自閉症スペクトラム

自閉症スペクトラムの子供の絵が苦手な5つの理由【9つの教え方でできる!】

投稿日:2020年5月25日 更新日:

自閉症スペクトラムの子供のお絵かきが心配な方「絵を教えたいたけど、やりたがらない。教えてもうまく描けない。自閉症の子に合った絵の教え方を知りたい」

こういったお困りにお答えします。

✓本記事の内容

  • 絵が苦手な原因
    【4つ】


  • 自閉症スペクトラムの子供への絵の教え方
    【9つ】

なぜ自閉スペクトラムの子供はお絵かきが苦手なのでしょうか?

ひたする練習をすれば、上手くなるのでしょうか?

子供が、お絵かきができるようになる年齢になると、

一人一人違うと分かっていても、周りの子と比べ、絵の出来栄えが気になってしまうものです。

特に自閉スペクトラムの子供の場合は、違いが顕著なことが多いので、心配になる親も多いと思います。

この記事を執筆している私は、療育指導員歴10年程になります。

自閉スペクトラムや発達障害の子供、その親を1,000名以上支援してきました。

その経験を、本記事でまとめました。

お絵かきは、数をこなせば上手になるわけではありません。

子供の発達と興味に合わせて、親子で楽しむことが大切です。

自閉スペクトラムの特徴を理解し、お絵かきの適切な促し方をしていきましょう。

お絵かきは、悩みのタネでも、子供にとって嫌なものでもありません。

本記事のお絵かきの教え方を実践し、楽しい親子のお絵かきの時間をお過ごしください!

では「自閉症スペクトラムの子供の絵が苦手な5つの理由【9つの教え方でできる!】」について見ていきましょう。

自閉症スペクトラムの詳しい説明は、

自閉症スペクトラムの子供の症状とは?【4つの特徴と7つの接し方】

ご覧ください。

絵が苦手な原因【4つ】

自閉症スペクトラムの子は、絵が苦手な場合が多いです。

その理由は自閉症スペクトラムの特性が原因になります。

  • その①:想像が苦手

  • その②:見立てることが苦手

  • その③:興味がない

  • その④:手先が不器用

それぞれの原因の特徴を見ていきましょう。

その①:想像が苦手

絵を描くということは、「何かを見ながら真似して描く」or「想像して描く」になります。

未就学、小学生の子の多くは、機会として「想像して描く」ことが多いです。

出されたテーマや、自由なテーマのときに、自分の頭の中にあるイメージを想像する、これがむずかしく絵を描くことが困難な子が多いです。

自閉症スペクトラムの子は「目に見えないものを理解すること」がむずかしい特徴があるためです。

その②:見立てることが苦手

絵を描くことは、「実物の何かを絵で表現する」ことです。

※想像上の物を描く、については自閉症の子には関連性が低いので、ここでは触れません

つまり、実物を絵に見立てる、ことが必要になります。

自閉症スペクトラムの子は、「目に見えない物(関係性)を理解する」ことがむずかしく、見立てることが困難です。

例えば、りんごの絵と実物のりんごが同じと理解(見立て)することが、むずかしいのです。

絵カード、オモチャ、実物のりんご、自閉症スペクトラムの子にとっては、何の関係性もない全くの別物として、捉えているのです。

その③:興味がない

自閉症スペクトラムの子は、他の子より、発達の成長がゆっくりです。

その分、興味のあるもの/楽しめるもの、も幼いです。

例えば、赤ちゃんは感覚遊びといって「光る、音が鳴る、感触を楽しむ」など、視覚、聴覚、触覚など、発達の段階上、一番根本的な感覚遊びを楽しみます。

ここから1才を過ぎると、オモチャを何かに見立てて遊ぶ「見立て遊び」が始まります。

ブロックを車に見立てて、走らせるなど、想像しながら遊びが始まります。

自閉症スペクトラムの子は、発達がゆっくりなので、楽しめることが、感覚遊びの範囲の中が多いです。

「光の点滅をずっと見る、オモチャの電車のタイヤの回転を見る、オモチャの音をきく」など、感覚遊びを好みます。

絵は、「見立て遊びのスキル」がないと、楽しむことがむずかしいです。

この見立てる(想像する、関連させる)スキルが発達しないと、絵を本当の意味で楽しむことは、むずかしいです。

その④:手先が不器用

自閉症スペクトラムの子は、手先など体の使い方が苦手です。

道具の操作にも影響するため、線を描くなど細かいコントロールがむずかしく、うまく描けないことが多いです。

うまく描けないと、楽しめないので、結果絵を描くことがむずかしくなります。

自閉症スペクトラムの子供への絵の教え方【9つ】

自閉症スペクトラムの特性に合わせることが大切です。

そのためには、まず絵の発達段階を把握しましょう。

大きなステップだけ、把握できれば大丈夫です。

子供が今いるステップに合わせ、促すことが大切です。

お絵かきのステップは4つあります。

  • ステップ①:なぐりがき 
    ※1才半~3才


  • ステップ②:線/形を組み合わせ描く 
    ※3~4才
    ex.頭に手足が生えている人物像


  • ステップ③:周囲の物を描く 
    ※5~6才
    ex.家、木、地面の線など(記号的に)


  • ステップ④:遠近法  
    ※7才~
    ex.背景など

具体的な絵は、「子どもの絵について学ぶ」基礎編【子供の絵の発達段階について】をご覧ください。

絵の画像だけ見ていただき、絵がどう変わっていくのか、なんとなくイメージできれば大丈夫です。

絵の発達段階は、ステップの分け方や表現が違いますが、自閉症スペクトラムの子に絵を教えるという目的で、本記事でまとめていますので、安心して読み進めてください!

絵の発達段階は把握できたと思います。

では絵の教え方を解説しますね。

その①:自由に描いてもらう(楽しんでもらう!)

まず「絵を描くことが楽しい」と思ってもらうことがスタートです。

どんなことも子供が「楽しい!やりたい!」と思えないと、続きません。

最初は「とにかく楽しむ」を目的にお絵かきを楽しみましょう。

どんなにグチャグチャでも、構いません。

上手に絵が描けたか?ではなく、まずは存分に楽しみましょう!

その②:ペンを使う

手先が不器用な子も、ペンを使えば、少なからず紙に描け、結果が見えやすいです。

描いても、変化(紙に描けた)があまりないと、興味をなくしてしまいます。

色鉛筆や細めのクレヨンでは、筆圧や手先の動き次第で、描くことがむずかしいことも多いです。

必ず、「結果がすぐに目で確認できる」ようにしましょう。

ペンでも、興味を示さないときは、絵の具がオススメです!(片付けは大変ですが・・)

その③:実物をみせる

実物をみせながら、絵を描いてもらいましょう。

見立てることが苦手な自閉症スペクトラムの子でも、イメージがしやすくなります。

描いた絵・ぬり絵の内容が、実際に家にある物でしたら、最後に実物を見せて「○○だね」と一緒に確認をしましょう。

描いた絵と実物が同じだと理解できれば、絵を描くことが、より楽しめる可能性もあり、見立てをつける訓練にもなります。

その④:サイズを大きくする

紙は模造紙など大きい紙、ペンは太い物を使いましょう。

テーブルに大きく広げたり、もしくは床に模造紙を広げて描くことができるからです。

同じことでも、サイズが大きくなることで、注意/興味がひきやすかったり、体全身を使って目一杯描けるので、楽しみやすいです。

またペンも太い方が、子供が「描けた!」と実感しやすく、「また描きたい!」と思ってもらいやすいためです。

こういったサイズの工夫は、お絵描きに限らずですので、他のものでも効果的ですので、オススメの工夫になります。

その⑤: 床や壁に描く

床や壁などに、大きな模造紙を貼り、目一杯描いてもらうことで、楽しめます。

机上でのお絵描きですと「机上課題」に近いですが、床や壁などでダイナミックに描くことは「全身運動や活発な遊び」に近づきます。

多くの自閉症スペクトラムの子は、運動や遊びの要素が強い方が、取り組めます。

私が支援してきた自閉症スペクトラムの9割以上の子は、運動や遊びの要素がある方が、取り組めていました。

その⑥:効果音をつける

子供が線や形など、描けているときは、効果音をつけてあげましょう。

例えば、丸なら「くるっ」、線なら「ビュー」、点なら「ポツッ」など、描いていることが、楽しめる工夫をしましょう。

自閉症スペクトラムの子は、感覚遊びが好きです。自分の「描く」という動作をしたことで、効果音が聞こえてきたら、「描くこと楽しい!もっと描きたい!」となります。

子供の興味を生かしたお絵描きをしていきましょう。

効果音ですが、高音、低音、抑揚など工夫はできますが、療育の経験がない方ですと、大変ですよね。

そんなときは、音の出るオモチャや楽器を使うことをオススメします。

いろんな方法をランダムで活用できると、一番効果的です。

「次は何の音が出るんだろう?!」と思ってもらえると、お絵かきの上達スピードが上がります。

その⑦: ぬり絵/なぞりがき

一から絵を描くことが難しいときは、塗り絵をしてみましょう。

ぬり絵はなぐり書きのステップの子でも、楽しめます!

線を描くことができるようになってきたら、なぞり書きをしてみましょう。

「線を引く=絵が完成する」ことが成功体験として、積み重なってくると、ますます絵を描くことを積極的にしてくれます。

その⑧:線/点/形で描いて遊ぶ

線を描くことに慣れてくると、点・曲線もでき、更に、丸や三角の形へと変わっていきます。

一般的に線は「たて→よこ→ななめ」の順に描けるようになる子が多いです。

線が描けたら、色んな描き方を、実際にやってみせたり、一緒に描いたりして楽しみましょう。

例えば、三角と四角が書ければ家で描けます。

色んな形や線を使って、いろんなものを描いてみましょう。

形や線に合わせて、効果音をつけましょう

その⑨:市販ドリルを使う

子供が好きなアニメなどがあれば、関連する市販ドリルなど、使ってみましょう。

お絵かきのドリルも様々な物があり、子供の興味の引く内容も多いです。

自閉症スペクトラムの子に継続的取り組んでもらうためには、変化をつけることが大切です。

お絵描きにも「ん?いつもと違うぞ?」と思ってもらいながら、取り組んでもらえると、取り組む時間を増やせます。

注意点

避けるべき、関わり方を解説します。

それは、子供の発達/興味に合わせず、お絵描きを促すことです。

無理強いしては、ますます嫌いになり、逆効果になります。

園や学校では、絵を飾られることもあり、周りの子との違いを気にされる気持ち、よくわかります。

ただ子供が「絵を描くことは嫌い」などネガティブな気持ちをもってしまったら、それまでです。

いくら親が、正しい知識と促し方を知っても、大変な苦労に繋がります。

必ず子供のお絵描きの発達と興味に合わせていきましょう。

もし「いつまで待てばいいか分からなくてどうしても不安・・」という方は、絵や絵を描くことに触れてもらいましょう。

具体的には、親が横で描いてみる、たくさんの絵をリビングに貼る、などです。

身近な所に絵があると、いつか発達と興味が合致したときに、絵を描くことがよりスムーズに繋がりやすくなります。

自閉症スペクトラムの子供の絵が苦手な5つの理由【9つの教え方でできる!】のまとめ

記事のポイントをまとめます。

  • 絵が苦手な原因
    【①:想像/見立てることが苦手 ②:興味がない③:手先が不器用】


  • 自閉症スペクトラムの子供への絵の教え方
    【①自由に描いてもらう ②ペンを使う ③実物をみせる ④サイズを大きくする ⑤床や壁に描く ⑥効果音をつける ⑦ぬり絵/なぞりがき ⑧線/点/形で描いて遊ぶ ⑨市販ドリルを使う】

以上になります。

ぜひ親子の楽しいお絵描きの時間を作っていただければと思います!

絵を描くときに、癇癪があるなどの困りがある方は、

【療育指導員も実践!】自閉症スペクトラムの子供の癇癪の3つの対処法

をご覧ください。

本記事が参考になれば幸いです。

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