

特別支援学級について知りたい方「特別支援学級はどんな子が使うの?うちの子は判定下りるの?内容~卒業後の進路まで、詳しく知りたい」
このような疑問に、お応えします。
☑本記事の内容
✅「特別支援学級」とは
✅特別支援学級の
「判定基準」
✅特別支援学級の
「教育環境」
✅特別支援学級の
「指導内容(障害種別)」
✅特別支援学級の
「メリット/デメリット」
✅特別支援学級の
「入り方」
✅特別支援学級の
「卒業後の進路」
✅特別支援学級を検討する子へ
「準備しておきたいこと」
「特別支援学級」という場所があっても、我が子は利用できるのか?そもそもどういった場所なのか?、いまいち分からないこと、ありますよね。
私は、発達支援の相談/指導員を10年以上しており、これまで特別支援に携わってきました。
この経験を元に、本記事では、判定の基準含めた「特別支援学級に関する基礎的な知識」をまとめてみました。
こちらの記事だけで、概要は把握できると思います。参考になれば幸いです。
特別支援学級とは

特別支援学級とは、原則8名以下のクラスで、お子さん一人一人に合った特別な支援を受けることができるクラスです。
通常の小/中学校において、特別な支援が必要な子を指導する場は、おもに3つあります。
①:特別支援学級
②:通級指導教室
③:普通学級
全体像が把握できると、特別支援学級の位置づけも理解されやすいと思います。
1つずつ説明をしていきますね。
①:特別支援学級(支援級)

特別支援学級に在籍となり、別の教室(クラス)で授業を受けて過ごします。
お子さんの特性に応じたクラスに分かれ、その子に必要な特別なサポートを、受けることができます。
✍特別支援学級⇨増加傾向
特別支援学級を設置している小学校の割合は76.6%、中学校は73.7%。
つまり、ほとんどの小/中学校が特別支援学級を設置しています(2015年文部科学省の調査)。
また、特別支援学級に在籍している幼児児童生徒の数、特別支援学級の数は、どちらもここ20年間は、増加傾向にあります。
②:通級指導教室(通級)

普通学級に在籍している状態で、週1~2回程度(1~2h)、通級指導教室に通って、個別で授業を受けることができます。
お子さんによって、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など、コミュニケーションの練習を取り入れる場合もあります。
学校により、学校内に設置されている場合(自校通級)と、近隣の学校に設置されている場合(他校通級)があります。
平成5年に、通級指導教室の設置が全国で制度化されたため、学校内で通級指導教室がある学校は、増加傾向にあります。
③:普通学級(通常学級)

一般的な学級のことで、1クラス40名以下で構成されています。
学校によっては、補助の先生がいるなど、体制に違いがあります。
特別支援学級の「判定基準」

結論からお伝えすると、特別支援学級の判定基準は、曖昧になります・・。
ただ、対象となる児童の特徴は、8つに分けられています。
- 知的障害
- 肢体不自由
- 病弱/身体
- 虚弱
- 弱視
- 難聴
- 言語障害
- 情緒障害
【参考】日本の特別支援教育について ※文部科学省
たくさんありますが・・その中でも、近年「発達障害」が認知され、支援する動きが広まっています。
文部科学省によると、「特別支援学級に在籍する子の90%以上が、知的障害や発達障害をもっている」とのことです。
特別支援学級の「教育環境」

特別支援学級の指導内容を、見ていきましょう。
✍特別支援学級【小学校】教育課程
①各教科
②道徳
③外国語活動
④総合的な学習の時間
⑤特別活動
⑥自立活動
※国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育、外国語
✍特別支援学校【中学校】教育課程
①各教科
②道徳
③総合的な学習の時間
④特別活動
⑤自立活動
※国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術/家庭、外国語
✍自立活動
障害による、学習or生活上の困難を解決・対処するための指導実施が目的になります。
「個別の指導計画」に基づいて、お子さんに必要な指導目標が決められ、達成していくための指導が実施されます。
例えば、コミュニケーションに不安のある子どもに対して、自分の気持ちを言葉で伝える練習などのSST(ソーシャルスキルトレーング)の時間をとるなどです。
具体的な内容は、お子さん一人ひとりに合わせたものになっています。
✍ 授業レベルの配慮
お子さんの理解力に応じて、各教科の目標・内容を下学年に調整することができます。
通常の学級に所属している場合は、このような配慮を受けることは、できません。
✍普通学級との交流
普通学級の子と、特定の時間を一緒に過ごすことができる機会になります。
これにより、特別支援学級の子と普通学級の子がお互い関わることができます。
例えば、下のような機会があります。
・朝の会や帰りの会は、通常の学級のクラスの子と一緒に過ごす
・給食や体育、音楽の時間は通常の学級で参加する
【合わせて読みたい記事】
【支援学級にいじめはある?】100名以上の子から見える”現状”とは
特別支援学級の「指導内容(障害種別)」

お子さんの障害の種別ごとに、教育内容に工夫がされています。
1つずつ見ていきましょう。
①:知的障害特別支援学級
大きく4つの指導に分かれています。
✍日常生活の指導
基本的生活習慣や集団生活をする上で必要な内容。
✍遊びの指導
遊びを学習活動の中に組み込んだ指導。体も動かし、他児と関わる機会も作っていくもの。
✍生活単元学習
生活上の課題/問題解決のためのスキルを身につける指導。
✍作業学習
手先を使った作業活動を学習活動の中に組み込んだ指導。将来の職業生活や社会自立を目指して総合的に学習するもの。
②:肢体不自由特別支援学級
通常の学級での授業のほかに、身体の動きや認知能力などの向上を目指した指導が行われています。
また、お子さんが可能な限り、自らの力で学校生活が送ることができるよう、廊下やトイレに手すりが付いていたりします。
また洋式の便座などの環境づくりがされていることも、多いです。
③:病弱/身体虚弱特別支援学級
病弱/身体虚弱特別支援学級には、病院内と学校内の2つがあります。
✍病院内の特別支援学級
入院中の病弱児のために、近隣の小学校や中学校を本校として、病院内に設けられている特別支援学級です。
ここでは、病院の職員との連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善等を図るための指導が行われます。
✍小・中学校内の特別支援学級
入院を必要とせず家庭などから通学できる病弱/身体虚弱児のために、小学校や中学校の中に設けられている特別支援学級です。
ここでは、お子さんの病状や発達段階等に応じたの教育内容が指導されることがあります。
普通学級の子どもに関われる機会を積極的に設け、家庭などとの連絡を密にしながら、健康状態の回復・改善や体力の向上を図るための指導もあわせて行われます。
④:弱視特別支援学級
基本的には、小/中学校と同様の学習指導が行われます。
ただ、子どもの視覚障害の実態に合わせた少人数のクラス編制になっており、一人ひとり目標や内容は違い、特別な配慮や工夫がある指導が行われます。
⑤:難聴特別支援学級
こちらも基本的には、小/中学校と同様の学習指導が行われます。また、自立活動などが時間割に取り入れられることもあります。
コミュニケーションの訓練(ex.相手の気持ちに配慮した伝え方など)なども、よくある内容になります。
指導以外でも、専用の機器が用意されています。聴覚活用のためにオージオメータや集団補聴器、発音・発語指導のための音声直視装置などになります。
⑥:言語障害特別支援学級
主に、言語障害の状態の改善/克服を目的とする指導が取り入れられています。
・国語/算数(数学)⇨特別支援学級。
・生活科/図画工作(美術)/体育科/道徳/特別活動⇨普通学級。
このように、個別や集団など、科目に合わせて、参加する学級を変えて、学びを深める取り組みもあります。教室間の行き来をすることもあります。
⑦:自閉症・情緒障害特別支援学級
通常の小・中学校の教育課程を基準にしながら、必要に応じて、特別支援学校学習指導要領を参考にし、お子さんに合わせた指導をしていきます。
また、将来の社会生活に適応できるよう、長期的な目標の元、指導が行われています。
✍日常生活習慣形成のための指導
お子さんに合わせて、食事・排泄・衣服の着脱などの指導を学校生活の中で行います。例えば、食事では、
・スプーン/フォーク/箸で食べる
・食器を使い分ける
・マナーを守って食べる
など、長期的な目標から、逆算して、段階的に指導目標を進めていきます。
✍運動機能・感覚機能を高めるための指導
運動や感覚遊びを通して、情緒の安定/言語の発達/感覚を満たし、行動の安定化をするための指導です。
感覚の偏りがある子は、光や音、匂い、肌触りなど配慮が必要になります。その中で、できるだけ不安を軽減できる環境を作り対処の仕方の指導をしていきます。
✍言葉の内容を理解するための指導
アイコンタクト、相槌、返事、挨拶、人の話を最後まで聞く、相手の話が終わってから話をする、など社会生活に必要なコミュニケーションの指導を行います。
お子さんによっては、絵カード、写真、文字、ジェスチャー、などのツールを使って、やりとりの手助けをすることもあります。
✍人とのかかわりを深めるための指導
人とのコミュニケーションを円滑にするために、まずは大人との一対一の関係性構築から始めて、少しずつ小集団の児童との関係に広げていくような指導になります。
特別支援学級の「メリット/デメリット」

✍メリット
・発達/障害に合った指導が受けられる
・普通学級と行き来ができることもある
・給食の時間など普通級の子との関わる経験ができる
✍デメリット
・在籍基準があいまい
・受け入れ可能人数など地域差が大きい
・お子さんのストレスになることがある
・高校では、ほぼ特別支援学級が設置されていない
・学区内に支援級がない場合、遠くの学区に通学しなければならない
【合わせて読みたい記事】
【支援学級に偏見はある?】教育・療育の現場から見られる”実態”とは
特別支援学級の「入り方」

「小学校入学前」、「入学後」に分けて見ていきましょう。
①:小学校入学前

小学校入学前に、教育委員会に就学相談をすることができます。地域によって内容や呼び方、手順が変わります。
お住まいの地域の就学相談については、お住まいの自治体・学校に問い合わせるのが一番良いです。
✍年中の年~6月頃:情報を集める
お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、HPを参照して、地域にある特別支援学級の有無などについて、情報を集めましょう。
また4月~6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。
就学への不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは親御さんの了承を得て、調査票を作成します。
そして該当のお子さんの親御さん向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。
⚠注意点:私立/認可外の園は、情報が回らない場合もある
私立や認可外の保育園/幼稚園は、教育委員会の管轄外なので、就学関連の情報が回ってこない可能性があります。
その場合は、ご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをお勧めします。
✍7~9月ごろ:就学の相談をする
市区町村の教育委員会へ連絡すれば、就学相談ができます。
就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回の場合もあり)を通してお子さんにとって、最適な就学先を決めます。
お子さんの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いて、お子さんの様子を確認することもあります。
障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などの総合的な情報をふまえ、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。
この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合は、その旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。
就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば、持参することをお勧めします。
②:小学校入学後(普通学級⇨特別支援学級へ)

小学校入学時は普通学級に在籍していたお子さんが、その後通級や支援学級による指導が必要となることもあります。その場合、小・中学校の校内委員会が関係しています。
校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。
その役割とは・・
・支援が必要な子の早期の把握
・支援計画書の作成
・保護者相談の窓口
・担任の指導のサポート
・全教職員の共通理解を図る(研修など)
・専門家に判断を求めるかどうかの検討
このような役割を持った校内委員会が、必要な子への支援の機会提供につなげていきます。
✍中学校への進学
小学校で特別支援学級に在籍していたお子さんが、中学校でも特別支援学級に在籍する場合、同じ学区域内であれば、指導内容は小・中学校の先生、特別支援教育コーディネーターを通して引き継がれます。
【合わせて読みたい記事】
特別支援学級の「卒業後の進路」

進学する子の割合は94.1%です。進学した子どもの中では63.4%が特別支援学校の高等部に進学しています。
高校(高等学校)は、特別支援学級が、設置されていないのが現状です。
理由としては、
・義務教育でないこと
・入学試験などの選抜があること
・高等学校学習指導要領に特別支援学級に関する記述が少ない
などがあります。
ただし通級については、2018年度~文部科学省が準備を進めています。中学卒業後の進路は、早めの情報収集や見通しが大切になってきます。
詳しくは、【特別支援学級の高校はない?】中学校支援級からの進路・対策 をご覧ください。
特別支援学級を検討する子へ「準備しておきたいこと」

特別支援学級を検討される子の中には、学習面で困りを抱えている子が多いです。
もしくは、先々抱える子が多いです。
支援学級の授業で足りるという方は、様子を見る形でも大丈夫です。
ただ、支援学級の授業レベルがお子さんに合っていなかったり(情緒面の課題がある子)、支援学級の先生が理解がなかったり、
お子さんの特性と支援学級の状況によって、困りは大きく変わってきます。
学習面の困りがある(出そう)な子は、早めの学習フォローをお勧めします。
遅れてから始めるより、遅れる前に始める方が、同じ頑張りでもお子さんの自己肯定感や成果は変わってきます。
ちなみに、学習面で困りやすい(表面化しやすい)時期は、小学3~4年生が最も多いです。
私が実際に支援する中で、最も多い学年になります。
そんな学習の困りに対して、私がお勧めしているは、タブレット学習になります。
もちろん、「お子さんが興味を持ちそう。取り組むのは嫌じゃない」、というのが前提のお話になります。
タブレット学習には、家庭内で気軽に取り組めるのはもちろん、
お子さんの課題の自動抽出・アニメーション解説など、学習サポートが充実した機能が、多いです。
・今の課題/今後必要な単元の把握
・小さい成功体験積み、自信をつける
(学習が嫌にならない様に)
タブレット学習については、下の記事にまとめています。
お子さんの学習フォローを、早めに丁寧にされたい方は、ご覧ください。
【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良いタブレット学習とは?4つの条件・理由・注意点
「【どんな子が判定される?】特別支援学級を徹底解説!指導内容~卒業後の進路まで」のまとめ

記事のポイントをまとめます。
✅特別支援学級とは
・少人数で子ども一人一人に合った指導が受けられる教室
✅判定基準
・知的障害
・肢体不自由
・病弱/身体
・虚弱
・弱視
・難聴
・言語障害
・情緒障害
✅教育環境
・各教科
・道徳
・外国語活動
・総合的な学習の時間
・特別活動
・自立活動
✅指導内容
・知的障害特別支援学級
・肢体不自由特別支援学級
・病弱/身体虚弱特別支援学級
・弱視特別支援学級
・難聴特別支援学級
・言語障害特別支援学級
・自閉症・情緒障害特別支援学級
✅メリット
・発達/障害に合った指導が受けられる
・普通級との行き来ができることもある
・普通学級の子との関わる経験ができることもある
✅デメリット
・在籍基準があいまい
・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい
・お子さんのストレスになることがある
・高校は、ほぼ支援級が設置されていない
・学区内に支援級がない場合、遠くの学区に通学しなければならない
✅入り方
・お住まいの自治体に問い合わせ
・就学相談
✅卒業後の進路
・進学する子どもの割合は94.1%
・進学した63.4%⇨特別支援学校
✅準備しておきたいこと
・学習のフォロー
・タブレット学習
以上になります。
本記事が何かのお役に立てれば幸いです。
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