ADHDの子の宿題で悩まれてる方「子どもが宿題に取りかかれない。宿題に取り組める方法が知りたい」
このようなお悩みに、お応えします。
☑本記事の内容
✅ADHDの子が
「宿題に取りかかれない原因」
✅宿題に取りかかれない時の
「対処法」
✅ADHDの子の宿題で
「大切な視点」
✅それでも宿題の状況が
「進展しない時の対策」
宿題は、お子さんはもちろん、親御さんにとっても負担が大きいものです。
ただでさえ負担になる宿題に加え、ADHDの特性を持ってる子にとっては、
宿題に “取り組む” までの過程で、大変なことが沢山あります。
そこで本記事では、
ADHDの子が「宿題に取りかかれない5つの理由・対処法・大切な視点」を紹介します。
この記事の執筆者の私は、お子さんの療育/学習支援を10年以上しています。
その支援経験を元に、本記事をまとめています。
日々の宿題の負担が、少しでも軽くなるキッカケになれば幸いです。
ADHDの子が「宿題に取りかかれない原因」
ADHDの子が「宿題に取りかかれない原因」は、5つあります。
私の経験上では、①②が最も多い原因になります。
①:「自分の欲求」を優先する
(衝動性・自己コントロール)
②:「きりかえ」が難しい
(気持ちの折り合い)
③:注意が「逸れる」
(不注意性)
④:学習自体の「困難さ」
(ex.読み・書き・運筆)
⑤「苦手意識」の強さ
(失敗体験が多い)
①:「自分の欲求」を優先する(衝動性)
ADHDの衝動性が高いタイプの場合、自分の「やりたい!」を最優先にする特性があります。
宿題をやらなきゃ、と頭で分かっていても「○○がしたい!」と思ったら、咄嗟に体が動いてしまうイメージです。
「やるべき」 よりも 『やりたい』 を優先する特性になります。
②:「きりかえ」が難しい(気持ちの折り合いのつけ方)
自分の好きなことをしてる時に、なかなか辞められない状態になります。
何度約束をしても「あと1回、もう少し」と時間が延びていきます。
自分の気持ちに折り合いをつけることが難しく、
結果として宿題に取りかかれない(取りかかるまでに時間がかかる)状態になります。
③:注意が「逸れる」(不注意性)
ADHDの不注意性(注意が散りやすい)が、原因になります。
例えば、テーブルの上にある物をいじりだしたり、兄弟姉妹の動きが気になったり、
TVや外の音に反応したりと、宿題から注意が逸れてしまうパターンです。
④:学習自体の「困難さ」(ex.読み・書き・運筆)
ADHDとは別の特性で、学習の困難さ(ex.読み・書き・運筆)がある場合です。
学習障害(LD)に近い困難さを持っている子もいれば、
処理速度(頭の中で情報を整理する)に困難さがあるケースもあります。
⑤「苦手意識」の強さ(失敗体験が多い)
本人が「どうせ自分にはできない」と思い込んでる状態になります。
理由としては、過去の “勉強の失敗体験が多さ” になります。
・やっても、出来なかった
・やっても、指摘された/怒られた
という経験が苦手意識になり、結果として「宿題に取りかかれない」状態に繋がっています。
ADHDの子が宿題に取りかかれない時の「対処法」
ADHDの子が、宿題に取りかかれない時の「対処法」は、9つあります。
①:「具体的なゴール」を決める
②:「ハードル」を下げる
③:できた後の「楽しみ」を決める
④:できたら「本人が喜ぶ関わり」をする
⑤:「環境」を作る
⑥:「補助グッズ」を活用する
⑦:「小休憩」をはさむ
⑧:「親も一緒」にやる
⑨:「タブレット学習」の導入
①:「具体的なゴール」を決める
見通しがあった方が頑張れる子には、事前の “宿題の中身の確認” が大切になります。
どのぐらい頑張れば終わりなのか、事前に分かっていると、精神的な負担が軽くなる為です。
例えば、私たちがマラソンをする時に「走って下さい」とだけ言われるよりも、
「1キロ先のコンビニまで走って下さい」と言われる方が、気持ち的に楽だと思います。
これは、”具体的なゴール(見通し)” がイメージできている為です。
お子さんにも、具体的なゴールを示し、取り組む促しをする方が効果的です。
紙に書き出すことで、案外宿題がそこまで多くなかった、と感じる場合もあります。
⚠「量の多さ」で嫌になってしまう子もいる
先ほどの説明と、逆になる子もいます。
最初から宿題全部を認識してしまうと、イヤになってしまう子の場合は、避けた方が良い場合もあります。
ただ、その場合は、宿題の取り組み以前に、担任の先生に “宿題の量の相談” が必要かもしれません。(担任への相談は、後述します)
②:「ハードル」を下げる
本人が頑張れるハードル(目標)を調整する方法になります。
例えば、一人ではプリント1枚が限界でしたら、残りのプリントは、大人が一緒に手伝うなど、
本人が “少し背伸びして頑張れるライン” に合わせて、ハードルを設定するイメージになります。
③:できた後の「楽しみ」を決める
宿題が終わった後の “お子さん本人の楽しみ” を、事前に決めておきます。
例えば…
・宿題終了後~18時までゲームできる
・好きなお菓子が食べれる
・ポイントが貯まる
(一定数貯めれば、好きなモノと交換)
私たちも週末の趣味、買い物、友人と食事の時間など、”仕事の後の楽しみ” を目指して頑張ってることが多いと思います。
お子さんには、もう少し短いスパンで楽しみを認識してもらい、頑張るエネルギーに繋げることが大切になります。
またここでのポイントは、本人の頑張り次第で、”本人が得られる結果” を変えることです。
例えば、早めに宿題が終われば、その分遊べる時間が増える、ようなイメージです(宿題終わり次第~夕食までが自由時間の場合)。
大人が全部決めるのではなく、自分(子ども本人)次第で、
自分の楽しみが変わるという経験は、長い目で見ても大切になります。
④:できたら「本人が喜ぶ関わり」をする
宿題ができたら、本人が喜ぶ関わりをします。
・言葉でほめる
・ハイタッチする
・好きなことをさせてあげる
宿題が終わることが、かなり難しい(時間がかかる)場合は、
プリント1枚毎にほめたり、5問解けたらほめるなど、お子さんに合わせて変えることが大切になります。
また、「ほめられる」ことが嬉しくない子には、無理に言葉でほめる必要はありません。
その時は「宿題終わったんだね」と大人が認識したことだけ、さりげなく伝えて、本人の好きなことをさせる形で十分です。
⑤:「環境」を作る
“宿題に取り組みやすい環境” を作ります。
ADHDの子は、衝動性・不注意性など、環境に左右されやすい特性があります。
例えば、
・気になるモノは片付ける
・音が響きづらい部屋でする
・机の向きは壁にする
など、なるべく本人に刺激が入らない様にします。
また人が刺激になることも多い為、宿題の時間は、家族・兄弟姉妹に静かに過ごしてもらえると安心です。
⑥:「補助グッズ」を活用する
ADHDの特性自体は、変わることはありません。その特性を理解し、対処していくことが大切になります。
そのため、本人や周囲の工夫だけではなく、グッズに頼るのも、立派な方法の1つになります。
・姿勢保持の負担を軽くするクッション
・音を遮音するヘッドホン
・目印と音が分かりやすいアラーム
など、色んなグッズがあります。
宿題をする上で、お子さんが感じてる負荷を軽くすることができます。
具体的なグッズは、下の記事にまとめています。参考程度にご覧ください。
【関連記事】
【療育指導員が紹介】ADHDの子が過ごしやすくなるグッズ8選
⑦:「小休憩」をはさむ
「宿題が終わるまで」ではなく、お子さんの “集中力が切れそうになったタイミング” で休憩を入れます。
お子さんの集中できる時間によって、5分、10分などの時間でも良いですし、宿題のキリが良いところで区切るのも1つです。
ここで避けたいのは、集中力が切れているのに宿題をしようとして、形だけになって、なかなか進まない状態になることです。
⑧:「親も一緒」にやる
お子さん一人では、どうしても取りかかれない場合は、大人も一緒に宿題をするのも1つです。
親御さんの負担は大きいですが、一緒にすることで、最終的に時間は短く済む場合ともあります。
親御さんと一緒に宿題をするのが、モチベーションになる子には、オススメの方法になります。
⑨:「タブレット学習」の導入
タブレット学習は、発達障害の特性を想定して、楽しい・分かりやすい・飽きさせない工夫が組み込まれています。
また、教科書・参考書などの文面での “想像・理解” が難しい子にも、
アニメーション・動画など、発達障害の子が “理解・想像しやすい学び方” が豊富にあります。
タブレット学習の良さは、主に3つあります。
・アニメーション/音声学習
(特性ある子も理解しやすい)
・学習課題の自動分析
(解答結果⇨本人の課題を抽出)
・ゲーム性がある
(苦手意識がある子向け)
本人の解答結果をAI分析し、その子に合う課題が自動抽出され、アニメーション/音声解説をしてくれます。
文字の読み書き、参考書・ドリルでの学習が苦手な子にも、取り組みやすいです。
AIが問題を選んでくれる為『解くことだけ』に集中できます。
その日の学習内容を選ぶ段階で、やる気がなくなったり、集中力が下って、形だけの学習になることが避けられます。
学習内容が、本人自身の課題とズレてることが少なくない為、同じ時間でも学習効果が変わってきます。
自分に合った課題を反復学習することで、
「◯◯でやれば、自分にもできる!」
(自分に合った方法を知る)
「◯点とれた!次は◯点を目指してみよう」
(成功体験⇨学習意欲の向上)
など、学習の成功体験の積み重ねから、自分に合った学習方法を知り、学習意欲が高まる中で学習の苦手意識は減っていきます。
そして、学習時間が増えることにも繋がります。
タブレット学習の、その他のメリット・デメリット等は、こちらの記事をご覧ください。
発達障害の有無に関わらず、困りを抱えた子に共通する内容になっています。
1つの学習方法として、参考になれば幸いです。
ADHDの子が宿題に取りかかれない時に「大切な視点」
ADHDの子が、宿題に取りかかれない時に「大切な視点」は、4つあります。
①:「本人が得られる経験」を考える
②:「宿題の調整」の相談をする
③:本人が「選択できる機会」を作る
④:ネガティブな気持ちに「共感」する
①:「本人が得られる経験」を考える(宿題を通して)
「宿題=必ずやらなければいけない」と思われてる方が多いかもしれません。
実際に宿題をしないことで、先生から指摘されたり、怒られることがありますので、お気持ちは,、とても分かります。
ただ、宿題をすることで、お子さんの癇癪が増えたり、親子関係の悪化に繋がるぐらいなら、宿題を全部やることが、必ずしもベストとは限らないです。
逆に、本人に合った適切な量の宿題をすることで、
「面倒くさかったけど、できた!」
「イライラもしたけど、終わったよ!」
など、本人の達成感や喜びに繋がるのなら、それは良いことだと思います。
今向き合ってる宿題に取り組むことで、本人がどんな気持ち(感情)を抱くのか、そこが一番大切だと思います(宿題に限らずですが)。
もしそれが、明らかにネガティブに作用するものでしたら、宿題すること自体を、一度見つめ直す必要があると思います。
②:「宿題の調整」の相談をする
宿題のレベル・量が明らかに、本人に合っていない場合は、担任の先生に相談することをお勧めします。
調整してもらえるかは、担任次第ですが、相談して調整できた方も少なくありません。
もし担任が調整しないスタンスであれば、本人ができる所を親御さんと決めて、その範囲で進めていく方が良いと思います。
「宿題ができない」よりも、
・親子関係の悪化
・本人のストレス過多
これらの方が、中長期的に、遥かにリスクになる為です。
③:本人が「選択できる機会」を作る(尊重する)
宿題をどこまで頑張るのか、を本人に選んでもらう(考えてもらう)形にします。
人に決められたことは、反発心を生みやすく、宿題をやらない理由の正当化にも繋がります。
自分で決めた方が頑張れますし、本人の自己決定スキル(自分で決める力)にも繋がる為です。
④:宿題へのネガティブな気持ちに「共感」する
宿題に対するお子さん本人のネガティブな気持ち・発言に共感をすることです。
「これぐらいで文句言わないの!」「皆もやってることでしょ!」と言いたくなることもあると思います。
ただ、共感してもらえると、本人は理解してくれたと思い、その後の親御さんの話も入りやすくなったり、
本人のストレスも軽減されるため、結果的に宿題に取り組みやすくなります。
それでも宿題の状況が「進展しない時の対策」
ここでは、試行錯誤しても、どうしても宿題の状況が「進展しない時の対策」をお伝えしたいと思います。
宿題に取り組むことが難しい状況ですと、学習の遅れが生じて、今後の生活で影響が出てくる場合があります。
学校で叱責されるキッカケになり、授業や先生、次第に学校自体が嫌になる場合もあります。
なかなか状況に進展が見られない時に、必要になることが3つあります。
・本人の特性/対処法の把握
・本人に合う学習法の把握
・支援の必要性の有無の確認
お子さんの行動には、必ず原因があります。対策をしても、本人の様子に変化が見られないということは、対策が原因にマッチしていない可能性が高いです。
そのため、宿題に取りかかれない原因を明確にし、そこから対策を考える必要があります。
とはいえ、これを読まれてる親御さんは、試行錯誤して難しかった場合が多いと思います。
そこで、支援先(支援者)の力を借ります。継続的な支援でなくても、1回だけの指導で、お子さんの特性、対処法を教えてもらえます。
宿題が取りかかれない要因、対処法、家での環境作りなど、具体的に教えてもらうことができます。
もちろん、継続的な支援の必要性の有無なども教えてもらえる為、専門の先生からの客観的な意見がもらえると、今後の参考になります。
本人の様子を見てもらった上で、家庭できる範囲なのか、支援があった方が良いのかも、把握できると安心です。
✅お子さんの特性の把握は「リタリコジュニア」
リタリコジュニア とは、発達/療育支援の教室になります。
専門の指導員がお子さんの様子を見て、お子さんの特性・必要な学習方法・支援の必要性の有無について、分かりやすく解説してくれます。
リタリコジュニアが良い理由は、大きく5つあります。
・療育の最大手
(信頼/実績/豊富な知見)
・応用行動分析
(エビデンスに基づく指導)
・自己肯定感を高める指導
(子どもの成功体験/楽しさ)
・成果が具体的(書面で受け取れる)
(成果:子どものできた行動の数値化)
(効果的だった学習方法)
・家での関わりサポート
(ペアレントトレーニング)
(親の具体的な関わり方)
特性がある子の学習面においては、
・学習することのメリット(意味)
・学習意欲を高める
・本人に合う学習方法
がポイントになります。
先生とのやりとりを通して、学習することのメリットを感じ、学習の成功体験を積み、少しずつ自信をつけながら、学習意欲を高められると理想的です。
本人が嫌がる場合もあると思いますが、本人への伝え方から、教室に事前相談ができます。
その他、メリット・デメリットなど詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
私の息子が療育に通っていた経験、私自身の支援経験を元にお伝えしています。
また発達障害の有無に関わらず、困りを抱えてる子にとって、共通する内容になっています。
1つの選択肢として、参考になれば幸いです。
「【ADHDの宿題】取りかかれない子に効果的!9つの対処法・4つの視点」のまとめ
記事のポイントになります。
✅ADHDの子が
「宿題に取りかかれない原因」
・自分の欲求を優先する
・きりかえが難しい
・注意が逸れる
・学習自体の困難さ
・苦手意識の強さ
✅宿題に取りかかれない時の
「対処法」
・具体的なゴールを決める
・ハードルを下げる
・できた後の楽しみを決める
・できたら本人が喜ぶ関わりをする
・環境を作る
・補助グッズを活用する
・小休憩をはさむ
・親も一緒にやる
✅ADHDの子の宿題で
「大切な視点」
・宿題を通して本人が得られる経験を考える
・宿題の調整の相談をする
・本人が選択できる機会を作る
・宿題へのネガティブな気持ちに共感する
✅それでも宿題の状況が
「進展しない時の対策」
・本人の特性/対処法の把握
・本人に合う学習法の把握
・支援の必要性の有無の確認
以上になります。
本記事が参考になれば幸いです。
【関連記事】