

子供の発達が心配な方「クレーン現象が出て、子供の発達が心配。このまま様子を見ていていいのかな。クレーン現象の適切な接し方を知りたい」
こういったお困り、疑問にお答えします。
✓本記事の内容
- クレーン現象とは
- クレーン現象への接し方
- 子供の発達の相談窓口
「言葉じゃなくて、手を引っ張ってる・・これって自閉症の特徴なの・・?」
「自閉症の本で読んだ特徴が出てる・・病院に行った方がいいの?」
周りの子に対して、お子さんの発達がゆっくりだと、心配になりますよね・・。
この記事の執筆者の私は、療育指導を10年以上しています。これまで1,200名以上の発達障害のお子さんとその親御さんを支援してきました。
その支援経験を元に、本記事では、クレーン現象の接し方/相談先をまとめました。参考になれば幸いです!
クレーン現象とは

クレーン現象とは、「人の手を道具のように使い、欲しい物をとろうする行動」をいいます。クレーン現象は、自閉症スペクトラムのお子さんにとっての、コミュニケーション手段の1つです。
言葉が未発達なお子さんは、本来、言葉の代わりに「指差し」をして、教えてくれます。自閉症スペクトラムの子は、この「指差し」が難しいため、クレーンで要求をします。
私たち大人も、ゲームセンターのUFOキャッチャーや工事現場のクレーン車など、自分たちの欲しい物がとれないとき、道具を使います。
子供の「欲しい物があるとき、指差しではなく、親の手を近づけようとする行動」が、工事現場のクレーンに似ているため、「クレーン現象」といわれています。
✍クレーン現象の原因

自閉症スペクトラムの特徴の1つの「言葉の遅れ」が関係しています。また自閉症スペクトラムの子供は、目に見えないものを理解することが、苦手です。
人差し指を伸ばす手の形(指差し)は認識できても、指差しの意味を理解することは、難しいことが多いです。
指先とそれを指し示す対象物との関係の理解が難しいためです。これらの特性が原因になります。
✍クレーン現象の捉え方

ここまで読むと、「クレーン現象」が出るのは良くないんだ・・と思われる方も多いかも知れません。確かに、言葉の遅れが影響をしているため、不安になると思います。
ただクレーン現象も子供にとっては、立派な意志の表現です。子供が精一杯表現してくれているクレーン現象を受け入れ、その上でこれから必要な接し方をしていきましょう。
「クレーン現象=今のお子さんの精一杯の意志の表現」と捉えていくことが、大切になります。
クレーン現象への接し方

クレーン現象への接し方は、3つあります。基本的に子供の要求が出る場面で、接し方を工夫します。
理由は、要求が出る場面は、子供のモチベーションが一番高く、促しやすいためです。
また子供自身が頑張った結果、要求が通る(子供のメリット)ことで、次の行動にも繋がりやすくなり、行動の定着がしやすくなります。接し方は、子供の発達段階によって分かれます。
- 1:クレーン+目があう→要求を通す
(目が合わない子) - 2:クレーン+音のマネ(1~3音)→要求に応える
(単音発声あり、マネができる子) - 3:クレーン+発語→要求に応える
(単語が言える+マネができる子)
これはあくまで私の感覚値ですが、3才以下の子供で、「2ヶ月以上クレーン現象が出てる+言葉の成長が全く見られない」場合は、言葉の発達を促す接し方ができると安心です。
3才以上の子供は、意志の表現がクレーン現象のみの場合は、接し方に工夫があった方がいいです(もしくはクレーン+単語のみの表現の場合)。目安として、参考にして頂ければ幸いです!
1:クレーン+目があう→要求に応える

ここでは、目を合わせる(アイコンタクト)ことがむずかしい子供が対象になります。クレーン現象は、子供の立派な意志の表現です。
ただコミュニケーションは、相手と目を合わせ、言葉のやりとりをすることです。1才の段階で目が合うことが難しい場合は、普段のクレーンに加えて、目が合ったら要求に応えてあげましょう。
クレーンで全て要求が通っていると、自閉症スペクトラムの子供の場合は、それ以上の要求手段(目があう/言葉)を使わない可能性があります(使う理由がないため)
それは子供のコミュニケーションスキルの成長が止まってしまうことになります。「クレーン+目があう」ができたら要求に応えましょう。
ちなみに「目をあわせることができないかも」という方は、下の工夫を実践してみましょう。
- 親から子供の視界に入る
- 引っ張られた手を親の顔に近づけ、目を合わせる
- 事前に親の手を親の顔に近づけ、目が合うようにする
2:クレーン+音のマネ(1~3音)→要求に応える

さきほどの「目を合わせる」を「音のマネ」に変えるイメージです。クレーンが出たら、親が発声し、子供がマネできたら要求に応えましょう。
意志の疎通は、音(先々の言葉)でやることを理解してもらうためです。そして自分で発した音で変化が起こったら(要求が通った)、自分で音を発する意味を見出し、次第に発声による表現が増えていきます。
具体例を参考にしてみましょう!
子:(手を引っ張る=クレーン)
↓
親:「あー」(音の真似を促す)
↓
子:「あー」(音の真似をする)
↓
親:お菓子を渡す(要求に応える)
※子供の出せる音で促しましょう
3:クレーン+発語→要求に応える

こちらは、さきほど解説した、その②の「単~複数音のマネ」を「単語のマネ」に入れ替えれば大丈夫です。
こちらも具体例をご覧ください!
子:(手を引っ張る=クレーン)
↓
親:「おちゃ」(真似を促す)
↓
子:「おちゃ」(真似をする)
↓
親:おちゃを出す(要求に応える)
※子供の出せる単語で促しましょう
このように親の接し方次第で、子供のできることは、増えたりします(逆に減ることもあります)。
詳しい解説は、関連記事をご覧ください!
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✍注意点
「クレーン現象が出た」ということだけで、子供が自閉症スペクトラムだ、発達障害だ、と決めつけるのは避けましょう。
2歳、3歳の定型発達のお子さんでもクレーン現象が出ることもありますし、自閉症スペクトラムの子供でも、出ない子もいます。
つまりお子さんにとって様々です。傾向として、多い少ないは事実としてありますが、大切なことは、その気になる行動が子供や周りの人が困っているのか?を確認することが大切です。
もしくは先々の生活で困る可能性があるのか?です。さきほどのクレーン現象が数ヶ月出ていて、言葉の成長が全く見られない場合は、先々子供が困る可能性があるので、親の接し方を工夫することをオススメします。
子供の発達の相談窓口【3つ】

ここまで読んでいただいても、子供の発達が心配な方は、相談窓口へ連絡することをオススメします。
窓口はかなり混み合っていて、数ヶ月かかる方も多いですが、客観的な意見を聞けることは参考になると思います。
3つの相談窓口を紹介します。
- その①:子育て支援センター
- その②:保健センター
- その③:発達障害者支援センター
それぞれの相談窓口の詳細は、関連記事をご覧ください!
【関連記事】
自閉症スペクトラムの子供の相談先とは【種類/方法/注意点を解説】
「自閉症スペクトラムの子供のクレーン現象とは【必要な3つの接し方】2歳、3歳の定型発達の子にも見られるのか」のまとめ

記事のポイントをまとめます。
- 【クレーン現象とは】
・指差しの代わりのコミュニケーション手段 - 【クレーン現象への接し方】
・子供の発達に合わせて3つの中から選ぶ - 【子供の発達の相談窓口】
・子育て支援センター
・保健センター
・発達障害者支援センター
以上になります。
本記事がお役に立てれば嬉しいです!
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