

自閉症スペクトラムの子供とのコミュニケーションで悩まれている方へ「子供に声掛けても反応がない。言っていることが伝わらない。そもそも話を聞いているかも分からない。何をすればコミュニケーションがとれるか知りたい」
こういったお困りにお答えします。
✓本記事の内容
- 自閉症スペクトラムの子供のコミュニケーションの特徴
【5つ】 - 自閉症スペクトラムの子供とのコニュニケーション方法
【7つ】 - 自閉症スペクトラムの子供のサポート方法
【4つ】
この記事を執筆している私は、10年の療育指導を通して、1,000名以上の発達障害の子供とその親を支援してきました。
支援してきた中で、「子供が言うことを聞かない」「声掛けても反応がない」「コミュニケーションのとり方が分からない・・」など、
普段のコミュニケーションのとり方で悩まれている方が、多くいらっしゃいました。
自閉症スペクトラムの子供に共通する7つのコミュニケーションのポイントを解説したいと思います。
誰にでもすぐにでき、効果の出やすいものに厳選しています。
専門的な知識を覚えたり、練習が必要な内容は一切ありません。
実践さえできれば、大丈夫です。
ぜひ親の工夫で、コミュニケーションのしやすさが変わることを実感してください!
本記事は、ABA(行動分析)を元に、体系化されています。
「具体的な関わり方を誰でも真似すればできる」が特徴の1つです。
家族間で統一したコミュニケーションの工夫ができると、家族間のコミュニケーションもスムーズになり、もっと楽しめることができます。
ぜひ参考になれば幸いです。
では「自閉症スペクトラムの子供とコミュニケーションができる7つの方法」について見ていきましょう。
自閉症スペクトラムの詳細は、
自閉症スペクトラムの子供の症状とは?【4つの特徴と7つの接し方】
をご覧ください。
自閉症スペクトラムの子供のコミュニケーションの特徴【5つ】

自閉症スペクトラムの子供が、コミュニケーションをとるときに、影響の高い特徴をまとめました。
- その①:目が合わない
- その②:声掛けへの反応ない
- その③:人への興味なし
- その④:興味の狭さ/こだわりの強さ
- その⑤:表情/気持ち/状況理解が苦手
本来、「言葉の遅れ」もあるのですが、言葉の遅れについては、かなり幅広く、情報量が多いため、別記事で解説したいと思います。
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その①:目が合わない

自閉症スペクトラムの子供は、目を合わせることが苦手です。
そのため、コミュニケーションの起点となる、目を合わせる(アイコンタクト)が難しいため、コミュニケーションに発展しづらいです。
自閉症スペクトラムの子供とのコミュニケーションは、まず「アイコンタクトをとる」が最初のステップになります。
その②:声掛けへの反応がない

他者からの声掛けへの反応が難しいです。
一見、無視しているのか、聞こえていないのか判断がしづらいこともあります。
原因は、「何かに夢中で聞こえていない」「聞いているけどやりたくない」「話を理解していない」ことが考えられます。
いずれにしても、反応がむずかしいということを把握しておきましょう。
その③:人への興味がない

自閉症スペクトラムの子供は、目に見えないものを理解することが苦手です。
そのため、人とのコミュニケーションを楽しみづらく、人へ興味を持ちづらい傾向にあります。
人とのコミュニケーションは、お互い言葉を通して、テーマ(話したい内容)を想像しながら話をします。
この想像(目に見えない)が苦手なため、人とのコミュニケーションを楽しみづらく、結果として人へ興味を持ちづらくなります。
その④:興味の狭さ/こだわりの強さ

さきほど解説した、人への興味が弱い分、興味の狭さがあります。
興味の幅が狭いということは、その分、人と楽しめる(関われる)共通のものが少ないということです。
また遊び方にこだわりがあることが多く、
- 物を並べて楽しむ
- 手や物を振って遊ぶ
(物の本来の遊び方をしない) - 決まった流れに沿って遊ぶ
など、一人遊びが多い傾向にあります。
その⑤:人の表情/気持ち/状況の理解が苦手

自閉症スペクトラムの特性上、目に見えない「表情/気持ち/状況の理解」が苦手です。
一言でいうと「空気を読む」ことが苦手ということです。
そのため、悪気なく相手を不快にさせてしまったり、誤解されることも少なくありません。
本人は、思ったことを言っているのですが、
相手に合わせた言い方/タイミング/暗黙の了解がむずかしく、
適切なコミュニケーションや良好な関係を作りづらいです。
自閉症スペクトラムの子供とのコニュニケーション方法【7つ】

自閉症スペクトラムの子供のコミュニケーションの特徴は、理解して頂けたかと思います。
次は、その特徴に合わせた7つの工夫ポイントを解説します。
ここを工夫するだけで、今よりコミュニケーションがとれる方は、たくさんいるでしょう。
全部で7つになります。
ちょっと数は多いですが、1つ1つは短いので、さくっと見ていきましょう!
- 1:「気になるもの」をなくす
- 2:「注意を引いて」伝える
- 3:「目を合わせて」から伝える
- 4:「簡潔」に伝える
- 5:「視覚的」に伝える
- 6:「具体的」に伝える
- 7:「興味のある要素」を入れる
1つずつ見ていきましょう。
1:「気になるもの」をなくす

声を掛ける前の工夫ポイントになります。
自閉症スペクトラムの子供は、特定のモノへの興味が強く、それが理由で声掛けが入らない、やりたがらないことが多いです。
その可能性を減らすため、子供に声を掛ける前に、気になりそうなモノは・・
- 違う場所に片付ける
- 視界に入らないよう布をかぶせておく
(動かせない物)
など、事前に工夫をしておきましょう。
ちなみに、子供の気になるモノとは、
- 人
- 物
- 音
- ニオイ
などです。
細かく言うと、室温(子供が不快に思っている場合)などもあるのですが、
ここでは、みなさんに共通する内容だけ触れていきます!
2:「注意を引いて」伝える

私の経験上、コミュニケーションのとり方で悩まれている方の8割以上は、ここができていません。
親は伝えているつもりだけど、そもそも「子供は聞いていない」状態が多いです。
まずは子供が、こちらに注意を向けている(話が聞ける状態)か確認しましょう。
注意の引き方は、3つあります。
- 子供の視界に入る
- 音を立てる
- 肩をたたく
声掛けへの反応が苦手ということは、聴覚からのアプローチだけでは、不足ということです。
他の感覚(視覚/聴覚/触覚)を使ったり、組み合わせることで、声の掛け方の反応を上げることができます。
また同じ聴覚でも、音の種類を変えるだけで、注意を引きやすいことがあります。
声だけではなく、机を指先でたたく、拍手するなども効果的です。
怖がらせてしまう威嚇にならないよう、丁寧に調整しながら工夫しましょう。
3:「目を合わせて」から伝える

「目が合っているか」を確認し、伝えましょう。
どうしても「目が合わない」という子供は、
さきほど解説した、こちらから子供の視界に入り、目を合わせにいきましょう。
4:「簡潔」に伝える

「短く、ゆっくり、はっきり」伝えましょう。
自閉症スペクトラムの子供は、
「目に見えない声に注意を向ける」「最後まで聞く」「目に見えない情報を理解する」ことが苦手です。
1回で伝える文章量/話すスピードを調整しないと、理解はもちろん、最後まで聞き取ることもむずかしいです。
5:「視覚的」に伝える

目で理解できるよう、絵カード/写真/文字などを使いましょう。
自閉症スペクトラムの特性上、目に見えないものを理解することが苦手なため、視覚的な手がかりがあると伝わりやすいです。
実物→3D(マグネットなどの立体物)→2D(カードなど平面物)→文字、の流れで理解の難易度は上がっていきます。
カードや写真など、子供が一番理解しやすいものを使っていきましょう。
6:「具体的」に伝える

必ず、誰が聞いても共通認識がもてる「具体的な行動」で伝えましょう。
自閉症(スペクトラム)の子供は、推測すること、察することが苦手です。
抽象的な表現、注意/指摘するだけでは、とるべき行動が判断できないことが多いです。
例えば、
子供に片付けを促す場面では、
「部屋キレイにして」
↓
「ここのブロックを全部、この箱に入れて」
のように伝えます。
また実際にやってるのを見せる(モデリング)のも効果的です。
一度指示を出しながら見せ、その後に見たものを真似できるので、
子供にとっては、行動に移しやすくなります。
7:「興味のある要素」を入れる

もし子供が、話を聞いていて、理解もしている場合は、
「やらない(やりたくない)」を選択している可能性が高いです。
そういったときは、子供の興味の持てる要素を入れるようにしましょう。
例えば、
子供に部屋の片付けをしてもらうときに、
親も一緒に違う部屋を片付け、どっちが片付けた部屋がキレイか、
他の家族に判断してもらいゲーム性を入れるなどです。
また片付けなどは、片付けるスピードを競ったり、何個入れられたか勝負をしたり、
子供にとってなるべく、作業にならないような工夫が効果的です。
今日からできる具体的な工夫ポイントをまとめます。
- ゲーム性を入れる
- 競争する
- ポイント制にする
- 他の人も巻き込む
ぜひ親子で楽しめるものがあれば、取り入れてみてください。
自閉症スペクトラムの子供のサポート方法【3つ】

親だけで、解決がむずかしい場合、解決方法は、大きく3つあります。
- 1:療育
- 2:ペアレントトレーニング
- 3:独学(本/ネット)
1:療育

療育とは、子供が専門指導員から受ける訓練になります。
専門指導員とは、心理士/言語聴覚士/作業療法士/保育士など様々です。
また、施設によっては、資格を持っていなくても、
行動分析など、その施設のノウハウを学んだ指導員が指導をすることもあります。
詳しくは、
ADHDの子供の療育とは【種類・費用・通所受給者証のメリット/デメリットを解説】
をご覧ください。
ADHDと記載ありますが、内容は発達障害の子供に共通した内容になっています。
参考にして頂ければ幸いです。
2:ペアレントトレーニング

親を対象とした療育です。
療育の専門家の指導を受け、子供の関わり方を学ぶ講座になります。
子供の療育と違い、2回~12回セットなど、短期間で受講する形になります。
目的によって、ペアレントトレーニングの形態が変わっていきます。
料金や期間、内容も変わりますので、全体的な情報を把握され、ご自身にあった内容を選びましょう。
詳細は、
【ADHDの子供の親向け】ペアレントトレーニングとは【種類/費用/内容など概要を説明します】
をご覧ください。
3:独学(本/ネット)

専門家への相談などが不要の方、ご自身でできる工夫の範囲内で進めたい方は、
本/ネット(サイト)で学ぶことが合っています。
本で学ばれたい方
【ADHDの子供の親向け】おすすめのADHDの本【厳選5冊】
をご覧ください。
私自身も読み、療育支援をする中で実際に、多くの親に勧めてきた本になります。
ネットで学ばれたい方
- 発達マップ(本サイト)
発達障害の子供の育児に関わる、本当に必要な情報だけに厳選しています。
効率良く、知識/関わり方を把握することができます。
具体的な困りの解決方法を知りたい方にもオススメです。
目的にあった情報サイトを探してみましょう。
「自閉症スペクトラムの子供とコミュニケーションがとれる7つの方法」のまとめ

記事のポイントをまとめます。
- 自閉症スペクトラムの子供のコミュニケーションの特徴
【5つ】 - 自閉症スペクトラムの子供とのコニュニケーション方法
【7つ】 - 自閉症スペクトラムの子供のサポート方法
【3つ】
以上になります。
「これはできてなかったかも・・」などありましたら、
ぜひ1つずつ試してみてください。
家族の楽しいコミュニケーションの機会に繋がれば嬉しいです。
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