療育

【療育の現場で見てきたこと】早期療育せず後悔した4つのパターン~療育で大切な考え方~

投稿日:2023年10月2日 更新日:

子どもの療育について悩まれてる方「早期療育をしないと後悔するって本当?療育は早いほどいいの?事例も知りたい」

このようなお悩みに、お応えします。

本記事の内容



✅早期療育せず後悔した
 「4つのパターン」

早期療育の
 「大切な考え方

早期療育の
 「意味(本質的な)

✅療育を検討される子が
 「備えたいこと


「早期療育」

「低年齢の子の方が、療育は効果が高い」

こんな言葉や情報を見たことがある方は、多いのではないでしょうか。

療育は、早い方が良いケースが多いのは事実です。ただ厳密に言うと、ケースバイケースになります。

そこで本記事では、早期療育をせず後悔したケース(典型的な)の紹介をしたいと思います。

私は、療育・相談支援を10年以上しており、学級選びの相談支援にも携わってきました。

この支援経験を元にをまとめています。

また、療育をする上での大事な考え方も紹介していますので、合わせて参考になれば幸いです。

早期療育せず後悔した「4つのパターン」

早期療育せず後悔したケース(パターン)を、4つ紹介します。

私がこれまで支援した中で、特に多かった事例になります。



①:「就学時健診」で指摘されるパターン
 (ex.会話のキャッチボール・指示理解)

②:「就学時健診」で指摘されるパターン
 (ex.多動・集団参加・着席)

③:「学習の遅れ」が顕著になるパターン
 (特に、小3~4年頃が多い)

④:「不登校(傾向)」になるパターン
 (特に、小学校高学年以降)


※就学時健診で指摘⇨「個別相談を勧められる」も含む

①:「就学時健診」で指摘されるパターン(ex.会話のキャッチボール・指示理解)

小学校入学前の就学時健診で、お子さんの発達を指摘されたり「個別相談(学級に関して)」を勧められるパターンになります。

就学時健診の内容の1部には、集団行動、指示理解、コミュニケーションなど、学校生活で必要なスキルの確認があります。

明らかに指示の理解が難しかったり、先生とのやりとりが困難な場合は、個別でお話を受ける場合があります。

私が支援してきたケースで多かったのは、個別相談(学級に関する)を勧められるケースです。

中には、お子さんの特性を理解されていて、事前に個別で相談して、お子さんの情報共有を進めてる方もいらっしゃいます。

②:「就学時健診」で指摘されるパターン(ex.多動・集団参加・着席)

就学時健診の中には、着席して座ったり、先生の指示を聞いて、行動する場面があります。

その際に、席を離れたり、指示を聞いていない様子が見られると(集団の動きに遅れる)、指摘されるケースがあります。

就学時健診は、席に座っていたり待つ時間が長いこともあるので、多動傾向の子は、離席しやすく、目立ちやすいです。

また衝動性が高い子ですと、始めての小学校という場所のため、本人にとって気になる刺激が沢山あり、触りたくなったり、集団行動から外れる動きに繋がりやすいです。

※就学時健診:小学校での実施が多い

③:「学習の遅れ」が顕著になるパターン(特に、小3~4年頃が多い)

小学校で学年が上がるに連れて、以下の様な問題が出始める子がいます。

・授業につけてない
・テストが20点以下
・課題(テスト)が白紙
・勉強の拒否感が出始めてる

上記が増えてくると、学習面の問題が浮き彫りになってきます。

特に、学習が難しくなる小学校3~4年頃のタイミングで困る方が多いです。

次に多いのは、小学校1~2年生になります。

小学校低学年は、学習姿勢の定着が大事な時期ですが、学習の取っ掛かりで躓いてしまい、失敗体験を重ねている子も多いです。

④:「不登校(傾向)」になるパターン(特に、小学校高学年以降)

本人が抱え込んでいたり、過度な我慢を続けた結果、不登校になるパターンもあります。

ご家族も気付いていないことが意外とあり、本人がずっと無理をしている場合も多いです。

真面目、完璧主義、感覚の過敏さがある、矛盾が許せない、繊細、不安が強いなど、お子さんの特性と過ごす環境で折り合いがつかなく、困ってしまいます。

小学校低学年~学校の行き渋りが続いていたり、家だけで起こる癇癪が激しくなったりと、不登校の芽になる部分は、生活の中で出ていることが多いです。

また思春期の年齢になると、自分と周りの違いを感じるようになり、

「自分はバカだから」
「自分はどうせ何をやってもできない」

など、自分を責め、殻に閉じこもるようになります。

これが不登校という形になって、出る場合が多いです。

【合わせて読みたい記事】

【療育の後悔】受けないと、子どもの将来にどんな可能性が?事例を元に解説

早期療育の「大切な考え方

「早期療育」と聞くと、療育は早い方が良いと思われる方が多いかもしれません。

実際に、早い方がいい場合は多いです。少なくとも療育を始めて、デメリットになることはあまりないと思います(時間・労力・費用の面を除いて)。

個人的には、気になる点があれば、療育の利用をお勧めします。

ただし、下の条件を満たすことが大切になります。

・本人が楽しめる
・本人の課題と療育の目的のマッチ
・親が過度な負担になっていない

(生活を圧迫する様な)

後から「療育が必要だった」と後悔することになった時、一番困るのはお子さん本人です。

その可能性を感じるのであれば、その可能性を少しでも0に近づける為に、今できることはやれた方が良いと思います。

上記の「本人の課題と療育の目的のマッチ」の補足ですが、”療育を受ければそれで良い” という意味ではありません。

お子さんの課題が発語なら、発語を引き出すことを目的とした療育を選ぶ必要があります。

療育を選ぶ際に「お子さんの身につけてほしいスキル」と「その療育で得られるスキル」がマッチしているか確認することは大切です。当たり前のようで、意外に見落とされがちな点になります。

療育の選び方・注意点に関しては、下の記事で詳しくまとめています。

療育を利用するか迷っている・どの療育先を選べばいいか悩んでいる、という方はご覧くださいませ。


【合わせて読みたい記事】

【療育のデメリット】3つの注意点・メリット・心構え・療育の選び方

早期療育の「意味」(本質的な)

早期療育の「意味」(本質的な)は、

3つあります。


私が現場で支援する中で、特に感じている点になります。



①:「自己肯定感」を守る
 (失敗体験を積ませない)

②:「苦手意識・二次障害」の予防

③:思春期前の介入の方が「効果的」
 (本人の考え・認知が固まる前に)


①:「自己肯定感」を守る(失敗体験を積ませない)

療育を受けない最大のデメリットの1つが、自己肯定感の低下になります。

療育が必要な子の多くは、その特性と過ごす環境との間で苦しみます。

特性上できないことを、周り(環境)から求められ、できずに失敗体験をするためです。

そして失敗体験を積み重ねると、自己肯定感が下がり「自分は何をやってもダメ」となり、自分を責めたり、物事に取り組む活力を失います。

自己肯定感は、人が行動を起こす原動力ですので、失敗体験を予防し、自己肯定感を守っていく必要があります。

②:「苦手意識・二次障害」の予防

失敗体験を重ね続けると、物事への苦手意識がつきます。

例えば、学習ですと、取り組んでも分からない状態が続けば、モチベーションが下がってきます。

それは苦手意識となり、次第に拒否感に繋がることも多いです。

また失敗体験を積みすぎると、二次障害になる場合もあります。

不登校、鬱、引きこもりなど、新たな問題に発展することもあります。

③:思春期前の介入の方が「効果的」(本人の考え・認知が固まる前に)

思春期になると、お子さん本人の考え・認知(物事の捉え方)も固まってくる為、

“支援者からの働きかけ” が入りづらいことがあります。

特に、認知の偏りが強い子は、思春期に入る前の段階で、早めに介入していきたい所です。

同じ1年の療育でも、時期(お子さんの年齢)によって、効果は大きく変わってきます。

【関連記事】

【発達ゆっくりな子のその後は?】療育の現場の事例紹介~今、家族に出来ること~

療育を検討される子が「備えたいこと

ここでは、療育を検討される子が「備えたいこと」をお伝えします。

療育を検討されるということは、ご家族や先生、専門家など、大人の方から見て、何かしら懸念点があることが多いです。

懸念の程度は、個人差があると思いますが、その中には、今後の学習で困る子もいます。

今回は、学習面で困りが出る子のサポートについて、触れていきたいと思います。

学習面の困りが出始めてる(今後出る可能性がある)子は、早めの学習フォローをお勧めします。

理由は、先ほどの “自己肯定感を守る” 、そして “将来の選択肢を狭めない” 為になります。

サポートが遅れ、学習の失敗体験が増えると学力以前に、勉強自体の拒否に繋がります。

個人的には、勉強は、本人が生活で困らない程度に最低限学べれば(ex.読み、計算、文章題)良いと思っていますが、拒否感が出ると、その最低限の学習もできない恐れがあります。

先ほどの療育と同じ考え方ですが、サポートのタイミングによって、その効果は変わってきます。

“学習の遅れがはっきり出てから” と

“遅れが出る前” とでは、同じ時間・労力でも効果が違います。

お子さんが学習する上でも、遅れを埋める学習と、

そうでない学習では、気持ち(自己肯定感・モチベーション)も全然違います。

自信、学ぶ意欲を高めておく方が、長い目で見て良い面が多いです(学習面以外にも)。

学習面のフォローは「タブレット学習」

特性ある子の1つの学習方法になります。

タブレット学習が良い理由は、大きく4つほどあります。

・自分に合うペースでできる
(在籍校の進度にも調整可)

・学習課題の分析
(AIの学習ナビゲート)

・特性に合う学び方
(ex.アニメーション/音声解説)

・勉強っぽくない学習
(ゲーム要素・拒否感を弱める)

特性ある子が、継続的に学ぶ上で必要な要素が、機能として含まれてます。

その他、メリット・デメリットなど詳しい情報は、下の記事をご覧ください。

“グレーゾーン” や “発達がゆっくりな子” にも、共通する内容になります。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良いタブレット学習

「【療育の現場で見てきたこと】早期療育で後悔する4つのパターン」のまとめ

記事のポイントをまとめます。



✅早期療育せず後悔した
 「4つのパターン」
・「就学時健診」で指摘されるパターン
 (ex.会話のキャッチボール・指示理解)

・「就学時健診」で指摘されるパターン
 (ex.多動・集団参加・着席)

・「学習の遅れ」が顕著になるパターン
 (特に、小3~4年頃が多い)

・「不登校(傾向)」になるパターン
 (特に、小学校高学年以降)

早期療育の
 「大切な考え方

・「早期療育=絶対に良い」ではない
・子どもが楽しめるなら、早く始めて損はない
・先送りにして、先々困る方がリスク

✅早期療育の
 「意味(本質的な)
・自己肯定感を守る
・苦手意識・二次障害の予防
・思春期前の介入の方が効果的

療育を検討される子が
 「備えたいこと
・授業の遅れ
・失敗体験の予防
・タブレット学習


以上になります。

本記事がお役に立てば、幸いです。

【関連記事】

【保育園に療育を勧められたら】やるべきこと・注意点・事例

【療育のデメリット】3つの注意点・メリット・心構え・療育の選び方

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発達障害/グレーゾーン/場面緘黙/不登校のお子さんとご家族の支援を、日々行っております。◇療育指導員◇相談支援員◇発達支援10年◇ブログ【週2回更新】◇twitter【毎日発信】◇長男が療育通所中◇

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