学級・進路

【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準について

投稿日:2023年2月22日 更新日:

子どもの学級で悩まれてる方「通級に通うのは、恥ずかしいこと?通わせるべきか迷ってる。通う基準・実際に通った子の事例を教えてほしい」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



✅通級の「メリット」

通級の「デメリット」

通級に通った「成功事例」

✅通級に通った「失敗事例」

✅通級に「通う基準」

通級に「通うまでの流れ」

通級を嫌がってる子の
 「学習のポイント/対策」



お子さんの発達・今後の学校生活に心配がある方の中には、

「通級って通った方がいいの…?」と疑問に持たれる方も少なくないと思います。

どんな基準で通級を利用すべきか、判断は難しいですよね。

そこで本記事では、通級を検討する上で参考になる情報をまとめています。

この記事を執筆者の私は、療育指導/発達相談を10年以上しています。

その支援経験を元に、通級に通った子の事例・よくある落とし穴をまとめています。

通級を検討される上で、参考になれば幸いです。

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通級の「メリット」

通級のメリットは、5つあります。



①:「特性に合った指導」が受けられる

②:「安心できる場所」が増える

③:「自己肯定感が下がる場面」を減らせる

④:支援結果が「書面に残る」

⑤:「普通級の在籍扱い」になる



①:「特性に合った指導」が受けられる

通級を検討される子の多くは、特性がある場合が多いです。

言い方を変えると、その子に合った配慮・環境が必要な場合が多いです。

通級は個別(少人数)になる為、先生も柔軟に対応しやすく、必要な配慮・環境が得やすいです。

②:「安心できる場所」が増える

お子さんの「落ち着いて学べる場所」として、安心感に繋げられます。

・話を丁寧に聞いてもらえる
・分からないことは、何度も質問できる


など、”通級” という場所という存在が、お子さんが安心する要素になります。

学校生活を安心して過ごしやすくなります。

③:「自己肯定感が下がる場面」を減らせる

お子さんによっては、普通級だけでは、失敗体験が増える場合があります。

通級があると学びやすくなる子が、通級を利用せず、今の環境(普通級)だけで学ぼうとすることで、

「できなかった」という失敗体験に繋がりやすくなります。

失敗体験があまりに多いと、授業や学校自体が嫌になってしまうこともあります。

そんなリスク(失敗体験)を減らすことができます。

④:支援結果が「書面に残る」

通級では、担当の先生が日々記録(支援内容/子どもの様子)をとってくれます。

書面に残るので、どんな指導(関わり)がお子さんに合っているのか把握できたり、

療育などの機関に、情報共有として活用することもできます。

⑤:「普通級の在籍扱い」になる

普通級の在籍になる為、内申にも含まれます(公立校の受験が選択肢として増える)。

“他校にある通級” で受けた授業(自校に通級がない場合)でも、自校で行った授業としてカウントされます。

通級の「デメリット」

通級のデメリットは、5つあります。



①:通える基準が「曖昧」

②:「自己肯定感が下がる」可能性がある

③:抜けた分の「授業の補修がない」

④:「場所が遠い」場合がある

⑤:「専門性のない先生」の場合もある


①:通える基準が「曖昧」

通級の支援対象となる基準は、明確にはありません。

「普通級での学習に概ね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度」とされています。

「○○だから、通級が利用できる」とは一概に言えず、

生活・学習面など、学校生活で子どもが困難を抱えていないか、様々な面から判断されます。

地域によっては「離席せず授業が受けられる」など、基準を設けてる場合もあります。

ただ基本的には、明確な基準が曖昧なため、学校(地域)によって違いがあるのが現状になります。

②:「自己肯定感が下がる」可能性がある

通級は、授業を抜けて参加するため、お子さんによっては「なんで自分だけなの?恥ずかしい」と疑問や不満を持つことが少なくありません。

特に小学校中学年以降は、周りからの見え方を意識する子が増えるため、そう感じる子が多いです。

③:抜けた分の「授業の補修がない」

通級は、授業を抜けて通うものですが、その分の補修がありません。

お子さんのタイプや抜ける授業によっては、遅れを取り戻すのに、苦労する場合があります。

④:「場所が遠い」場合がある

通級は、在籍校にないことがあります。

他校の通級に通う場合は、親御さんの送迎が必要になる場合があります。

私が支援していた方の中には「仕事の関係で送迎ができないので、通級はギリギリまで様子を見ます..」と、

送迎の問題で、通級の利用を踏みとどまっている方もいました。

学校よって様々ですので、在籍校に通級があるのか、事前に確認できると安心です。

担任の先生に相談するのが早いと思いますが、お住まいの自治体に、通級の設置校を聞くのも1つです。

ただ、以前より通級が設置されている学校は増えていますので、在籍校にないケースの方が少ないと思います。

⑤:「専門性のない先生」の場合もある

通級の先生は全員、教員免許を持っていますが、特別支援の免許(特別支援学校教諭免許)は持っていない場合が多いです。

これは制度上の問題なので、仕方のないことなのですが、先生によって専門性に差があるというのは事実です。

もちろん、特別支援の免許がなくても、素敵な先生はいますし、その逆のパターンもあります。

ただ、そういった背景も把握しておけると、通級の検討の材料になるかと思い、ここで紹介させていただきました。

【関連記事】

【発達障害の子と担任が合わない時】3つの大切なポイント・対処法

級に通った「成功事例」

級に通った子の「成功事例」を2つ紹介します。

ここでいう成功とは、“お子さんの過ごしやすくなったか” という軸になります。

私が実際に支援に携わってきた中でも、特に多かったケースになります。

【通級が安心できる場所になった】小学2年生 ADHD傾向あり👦



授業の内容理解が難しく、次第に授業を嫌がるようになってきました。

それでも授業には参加していましたが、特に国語の理解が難しく、ただただ教室で時間を過ごすだけになっていました。


離席など、周囲に影響を出す子でないこともあり、支援級ではなく、個別の時間(通級)があると良いのではと、学校からお話がありました。

通級に通いだしてからは、本人の中で「通級は楽しい所」という意識がついたようで、普段の授業で拒否感を示すことはなくなりました。

通級の「興味に合わせて楽しく、分かりやすい教えてくれる指導」が本人の安心感に繋がったケースでした。


【SSを学ぶ場になった】小学5年生 ASD(自閉スペクトラム症)傾向あり👧



お子さんが思春期に入り、本人の言動がキッカケで、友達とトラブルになることが増えてきました。

トラブル自体は大きいものではないものの、本人の悪気のない言葉で友達が不快になり、小さな言い争いに発展していました。

本人はイラストカードなど、視覚的に振り返るだけで理解ができる力のある子でした。

学校との相談から、通級を利用することになり、SS(ソーシャルスキル)を学ぶ機会を作ることができました。


1年間通うことで、多少の伝え方の不器用さはあるものの、

トラブルに発展するまではなく、穏やかに過ごせるようになったケースになります。


級に通った「失敗事例」

級に通った子の「失敗事例」を2つ紹介します。

ここでいう失敗も、先ほどと同様で、“お子さんが過ごしにくくなった(辛い思いが増えた)” という軸になります。

こちらも私が実際に支援に携わってきて、特に多かったケースになります。

2つ目のケースは、対策を打って結果的には良い形で乗り越えたケースになります。


【本人が傷ついた】小学2年生 ADHD傾向あり👦



親御さんと学校側で、通級を利用することでお話が進んでいました。


ただ、本人にはしっかりとした説明はせず、本人は何となく違う場所に行くんだぐらいの感覚でした。

いざ通いだしたら、授業から抜けること、周りの目が気になるということを理由に、通級自体を嫌がるようになりました。


「何で僕だけなの?恥ずかしい」「僕がダメだからだ」と、本人が傷つく結果になってしまいました。

そこからは、通級に通うことは難しくなり、支援のない普通級のクラスで過ごすことになりました。


【学習の遅れ】小学3年生👦



通級で、週6コマ利用していたお子さん。

通級自体は、お子さんも楽しんでいて、SSを目的に利用していたので、コミュニケーション面の成長があり、順調でした。


ただ、通級は授業を抜ける形になるので、その分の授業の遅れを取り戻すことが大変で、本人・ご家族の大きな負担になっていました。

ただ通級はまだ必要性があったため、最終的には学習フォローの対策を打ち、家庭でタブレット学習を導入して、授業に大きな遅れが出ないような形で乗り切ることができました。


【合わせて読みたい記事】

【通級にいじめはある?】10年以上の現場から見えた”実態”

通級を「選ぶ基準

通級を選ぶ基準は、大きく3つあります。



①:本人の「意志」

②:本人に必要な「配慮・環境」が多いか

③:「第3者」の意見


①:本人の「意志」

通級に通うことに、お子さんの意志(納得感・必要性)があるのか、が1番大切になってきます。

客観的に必要性があったとしても、本人が望まなければ、

「行きたくなかったのに」「勝手に決められた」とネガティブな気持ちになります。

お子さんの意志がないと、良い方向には進展しません。

それでも通級の必要性がある場合は、通級のメリット・デメリットを伝え、

本人に選んでもらう機会を作ることしかありません。

それでも本人が望まないのであれば、本人の気持ちを尊重し、必要性を感じるまで待つほかないと思います。

具体的な本人への伝え方は、こちらの記事をご覧ください。

特別支援学級を例にしていますが、本質的には同じ内容になっています。

【合わせて読みたい記事】

【子どもに「特別支援学級」って何?と聞かれたら】説明の仕方と注意点

②:本人に必要な「配慮・環境」が多いか

先ほども通級が必要な子には、配慮すべき特性があることが多いというお話をしました。

ここでは、本人に必要な配慮が “通級で得られやすいのか?” の確認をすることが重要になってきます。

例えば「一斉指示の理解は苦手だけど、個別でゆっくり説明が必要」であれば、

検討される通級では、その配慮があるのかを確認していきます。

可能でしたら、担任や通級の先生に、本人に必要な配慮を確認できると安心です。

③:「第3者」の意見

担任、通級の先生、スクールカウンセラー、心理士、療育の指導員など、第3者の意見を聞くことも大切になります。

客観的に見て、必要性があるのか、お子さんが過ごしやすくなるのか、を判断できる材料になります。

第3者の方が必要だと判断する場合は、どういう場面でそう感じるのか、具体的に確認しておけると安心だと思います。

具体的な場面が分かれば、必要な配慮も具体的に考えられる為になります。

通級に「通うまでの流れ」

通級に「通うまでの流れ」は5つのステップになります。




①:学校(担任)に相談

②:学校側で検討

③:入級の申込み

④:教育委員会が面接・検査・審査

⑤:通級指導がスタート


①:学校(担任)に相談

まずは、担任の先生に相談します。この時に、在籍校に通級があるのか、ない場合は、どこの学校にあるのかも確認できると安心です。

また、学校側から提案されるケースもあります。この場合も、最初は、担任の先生とお話をして進めていきます。

②:学校側で検討

学校側が「その子への通級指導の必要性」を検討します。学校側の判断によっては、この段階で「もう少し様子を見ましょう」と言われることもあります。

③:入級の申込み

学校側で検討した結果、「通級指導の必要性あり」と判断された場合は、入級の申込み手続きへと進みます。

その際には「保護者⇨学校へ申込み」→「学校⇨教育委員会へ申込み」という流れで手続きが進みます。

④:教育相談会にて面接・検査

教育相談会(教育委員会内で実施)で、入級の必要性について検討されます。通級が必要かどうかの最終的な決定は、教育委員会でされます。

その際には、「保護者面接」や「医師の観察記録」や「発達(知能)検査結果」「担任の観察記録」などが必要になる場合があります。

通級が必要であると判断される場合もあれば、特別支援学級の必要があると判断される場合もあります。その場合は、再度、特別支援学級への入級相談をする必要があります。

⑤:通級指導がスタート

通級の利用が認められた場合、「入級決定通知」を受け取ります。

その後、通級の指導日が決定し、通級指導が開始となります。


学校によって流れが違いますので、詳しくは在籍校の担任の先生に確認してみましょう。

通級を嫌がってる子の「学習のポイント/対策」

お子さんが通級を嫌がってる場合、無理に通級に通わせることは困難です。

一時的に通えたとしても、途中で通わなくなったり、下手をすると学校自体が嫌になる子もいます。

一方で、学習面の困りがある子の場合、授業の遅れは進んでいきます。

そのため、本人が納得する方法で、学習対策を進める必要があります。

また、学習の苦手意識がつく前に始めることも大切で、失敗体験を重ねすぎると、苦手意識がつき、拒否感に変わっていきます。

本人に合った学習方法で、成功体験を積むことが最大のポイントになります。

学校の授業では理解しきれない子には、大きく2つのパターンがあります。

・理解自体が難しい
・処理する時間が足りない

理解自体が難しい場合は、提示、解説の仕方を本人の特性に合わせて変える必要があります。

学校の教科書、ドリルなど、大多数の子が理解しやすい学び方が合っていない可能性があります。

また、処理する時間が足りないというのは、頭の中で整理し、理解するまでの時間になります。

WISCなどの検査でも、「処理速度」という項目がありますが、ここが他の項目と比べて低い場合には、授業スピードが本人に合っていない可能性があります。

一方で、本人に合ったペースなら、理解できる部分を増やしやすいとも言えます。

これらの踏まえ、通級を嫌がる子(学習面の心配がある)の学習対策の1つとして、タブレット学習をお伝えします。

✅学習対策は「タブレット学習」

教科書や市販教材の提示とは違い、アニメーション学習が取り入れられてる為、概念などの理解が苦手な子にも、視覚的に確認できる為、理解がしやすいです。

また、ゆっくり丁寧な音声学習、繰り返し学習もできる為、理解に時間が必要な子に向いています。

学習ステップが、1ページずつ区切られ進んでいくため、途中で止めたり、戻ったり自由に調整ができます。

理解に合わせて、スピードを調整すれば、心強い学習ツールとして、活用ができます。

その他のメリット・デメリット・合う子・合わない子の特徴など、詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良い タブレット

発達障害に関わらず、グレーゾーン、発達が気になる子にも共通する内容になります。

1つの学習対策として、参考になれば幸いです。

「【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準」のまとめ

記事のポイントになります。



通級の「メリット」
・個人に合わせた指導
・安心できる場所が増える
・自信を失う場面が減らせる
・支援の結果が書面に残る
・普通級の在籍になる

通級の「デメリット」
・通える基準が曖昧
・子どもが傷つく可能性がある
・抜けた分の授業の補修がない
・場所が遠い場合がある
・専門性のない先生の場合もある

✅通級に通った「成功事例」
・通級が安心できる場所になった
・コミュニケーションを学ぶ場になった

✅通級に通った「失敗事例」
・本人が傷ついた
・学習が遅れた

通級を「選ぶ基準」
・本人の意思
・必要な “配慮/環境” の多さ
・第3者の意見

通級に「通うまでの流れ」
①学校(担任)に相談
②学校側で検討
③入級の申込み(親⇨学校⇨教育委員会)
④教育相談会にて面接・検査・審査
⑤通級指導スタート

通級を嫌がってる子の
 「学習のポイント/対策」

・本人が納得する方法で進める
・学習の苦手意識がつく前に始める
・学習の成功体験を積む
・タブレット学習

以上になります。

本記事が、参考になれば幸いです。

【関連記事】

【発達障害の子におすすめな習い事】選び方・注意点

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