

発達障害の子の宿題で悩まれてる方「子どもが宿題に時間がかかって困ってる。宿題がスムーズにできる方法が知りたい」
このようなお悩みに、お応えします。
☑本記事の内容
✅宿題に時間がかかる「理由」
✅宿題が今よりスムーズになる「対処法」
親の悩みになりやすい宿題。
特に、お子さんが発達障害であると、
厳しく促した方が良いのか、無理をさせない方が良いのか、迷うことも多いかと思います。
本記事では、そんなお悩みにお応えする為、
発達障害の子が宿題の「4つの対処法」をまとめました。
この記事の執筆者の私は、療育/学習支援を10年以上しています。
その支援経験を元に、本記事をまとめています。
参考になれば幸いです。
宿題に時間がかかる「理由」

発達障害の子が「宿題に時間がかかる理由」は、4つあります。
1つずつ見ていきましょう。
①:「集中力」の偏り
②:「読み・書き」の困難さ
③:「失敗体験」の多さ
④:「情報処理」がゆっくりな特性
①:「集中力」の偏り

発達障害の子には、”集中力の偏り” があることが多いです。
よく “やる気がない” と言われますが、それは違います。
生まれ持ったもの(特性)ですので、本人の意思の問題ではありません。
療育では、“注意力” ともいいます。
宿題に大きく関わる “注意力の2つの特徴” を見ていきましょう。
✍注意の “向け方”
注意の切り替え(転動性)になります。
転動性が高いと、些細なことに注意が切り替わり、宿題から逸れてしまいます。
逸れた分だけ宿題が遅れる為、結果として時間が掛かってしまいます。
注意の “持続力”
1つの物事に “注意を向け続けられる時間” が短いです。
短い時間でも、疲れやすくなります。
「集中力がない」と言われる、多くの子の特徴とも言えます。
②:「読み・書き」などの困難さ

「読み・書き」が著しく苦手で、何度練習しても出来ない状態をいいます。
学習障がい(LD)とも言われます。
努力不足などとも言われやすいですが、本人が頑張っても、難しい場合が多いです。
③:「失敗体験」の多さ

宿題(勉強)に関して、「分かんない!できない!また怒られた!」など、
お子さんにとっての「失敗体験」が多い状態になります。
私たち大人もそうですが、上手くいかない物事に取り組むのは、嫌だと思います。
発達障害のお子さんは、特にネガティブな経験が残りやすいことが多いです。
過去の失敗体験の積み重ねる⇨宿題の苦手意識がつく⇨”宿題に時間がかかる状態”
このような悪循環になりやすいです。
④:「情報処理」がゆっくりな特性

発達障害の子には、
理解をしたり、アウトプット(ex.答える・書く)するのに、時間が必要な子がいます。
考える時間が必要で、問題を解くのに、どうしても時間が掛かります。
療育では、「処理速度」とも言われます。
もし検査を受けたことがある方は、この「処理速度」の数値を見られると良いです。
ここが平均以下(90以下)の場合は、宿題に時間がかかっている要因になり得ます。
※WISC検査の平均値:90~109
宿題が今よりスムーズになる「対処法」

発達障害の子の宿題が、今よりスムーズになる「対処法」は、7つあります。
原因別に、1つずつ見ていきましょう。
①:「気になるモノがない環境」を作る
(原因:集中力の偏り)
②:「今日のゴール」を伝えておく
(原因:集中力の偏り)
③:「短く」区切る
(原因:集中力の偏り)
④:「専門家」に相談する
(原因:読み書きの困難さ)
⑤:「過程を具体的に」ほめる
(原因:失敗体験の多さ)
⑥:「タブレット学習」の導入
(原因:失敗体験の多さ)
⑦:「できた」⇨「早くできた」をほめる
(原因:情報処理がゆっくり)
①:「気になるモノがない環境」を作る(原因:集中力の偏り)

“注意が逸れる原因” がない環境を、作ることです。
具体的には…
・窓から離れた場所にする
・音が響きづらい部屋にする
・机や周りのモノが片付けておく
・宿題の時間は、家族に静かにしてもらう
などです。
お子さんの注意が逸れるモノは、極力減らす工夫が大切になります。
②:「今日のゴール」を伝えておく(原因:集中力の偏り)

事前に「何をしたら終わりか」を伝えておくことです。
事前に「○問解いたら終わりだ!」と見通しが明確ですと、
お子さんの集中力に、違いが出てきます。
例えば、マラソンする時に、どちらを言われた方が「頑張ろう」と思えるでしょうか..?
「今から走って」
「50メートル先のコンビニまで走って」
多くの方は、後者だったかと思います。
人は、ゴールが明確な方が頑張りやすいです。
特に、発達障害の子の多くは、見通しが曖昧なことでの不安になったり、集中力が散りやすくなります。
『①事前に ②具体的に ③ゴールを伝える』ができると、
宿題への集中力が上がり、かかる時間を短くできます。
③:「短く」区切る(原因:集中力の偏り)

出された宿題を、必ず1回で終える必要はありません。
お子さんの集中力に合わせて、”短く区切る” のも1つです。
例えば、5分で集中力が落ちる場合、5分で解ける問題数に区切り、3分休憩してから、宿題を再開します。
集中力が限られてる子ですと、1回で終えようとすることで、
後半集中力が落ち、かえって余計に時間がかかり、疲れたり、モチベーションが下がる原因になります。
なるべく、集中力が維持できる時間を、数回に分けて取り組める方が、宿題の時間を短くできます。
ただ、切り替えが難しい子の場合は、注意が必要です。
休憩中に好きなことをして、宿題に戻る(きりかえる)までに、時間がかかってしまう可能性がある為です。
「休憩中はおやつを1個食べる」など、きりかえがしやすいもの(終わりが明確)をお勧めします。
④:「専門家」に相談する(原因:読み書きの困難さ)

著しい「読み・書き」の困難さがある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
お子さんの特性を見てもらったり、本人に合った方法が見つかる可能性があります。
大きく3つの選択肢になります。
・療育
・学習塾
・家庭教師
療育は、福祉サービス・民間の2種類になります。
福祉サービスは、混み合っていたり、お子さんに合わせた学習支援をしてる場所自体が少ないです。
あったとしても、利用できるまでに数ヶ月、数年かかる場合もあります。どちらかというと、ゆっくり支援先を探したい方向けになります。
個人的には、お子さんの失敗体験が増えるのを少しでも早く止めるべきだと思いますので、
お子さんが「通いたい(通ってもいいよ)」と思える場所を、探してくのが一番だと思います。
お子さん自身が「宿題が難しくて困ってる」「宿題(勉強)できるようになりたい」
という思いがあるなら、塾や家庭教師など、すぐに始めやすいものが良いと思います。
参考に、発達障害を専門とした家庭教師を1つ紹介しますね。
まずは、情報を把握していきましょう。
⑤:「過程を具体的に」ほめる(原因:失敗体験の多さ)

失敗体験が多い子には「できた!もう1問やってみようかな」と思える実感が、必要になります。
つまり、成功体験が大切になります。
その為には、お子さんが宿題に取り組んだことで、
大人が “お子さんの喜ぶ関わり” をする必要があります。
・言葉でほめる
・ハイタッチ
・花丸をつける
・点数をつける
(前の点数よりUP)
など、お子さんが喜ぶ関わりをすることで、「次の宿題も頑張るぞ!」という気持ちになりやすいです。
そして、言葉でほめるときは、下のように、”具体的に過程をほめる” と効果的です。
「プリント1枚、全部正解!完璧!」
「計算の式書けたね!よく考えられたね」
「最初の5問、自分で解けたね!すごい!」
結果だけでなく、宿題の途中でほめられることで、頑張りやすくなります。
結果だけですと、ほめられる機会が限られ、お子さんの「できた!」には、繋がりづらくなります。
つまり、宿題への意欲が下がり、宿題の時間がかかってしまいます。
⑥:「タブレット学習」の導入(原因:失敗体験の多さ)

家での関わりを工夫しても、そもそも…
・宿題の教え方が分からない
・宿題の問題が子どもにとって難しい
という場合も、あると思います。
その場合は、”宿題に取り組む問題” というより、内容の理解が必要になります。
宿題をこなすことも大事ですが、その内容の理解が難しいままですと、
授業についていけず、学校が嫌になる可能性もあります。
今は、家庭で簡単に始められる “タブレット学習” があります。
発達障害のお子さんが理解しやすい様な、工夫がシステム化されています。
私も実際に使いましたが、お子さんの特性によっては、心強いツールになります。
どんな特性の子に合うのか、合わないのかは下の記事にまとめています。
試されたことがない方は、1つの選択肢として、参考にご覧ください。
【合わせて読みたい記事】
【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良いタブレット学習とは?4つの条件・理由・注意点
⑦:「できた」⇨「早くできた」をほめる(原因:情報処理がゆっくり)

考える時間が必要な子には、
まず「できた」ことをほめてみましょう。
そして、難なくできる様になってきたら、「“早く” できた」ことをほめます。
最初は「できた」に対して、ほめてましたが、時間をかけて出来るのであれば、
僅かな時間でも、早く宿題が終わったことをほめましょう。
例えば、「○時に終わったね!」「○分で終わったじゃん!早いね!」などです。
『早く終える』に意識を向け、そこに喜びを感じてもらえる様に、ほめていきましょう。
ただ、注意点は、お子さんに無理のないペースにすることです。
例えば、10分で終わる宿題が30分かかる子に、いきなり20分で終えてもらうのは難しいです。
お子さんによりますが、数分単位でも早くなったことを、ほめていきましょう。
⚠時間がプレッシャーになる場合
お子さんによっては、時間を意識することでプレッシャーになる子がいます。
プレッシャーになることで、出来る問題が間違えたり、ストレスを感じ、疲れやすくなります。
そうなると、宿題をこなすこと自体に影響出ます。
その場合は、時間は意識させず、”終えられたことをシンプルにほめるだけ” で大丈夫です。
「【宿題に時間がかかる】4つの理由から考える!発達障害の子に効果的な対処法」のまとめ

記事のポイントをまとめます 。
✅宿題に時間がかかる「理由」
・集中力の偏り
・読み・書きの困難さ
・失敗体験の多さ
・情報処理がゆっくり
✅宿題が今よりスムーズになる「対処法」
・「気になるモノがない環境」を作る
(原因:集中力の偏り)
・「今日のゴール」を伝えておく
(原因:集中力の偏り)
・「短く」区切る
(原因:集中力の偏り)
・「専門家」に相談する
(原因:読み書きの困難さ)
・「過程を具体的に」ほめる
(原因:失敗体験の多さ)
・「タブレット学習」の導入
(原因:失敗体験の多さ)
・「できた」⇨「早くできた」をほめる
(原因:情報処理がゆっくり)
以上になります。
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