

ADHDの子供の二次障害が心配な方へ「子供が二次障害にならないか心配。二次障害って具体的にどんなもの?二次障害にならないために、できることを知りたい」
こういった不安、疑問にお答えします。
✓本記事の内容
- ADHDの子供の二次障害とは
- 二次障害の時期
- 二次障害の原因
- 二次障害の種類
- 二次障害を防ぐ方法
「二次障害」という言葉、最近聞くことが増えた方も多いのでないでしょうか?
ADHDなどの発達障害のお子さんは、「二次障害」になる可能性が高くなる傾向にあります。
ただし、ADHDなどの特性と違い、二次障害は、正しい知識/対処法が分かれば、防ぐことができます。
そこで本記事では、二次障害の時期/原因/種類/対処法までをまとめました。
この記事を執筆している私は、療育セラピストを10年程しており、これまで1,000人以上の発達障害/二次障害のお子さんと、その親御さんを支援してきました。
私の支援経験を元にしていますので、参考になれば幸いです!
ADHDの子供の二次障害とは

ADHDの特性が原因による、失敗体験/周囲の無理解/不適切な関わりなどから起こる、二次的な障害のことです。
なぜ無理解が起こるのでしょうか?それはADHD含む発達障害は目に見えづらいためです。身体障害者の方のように、誰がみてもはっきり分かる特徴があるわけではありません。
目に見えないということは、人によって解釈が変わります。授業中に席を立ってしまう子を「問題児」なのか、「ADHDの特性がある子」として捉えるのか、受け手によって、その子への理解が全く違います。
この捉え方の違いが、お子さんへの不適切な関わり、失敗体験に繋がり、長期化すると二次障害になっていきます。
二次障害の時期

二次障害になりやすい時期は、小学校高学年~中学にかけての思春期が最も多いです。主に不登校、家庭内暴力、ひきこもり、非行などです。
思春期になると、本来の発達障害による特性ではなく、それを理解してもらえず、長期間にわたり、不適切な関わりを受け、失敗体験を重ねることが多いです。
そのため自己肯定感の低さや無気力など、二次的な障害へ結びつくのです。
二次障害の原因

二次障害の原因は、主に7つあります。
- その①:家族が障害の受容をしない
- その②:家族関係の悪さ
- その③:親の発達障害
- その④:昼夜逆転
- その⑤:ゲーム/スマホ/ネット依存
- その⑥:学校でのいじめ
- その⑦:社会からの孤立
「二次障害」とは、必ずしも発達障害がきっかけでなるわけではなく、発達障害でない子でもなりえます。
ただ発達障害の子の方が、二次障害になる確率が高いです。発達障害の特性は、二次障害を引き起こす素因になりやすいためです。
二次障害の原因の多くは、失敗体験の積み重ね、周囲の無理解、ネガティブな関わり、誤った関わり方、支援不足などです。ここは環境によって大きく左右されます。
では7つの原因を1つずつみていきましょう!
その①:家族が障害の受容をしない

家族がお子さんの障害を受け入れない。これはお子さんへの理解が浅く、無理なことを強要したり、辛い経験をさせてしまうことに繋がります。
家族の理解は、二次障害を防ぐために、必要不可欠になります。どんなに優れた専門家が介入しても、解決はむずかしいです。
その②:家族関係の悪さ

家族間の関係性の悪さから、お子さんへの理解、共通認識が損なわれ、お子さんのストレス、失敗体験が増えます。
お子さんへの関わりも家族によって、ズレ、適切なサポートはむずかしくなります。
家族が認めないケースと同様で、こちらも二次障害を防ぐためには、家族間の関係性/コミュニケーションは、必要不可欠です。
その③:親の発達障害

一部の発達障害の親が、原因の1つになる場合があります。特に父親が発達障害(ADHD/アスペルガー)のケースが多いです。
お子さんの発達相談をきっかけに、父親の特性が発覚するパターンがあります(お医者様からの指摘/カウンセリングを勧められる)。
また父親が「自分が小さい頃と似てる・・」と思われるケースが多いです。母親は、どちらかというと、うつ病の方が多いです。
私が支援しているご家族で親が発達障害の方は、肌感覚ですが、70%以上は父親です。
父親が「自分も小さい頃同じだったけど、今は問題なく生活できているから大丈夫」と思われる方も多いです。こういった楽観的な考え(無理解)も、二次障害の原因の1つになります。
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その④:昼夜逆転

生活リズムの乱れです。睡眠が一番多いです。昼夜逆転して、起床・就寝時間が不規則な状態です。
日によっては、1日中寝ていたり、食生活の乱れ、歯磨きや入浴をしない、など生活全般に影響が出ていることをいいます。
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その⑤:ゲーム/スマホ/ネット依存

実生活では、辛いことが多く、本人にとっては、現実の中での理解者が少ないです。
自分を認めてくれる人がいる、誰にも否定されない、自由にできる、などの理由からゲームやインターネットに依存するケースがあります。
お子さんにとって、自分が楽しめる手段、自己表現の手段が少ないほど、依存しやすくなります。
その⑥:学校でのいじめ

いじめによる苦痛、そしてサポートの不十分さが二次障害に繋がります。学校の先生の理解も大切になります。
その⑦:社会からの孤立

ADHD含む、発達障害がある子は、幼少期から周りの評価が低く、親や先生から叱責・注意が多く、自己肯定感が低い傾向にあります。
また障害特性から、いじめられたり、問題児扱いされやすいため、人や学校との関わりを避けやすくなります。
二次障害の種類

二次障害は主に4つに分類されます。
- その①:不登校/登校拒否
- その②:心身の体調不良
- その③:うつ病/うつ症状
- その④:暴力的な言動/いじめ/暴力
同じADHDでも、多動・衝動性タイプは4になりやすく、不注意タイプは1、2、3になりやすいです。
その①:不登校/登校拒否
- 些細なきっかけで学校を休み始める
- 無気力
- 昼夜逆転
- 家庭内暴力・暴言
- ゲーム・インターネット依存
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その②:心身の体調不良
- 登校前の身体不調
- 夜尿症
- 場面緘黙(人前だと話せなくなる)
- 疲れやすい、立ちくらみ
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その③:うつ病/うつ症状
- 無気力
- 意欲減退
その④:暴力的な言動/いじめ/暴力
- 常に反抗的/挑発的
- 指示、指摘されることへの過敏さ(怒り)
- 激しい暴力的な言動→反抗挑戦性障害を診断されることあり
- 他害(手を出す)/非行傾向
- 家庭内の暴言/暴力
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二次障害を防ぐ方法【3つ】

発達障害の特性は、生まれ持っているものですので、治すことはできません。その特性を理解し、いかにうまく付き合っていくかが大切になります。
一方で、「二次障害」は周囲の関わり方によって、防ぐことができる障害です。3つの方法があります。
1:ポジティブな関わり

二次障害は、失敗体験の連続→自己肯定感が下がる、の流れです。そのためには、周りの方がポジティブな関わりをすることが大切です。
ネガティブな関わりはネガティブな気持ちしか生みません。そしてネガティブな気持ちは、お子さんの自発的な行動を減らしていきます。
幼少期から親や先生が障害特性を理解し、正しくサポートをすることが必要です。
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2:自信をつける

二次障害になるのは、失敗体験→自己肯定感の低下、の繰り返しです。
お子さんが自信を持てるもの、楽しめるものを作っていくことが必要です。そのためには、色んなことを経験する、触れることが大切です。
二次障害になると、新しいことへのチャレンジも難しくなっていきます。そうなる前に、その子が「自信が持てるもの」を一緒に見つけていきましょう。
3:生活リズムを守る

発達障害のある子は、睡眠障害を持ちやすいので、昼夜が逆転したり、ネット依存になりやすいことに注意し、早寝早起きの習慣をつけることが大切です。
睡眠が不安定な場合は、医者に相談し、服薬を検討することも1つの選択肢です。
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ADHDの子供の二次障害とは【原因/時期/種類/対応方法を解説】のまとめ

記事のポイントをまとめます 。
- 【ADHDの二次障害とは】
・障害特性がきっかけの二次的な障害 - 【二次障害の時期】
・思春期以降が多い - 【二次障害の原因】
・親が認めない
・家族間の不和
・親の発達障害
・生活リズムの乱れ
・ゲーム・ネットの依存
・いじめ
・社会からの孤立 - 【二次障害の種類】
・不登校
・心身の体調不良
・うつ病
・反抗挑戦障害
・家庭内暴力 - 【二次障害を防ぐ方法】
・ポジティブな関わり
・自信をつける
・生活リズムを守る
以上になります。
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