本記事で、軽度知的障害の特徴/診断基準/検査方法/使える支援・手帳/相談窓口などをまとめてみました。
本記事が参考になれば幸いです!
※知的障害は、自閉症スペクトラムを伴う子供もいます。
軽度知的障害とは

軽度知的障害とは、「知能指数(IQ)が50~69以下で生活能力が普通orやや遅れがある」状態のことをいいます。
知能指数が50~69??生活能力??
これだとイメージ湧きづらいですよね。。
言い方をかえると、
日常生活は大きな問題なく送れるけど、
学習面や友達とのコミュニケーションなど、見えづらい小さな問題が出ている状態です。
小学校低学年では、多くの子供は見過ごされ、小学4年生以降に問題が表面化するケースが多いです。
理由は、学習面のレベルが上がるためです。
推測する/公式を応用する問題など自分で考える問題が増え、シンプルなパターン学習が減る為です。
軽度知的障害は、抽象的な物事の理解が難しいため、この時期に困難さが顕在化することが非常に多いです。
知能指数(IQ)とは

一般的には90~109の間になります。この平均値に対して、どのぐらい高いor低いかをみられます。
学力ではなく、合理的思考/問題・環境への処理能力になります。
生活能力とは

生きる上での基礎的な能力全般を指します。
具体的には、身辺自立(衣食住)/コミュニケーション/読み書きなどです。
知的障害とは、18才までの間の知能指数×適応能力で判断されます。
18才以降に、病気や事故にあって知能指数が下がっても、知的障害とはいいません。
知的障害の位置づけ

軽度知的障害は、自閉症スペクトラムなどの発達障害を伴うケースも多いです。
こちらの図で、全体像も確認できるとイメージがより湧きやすいと思います!

知的障害の基準

IQが同じ36~50(中度知的障害レベル)でも、生活道能力次第で、軽度知的障害か中度知的障害に分かれます。
つまり、生活能力が優先されます。
IQが36~50は本来、中度知的障害と診断されるところですが、生活能力があれば、その基準が優先され、軽度知的障害と判断されます。
詳細は、厚生労働省のページの「2の知的障害の程度」をご覧くださいませ。
軽度知的障害の原因

軽度知的障害の原因は、大きく2つあります。
- その①:先天的原因
- その②:環境的原因
1つずつみていきましょう!
その①:先天的要因

- 遺伝子や染色体異常
- 合併症などの病理的原因も含まれる
- 原因の8割は出生前に判明する
- 自閉症スペクトラムなどの発達障害と合併することも多い
合併症の代表的な例は、3つあります。
- ダウン症
- てんかん
- 脳性まひ
※必ず知的障害を伴うわけではありません。
中には、合併症に該当しなくても知的障害がみられる、生理的原因もあります。
その②:環境的要因

- 出生前後の事故
- 原因の8割は出生前に判明する
- 発達障害に繋がる恐れもある
- 出生前の母体からの影響
(アルコール/薬物/感染症)
【関連情報】
自閉症スペクトラムが子供に遺伝する確率は?【原因~治療法まで説明します】
軽度知的障害の子供の特徴

軽度知的障害のお子さんは、抽象的な概念の理解が苦手です。
ただ経験を通して、学ぶ機会を作ることで、手助けをすることができます。
ここでは、特にサポートが必要という意味で、主に3つ解説していきたいと思います。
- その①:意図の理解
- その②:時間の理解
- その③:数量の理解
その①:意図の理解

軽度知的障害の子供は、
「部屋少し寒いね(意図:エアコンの温度上げたい)」
「もうすぐ学校に行く8時だね(意図:支度を急いでほしい)」
など、言葉や物事の裏を意味を理解することが難しいです。
その特徴を理解した上で、接することが大切です。
詳細は、こちらをご覧ください!
自閉症スペクトラムの子供の症状とは?【4つの特徴と7つの接し方】
知的障害の子供(自閉症スペクトラムと合併の場合も)にも活かせるノウハウをまとめています。
その②:時間の理解

「7時に朝ごはんを食べる」
「8時に学校に行く」
など時間と行動を紐付けることができます。
ただ「出発まであと○時間ある」など、時間を計算することは難しいです。
ここは目に見えない時間を計算するため、訓練が必要になります。
子供に合った訓練と十分な頻度があれば、ある程度理解することは可能です。
その③:数量の理解

「100円玉2枚でパンが買える」という理解はできます(経験を積み重ねている前提)。
ただ「欲しい物を買うために、あといくら必要か」など、計算することは難しいです。
ここは、経験で学ぶ(パターン)ことが難しいため、足し算/引き算で訓練していく必要があります。
療育の機会があれば、生活の困りはある程度解消ができます。
【関連情報】
ADHDの子供の療育とは【種類・費用・通所受給者証のメリット/デメリットを解説】
※ADHDと記載ありますが、自閉症スペクトラムや知的障害、発達が気になる子供も対象になります。
軽度知的障害の診断基準/検査方法

軽度知的障害の診断は、臨床診断と検査の結果を総合的にみて判断されます。
- 1:臨床診断
- 2:知能/生活能力検査
1:臨床診断

1-1:診察
- 生育歴のヒアリング
- 1歳半、3歳児検診の様子も聞かれる
- 集団生活/コミュニケーションなど気になる点を確認
1-2:行動観察
- 子供の遊ぶ様子を観察
- 気になる言動があるか確認
2:知能/生活能力検査

2-1:知能検査
子供の知能を客観的に、把握するためのものです。
まだ話をしたり、指示を理解することが難しい子供(主に2才以下)は、発達検査の場合があります。
詳細は、こちらをご覧ください!
ADHDの子供の検査とは【種類/受診方法/相談窓口まで徹底解説】
ADHDと記載ありますが、どの子供にも共通する内容ですので、安心してご覧ください。
2-2:生活能力検査
定型発達の子供の生活能力を基準に、客観的に数値化する検査です。
主に3種類あります。
- vineland-II
(全年齢) - ASA旭出式社会適応スキル
(幼児〜高校生) - S-M社会生活能力検査
(乳幼児〜中学生)
生活能力の検査は、教育/福祉の現場で個別支援計画が作られるときにも、参考にされるものです。
軽度知的障害の子供への向き合い方

軽度知的障害のお子さんへの向き合い方は、3つあります。
- その①:本人/家族が受け入れる
- その②:周囲の理解を得る
- その③:合理的配慮をとりいれる
その①:本人/家族が受け入れる

軽度知的障害において本人・家族が受け入れることが最初の1歩です。
ただすぐに受け入れることは難しいと思います。
ここは個人差がありますので、それぞれのペースで時間をかけていきましょう。
もし本人、家族だけでは難しそうな場合は、専門機関などの第3者に入ってもらうことも1つです。
詳しくは後述しますね。
その②:周囲の理解を得る

知らないことで、子供が辛い状況になることも少なくありません。
学校の先生、親戚などまずは、家族以外で子供と関わることが多い方に話をしてみましょう。
話をすることは、人によっては勇気がいると思います。
ただ子供が過ごしやすくなるため、必要な行動になります。
子供がより楽しめる生活を見据えて、動いていきましょう。
その③:合理的配慮をとりいれる

合理的配慮とは、子供に個別配慮を取り入れること、生活の手助けをするためのものです。
2016年に障害者差別解消法が施行され、
近年では、取り入れられる学校も増えてきましたが、まだまだ地域差があります。
私も仕事柄、学校の方をお話をすることもありますが、積極的に取り入れている学校もあれば、その逆もあります。
あとは、同じ学校でも校長先生が変わると、良くも悪くも全然変わります。
面談などで、こちらから積極的に相談することをオススメします。
具体的な相談の仕方は、こちらの記事の後半を参考にしてみて下さい!
自閉症スペクトラムの子供の相談先とは【種類/方法/注意点を解説】
私が実際に学校と親の支援をしているときに、多用しているノウハウもまとめています。
全てをすぐに実践することは、難しいかも知れませんが、知っているだけで相談しやすくなると思います。
軽度知的障害の子供の相談先

軽度知的障害、自閉症スペクトラムなどの発達障害の子供の相談先は、下の4つになります。
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 児童相談所
- 発達障害者支援センター
いずれも、お住いの地域の相談窓口になり、無料で電話相談からできます。
ただしかなり混み合っています・・。
数ヶ月待ちも珍しくないため、時間がかかることを前提に相談しましょう。
各施設の特徴、具体的な相談方法は、こちらをご覧ください!
自閉症スペクトラムの子供の相談先とは【種類/方法/注意点を解説】
軽度知的障害の子供が受けられる支援

療育手帳

療育手帳とは、障害者手帳のことで、知的障害の子供が支援を受けられるためのものです。
国の助成金を受けて、様々な支援を受けることが出来ます。
対象者
- 18才未満で知的障害の症状がある
- 日常生活をする上で継続的に特別な支援が必要
- IQが75以下
(地域により70以下もある)
療育手帳の区分
療育手帳の区分は、重度以上の「A」と重度以外の「B」の2つに分かれます。
知的障害は、最重度/重度/中度/軽度の4種類に分かれます。
重度A
- 最重度
- 重度
軽度B
- 中度
- 軽度(B/B2/4度)
療育手帳の申請方法
区の相談窓口へ電話をしてみましょう。
地域によって手続きの流れが変わるためになります。
医師の診断書が必要になることもあるので、事前に持ち物も確認してみましょう。
【関連記事】
自閉症スペクトラムの子供の手帳とは【障害者手帳/受給者証の違いを解説します!】
軽度知的障害とは【自閉症スペクトラムを伴う子供の特徴/向き合い方】のまとめ

記事のポイントをまとめます。
- 【軽度知的障害とは】
・IQ50~70+生活能力で判断される
・生活の中の細かな困りが多い - 【軽度知的障害の原因】
・先天的要因
・環境的要因 - 【軽度知的障害の子供の特徴】
・抽象概念の理解がむずかしい
(言葉や物事の裏側/時間/数量) - 【軽度知的障害の診断基準/検査方法】
・臨床診察
・生活能力検査 - 【軽度知的障害の子へ向き合い方】
・本人/家族が受け入れる
・周囲の理解を得る
・合理的配慮をとりいれる - 【軽度知的障害の子供の相談先】
・子育て支援センター
・保健センター
・発達障害者支援センター
・児童相談所 - 【軽度知的障害の子供の支援】
・療育手帳を使った障害児サービス
以上になります。
知的障害や自閉症スペクトラム子供の特徴を正しく捉え、必要な接し方と支援を活用しましょう。
本記事がお役に立てれば幸いです!
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