ADHD

【療育セラピストが解説】記憶が苦手なADHDの子供の3つの工夫

投稿日:2020年3月27日 更新日:

記憶が苦手なADHDの子供の対応方法を知りたい方「子供が物忘れが多くて困る、記憶力は良くなるの?家庭ですぐに始められる子供への関わり方を知りたい」

こういったお困り/疑問にお答えします。

記憶力とは、ワーキングメモリ(情報の記憶・処理)といわれます。

今回は、このワーキングメモリに関連する内容を解説していきます。

✓本記事の内容

  • ワーキングメモリの特徴
    【3つ】

  • 記憶が苦手なことによる困り
    【3つ】

  • 記憶が苦手なADHDの子供の対応方法
    【3つ】

  • 家での対応が困難なとき
    【療育をうける】

この記事を執筆している私は、療育セラピストを10年経験しています。

今まで記憶が苦手なADHDの子供の支援を多くさせていただきました。

そんな支援をしていく中で、記憶が苦手な子供でも、工夫次第で対処できる方法がいくつかあることが分かりました。

本記事では、実際に効果があった工夫を具体的に解説していきたいと思います。

記憶が苦手なのは、「やる気がない」「努力が足りない」と思われ、叱責されるきっかけになります。

子供からしたら、精一杯頑張ったけど、忘れてしまい、その結果怒られてしまう・・本当に辛いことです。

そしてそれを支えるママ/パパも、本当に大変だと思います。

ADHDの特性を踏まえ、正しい知識の理解と工夫ができれば、今より忘れ物を減らしたり、指示を聞いて行動しやすくなり、いい意味で今より楽になります。

参考になれば幸いです。

今回は「【療育セラピストが解説】記憶が苦手なADHDの子供の3つの工夫」について見ていきましょう。

「ADHDってそもそも何?」という方は 、

【療育セラピストが解説】ADHDの子供の3つの症状と7つの対応法

をご覧ください。

ワーキングメモリの特徴【3つ】

ワーキングメモリには大きく3種類あります。

  • 覚える
  • 整理する
  • 削除する

ワーキングメモリを理解するときは、机で本の整理をすイメージを持つと分かりやすいかと思います。

1つずつみていきましょう。

覚える

作業(覚える)できるスペースです。この机の広さが一時的な記憶ができる限界値です。よく短期記憶力ともいわれます。

整理する

情報(本)を整理します。この整理が苦手だと、本がたまり、頭の中は混乱します。必要な情報がすぐ出ない(思い出せない)状態になります。

削除する

情報をゴミ箱に捨てる(忘れる)です。過去のことに執着していつまでも覚えている子は、情報をゴミ箱に捨てる(忘れる)作業が苦手になります。

記憶が苦手:治す<付き合っていくもの

よく「記憶力は治せますか?」と質問をいただくのですが、ワーキングメモリは「治すもの」ではありません。記憶の苦手さを「理解し、付き合っていくもの」です。

本記事では、この「付き合い方」を解説していきます。

ここはADHDに関わらず、全ての発達障害に共通した大切な考え方になります。

次はワーキングメモリの3種類の具体的な困りについて解説していきます。

記憶が苦手なことによる困り【3つ】

ワーキングメモリには3種類ありましたね。

  • その①: 覚える
  • その②: 整理する
  • その③: 削除する

ここから種類ごとに解説をしていきます。

その①:覚える

  • 物をよくなくす
  • 忘れ物が多い
  • 板書が苦手
  • 漢字が覚えられない
  • 約束を忘れることが多い

その②:整理する

  • 会話のキャッチボールが苦手
  • 文章題が極端に苦手

その③: 削除する

  • 場面に合わない過去の話をする
  • 会話のキャッチボールが苦手
  • 受け答えがズレる

これらの困りの具体的な方法を一緒にみていきましょう。

記憶が苦手なADHDの子供への対応方法【3つ】

1:覚える

覚えるとは「一時的に記憶する」です。覚えやすくする工夫を解説していきます。

1-1:視覚的に覚えてもらう

例えば、約束などです。視覚化することで覚えやすくなります。

様々な大学や研究会からも発表されていますが、人が情報を得るときの視覚の割合は約80%以上です。効果が高いのは、説明するまでもないですね。

興味のある方は情報のメカニズムを参考にしてください。

1-2:タブレットを使う

今は学校などにも発達障害の理解が広がってきています。タブレットの導入をしている学校も実際にあります。

記憶がどうしても苦手な場合は、先生の協力も得ながら、タブレットで写真をとることもオススメです。

わたしが支援している子供にも実際にタブレットを使って学校の持ち物など写真でとっている子がいます。

2:整理する

情報は頭にあるんだけど、どの情報を引き出せばいいかわからない。その引き出し方について解説していきます。

2-1:視覚に訴えて話をする

「覚える」で解説した、視覚に訴える方法で話をすることです。

例えば、①連絡帳をみながら持ち物を確認 ②宿題のプリントをみながら確認 ③使った物をみせながら片付けを促す ④時計をみせながら約束の時間を確認、などです。

もちろん物理的にできない部分もあるので、可能な範囲ですれば大丈夫です。

2-2:色・区切りで整理する

ひと目でわかるレベルで整理することです。

例えば、①文章題には文節ごとに線を入れて読みやすくする ②文章中のキーワードに印をつける ③教科書・オモチャの場所は箱ごとにわけておく、などです。

3:削除する

不要な情報を忘れるということです。私達は無意識のうちに必要のない情報を削除(忘れています)してます。

この削除がむずかしいために、困りが出ています。

対応方法は「整理する」の2-1と同じです。「視覚的に訴えて話をする」です。今何の話をしているのか視覚的に訴えて過去の記憶と今話すべき記憶の整理をしていくこと大切です。

ここに関しては関わる人のスキルが求められるため、応用的です。ここについてはこのあと解説します。

家での対応が困難なとき【療育をうける】

ここまでワーキングメモリの種類、対応方法を解説してきました。

子供の困りがあまり強くなく、親の実践力も高ければうまくいくと思います。ただそれでもむずかしい場合は、専門家にみてもらうことをすすめます。

本記事では触れませんでしたが、本来は子供自身に「メモをとる」スキルを身に着けてもらうことも有効です。覚えるではなく、なるべく思い出せるよう自分で工夫できるようになると、過ごしやすくなります。

ただ周りの大人のスキルがかなり求められてくるので、ここに関しては療育が良いでしょう。

もし「療育が本当に必要かわからない」という方は、

ADHDの子供の検査とは【種類/受診方法/相談窓口まで徹底解説】

をご覧ください。

子供が5歳以上であれば、WISCⅣという知能検査をうけられます。ワーキングメモリの項目も数字で出るので参考になると思います。

検査や受診方法など記載していますので、検査が必要かも含め、専門家に相談してみましょう。

【療育セラピストが解説】記憶が苦手なADHDの子供の3つの工夫のまとめ

記事のポイントをまとめます 。

  • ワーキングメモリ
    【①覚える ②整理 ③削除】

  • 対応方法
    【①視覚的にみせる ②タブレットを使う ③色や区切りで整理する】

  • 家庭での関わりが限界の場合
    【療育をうけることがおすすめ】

  • 療育が必要かわからない方
    【専門家に相談する】

以上になります。

発達マップでは、ADHDの子供に関する記事を執筆しています。他の記事でも参考になるものがあれば活用いただければ幸いです。

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