発達ゆっくりな子が心配な方「発達ゆっくりな子は、その後どうなるの?時間が経てば、皆に追いつくもの?それとも困りが大きくなるの?」
このようなお悩みに、お応えします。
☑本記事の内容
✅発達ゆっくりな子の「その後」
~よくある事例を紹介~
✅子どもの発達が
「どうしても心配な時」
✅発達ゆっくりな子に
「今、家族にできること」
✅子どもの発達が気になる時に
「注意したいこと」
現在の小・中学校には、発達障害の可能性がある子の割合が8.8%と言われています。
診断がつく程ではなくても、発達がゆっくりだったり、やや特性が見られてる子も多くいます。
「発達はゆっくりだけど、今は生活で大きな困りはない。でもその後はどうなるの?支援は必要ないの?」
実際に、こんな疑問や不安を抱えて悩まれてる親御さん方は、増えています。
そこで本記事では「発達ゆっくりな子のその後」に関する情報をまとめました。
私は、発達・療育支援の相談/支援員を10年以上しており、
これまで発達障害・発達ゆっくりな子(親御さん)の支援に携わってきました。
私が現場で支援してきた事例を元に、まとめています。
参考になれば幸いです。
発達ゆっくりな子の「その後」~よくある事例を紹介~
発達ゆっくりな子の「その後」で、
よくある3つの事例を紹介します。
私が支援する中で、特に多かったケースになります。
①:「緩やかに近づく」
(発達ゆっくりだけど、生活に支障なし)
②:困りが「大きく」なる
(日常生活に支障が出る)
③:「自己肯定感」が低い状態になる
(問題なさそうに見えて本人は辛い)
①:「緩やかに近づく」(発達ゆっくりだけど、生活に支障なし)
生活上、大きな困り感なく、過ごせている状態になります。
周りより1テンポ遅い、コミュニケーションがやや不器用、など、
発達のゆっくりさが影響してる部分はありますが、周りの理解もあり、本人も楽しく過ごせています。
周りからしたら「ちょっと◯◯が苦手なのかな」「ちょっと変わってるな」と、
思われることはありますが、嫌われたり、距離を置かれるなどはありません。
本人が、周囲との違いをそこまで気にしないタイプで、
周りにも大きな影響を与えない場合は、大きな問題には、なりにくいです。
ここでいう大きな問題とは、授業妨害・友達を不快にさせる・著しい学習の遅れなどになります。
②:困りが「大きく」なる(日常生活に支障が出る)
周りとの違いが大きくなり、困りが顕在化してくるパターンになります。
例えば、言葉がゆっくりな未就学の子で、今まではオモチャを通してお友達と関われていたけど、
周りが言葉でコミュニケーションを取る機会が増えてきたため、お友達との関わりが減っていく(言葉でやりとりが難しい為)ことです。
就学前~小学校低学年ですと、ルールのある遊び・活動が増え、
そのルール理解が難しいことで、周りとトラブルになったり、孤立するなどがあります。
このように、周囲の成長、周囲との関わり方が変わることで、困りがハッキリ出てくることは、よくあります。
③:「自己肯定感」が低い状態になる(表面上は問題なさそう⇨本人は苦しんでる)
思春期を迎える頃の子に、特に多いです。中には、小学校低学年の子もいます。
周りと自分の違いを認識するようになり、
「何で自分だけ出来ないんだろう」
「自分は何をやってもできないんだ」
と、思うようになり、自己肯定感が下がってきます。
初めてのこと・環境などに対して、不安や苦手意識が強まってきます。
子どもの発達が「どうしても心配な時」
子どもの発達が「どうしても心配な時」は、
ご家族ができることは、3つあります。
①:「相談窓口」に相談する
(お住まいの障害福祉課)
②:「療育」を受ける
③:「家での関わり」を工夫する
①:「相談窓口」に相談する(お住まいの障害福祉課)
お住まいの自治体(障害福祉課)に相談をすることです。
「子どもの発達について相談がしたい」とお話されれば、そのままご案内があります。
お子さんの様子にもよりますが「様子を見ましょう」と言われる方も多いので、
その場合は “家でできる関わり” を具体的に聞いてみると良いと思います。
言葉の発達がゆっくりな子でしたら、
「言葉の成長を促すために家でできる具体的な関わり方はありますか?」と聞くイメージになります。
②:「療育」を受ける
療育とは、困りがあるお子さん(親御さん)に対して、必要なスキル獲得をする支援を指します。
お子さんが困っていたり、周りから見て困りが出そうな様子があれば、早めに療育を受けるのも1つです。
療育の詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。
メリット・デメリットなど、事前に把握しておけると、見通しも立ち、考えやすいと思います。
【合わせて読みたい記事】
【療育のデメリット】3つの注意点・メリット・心構え・療育の選び方
③:「家での関わり」を工夫する
家で、お子さんに “必要な関わり” をすることです。
例えば、発語を促したい子でしたら、
“言葉で要求できた⇨本人の要求に応える” などの関わりをすること(発語するメリットを学んでもらう為)です。
ご家族間で統一した関わりがあると、家で過ごす時間も、お子さんの成長として、より充実した時間になります。
ただ、“今のお子さんにどんな関わりが必要か” の判断は、ご家族には難しいと思いますので、
専門家の方に、アドバイスをもらうことをお勧めします(専門家の方に一度、直接お子さんを見てもらう)。
発達ゆっくりな子に「今、家族にできること」
発達ゆっくりな子と過ごす中で、
「家族にできること」は、5つあります。
①:その子自身を「認める・ほめる」
②:「ハードル」を下げる
③:「ポジティブな視点」で向き合う
④:「過去の本人」と比べる
⑤:「周囲の理解」を広げる
①:その子自身を「認める・ほめる」
「年齢を基準にした発達」ではなく『その子自身』を受け入れ、目を向けることになります。
得意・不得意、成長のペースなど、一人ひとり違います。
“その子自身” のを認めて、できたことをほめていくことが、ご家族にとって大事な視点になります。
②:「ハードル」を下げる
「年齢相応のこと」を求めるのではなく、”その子にとって” を考えることになります。
「周りの子ができること」よりも「その子が頑張ってできること」を目標にして、
“本人が頑張るハードル” を、下げていくイメージになります。
✅甘やかしは「できることをさせない」こと
「ハードルを下げる」を “甘やかし” と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、これは甘やかしではありません。
周りと同じことを求めて、失敗体験が重なれば、本人は自信を失い、意欲を失っていきます。
そうなると、本人自身が一番困ることになります。
“ハードルを下げる” は、本人が成功体験を重ね、自己肯定感を上げていく為のものです。
自己肯定感は、生活する上での原動力になる、とても大切なものになります。
③:「ポジティブな視点」で向き合う
“できなかったこと” より、“できたこと” に視点を置くことになります。
例えば、言葉の発達がゆっくりな子でしたら、
「2語文(ex.◯◯やって)が出ない」
⇨『単語が出せる』
宿題が苦手な子でしたら、
「プリント3枚終わらなかった」
⇨『プリント2枚まで終えられた』
このように、ポジティブな側面で物事を見ていく(リフレーミング)ことが大切になります。
ご家族がポジティブな視点が持てると、本人への関わりもポジティブになり、
結果として、本人の自己肯定感が上がりやすくなります。
④:「過去の本人」と比べる
頭で分かっていても、親御さんはつい、周りの子と比べてしまうことがあります(私も親なので、お気持ちは分かります..)。
ただ、特に発達がゆっくりな子と関わる上では「過去の本人と比べる」ことが大事になります。
「◯歳だから」
「◯年生だから」
「周りの子はできてるから」
このような視点で関わるのは、本人の自己肯定感を下げるだけです。
「1ヶ月前の本人」
「去年の本人」
「前回、取り組んだ時の本人」
など、過去の本人と比べ、成長を見ることが大切になります。
⑤:「周囲の理解」を広げる
幼/保育園、小/中学校の先生、場合によっては、クラスメイトなど、
本人と関わる機会が多い人(特に大人)に、本人の特性を伝えてくことになります。
周囲の理解があるだけで、本人が助けを求めやすかったり、周りからサポートを受けやすくなります。
ただ、お子さん本人によっては、特別扱いを嫌う場合もあるので、
「先生には伝えるけど、クラスメイトには伝えない」など、本人の気持ちに合わせて、線引きする必要があります。
先生と相談しながら、クラスメイト(親御さんも)の雰囲気やタイプに合わせて、相談できるのが良いと思います。
子どもの発達が気になる時に「注意したいこと」
子どもの発達が気になる時に、
「注意したいこと」は、5つあります。
①:本人の「失敗体験」
②:「周りの子」と比べる
③:「他の子に追いつく」という思考
④:親が「一人で抱え込む」
⑤:学習の遅れの「様子見」
①:本人の「失敗体験」
本人の失敗体験を「重ねない」「増やさない」様にすることです。
誰にでも失敗はあるので、失敗自体が必ずしも悪いわけではないのですが、
失敗体験が続くと、自己肯定感が下がり、今後の本人の生活に大きな影響を与えます。
【関連記事】
【療育の後悔】受けないと、子どもの将来にどんな可能性が?事例を元に解説
②:「周りの子」と比べる
こちらは、先ほども触れた内容になります。
“周りの子” は、一つの目安程度に留め、『過去の本人と比べる』ことが大切になります。
③:「他の子に追いつく」という思考
発達や成長は、一人ひとりペースがあります。
「他の子と同じことができる為」
「クラスメイトに追いつく為」
このような視点は、本人を苦しめることに繋がりやすいです。
本人が、自分自身を否定されてる様に感じます。
あくまで、”その子自身” を認めて、関わることが大切になります。
【合わせて読みたい記事】
【療育で追いついた?】療育で成果が出るポイント、成功・失敗事例を紹介
④:親が「一人で抱え込む」
お子さんの発達の悩みは、親御さんの気持ちのご負担が大きいです。
一人で抱え込むには、重すぎます。
身近な方・相談できる人を見つけ、話せる繋がりを持つことが、親御さん自身を守る意味でも大切になります。
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⑤:学習の遅れの「様子見」
診断名がつくようなハッキリした特性が見られない場合、支援に繋がるべきか、配慮してもらうべきか、など判断が難しいです。
その中でも、判断が遅かった為に、後からお子さんが困る要素の1つとして、”学習面の遅れ” があります。
「親が家で教えれば大丈夫かな」
「少し時間をかければ理解できるから、様子を見よう」
これらは、小学校低学年の内は、何とかなる場合もありますが、中学年以降になると対応できない親御さんが増えます。
理由は、学習内容が複雑になる為、これまでの方法では、お子さんの理解が追い付かなくなるためです。
また、親御さんとしては「教えればできる」と思っていても、お子さんとしては「勉強をやらされてる」「授業が分からなくて嫌」と、不満やストレスが積み重なっている場合も少なくありません。
その積み重ねが、小学校中学年以降の学習の難易度が上がるタイミングで、問題が表面化(学校の行き渋り、学習拒否、テストの点数が低い)されます。
問題が表面化された時には、本人の学習の苦手意識がついていたり、学習フォローをしても、遡って学習する部分が多いため、フォローが困難になります。
小学校に入って学習面で困らない為にも、本人の特性に合った学習フォローを、早めに始めておくことが大切になります。
✅学習フォローは「タブレット学習」
まずは、家庭でできる学習フォローを考えたいです。
家庭内で困難な場合は、療育や家庭教師など、専門の先生の力を借りるのが良いです。(時間、労力、費用がかかる為)
家庭でできる学習フォローの1つとして、タブレット学習があります。
教科書や市販教材のドリルなどで理解しにくい子にとっては、アニメーション解説が効果的な場合が多いです。
また、本人の回答結果を分析し、必要な単元を抽出してくれる為、遡って学習する際にも、効率的に学習が進められます。
タブレット一台で完結できる学習フォローは、家族の負担を最小限にできる良さもあります。
その他、メリットデメリットなど詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
グレーゾーン、発達がゆっくりな子にも、共通する内容になります。
1つの学習方法として、参考になれば幸いです。
「【発達ゆっくりな子のその後は?】療育の現場の事例紹介~今、家族に出来ること~」のまとめ
記事のポイントになります。
✅発達ゆっくりな子の「その後」
~よくある事例を紹介~
・緩やかに近づく
⇨発達ゆっくりだけど、生活に支障なし
・困りが大きくなる
⇨日常生活に支障が出る
・自己肯定感が低くなる
⇨問題ない様に見えて、本人は辛い
✅子どもの発達が
「どうしても心配な時」
・相談窓口に相談する
(お住まいの障害福祉課)
・療育を受ける
・家で関わり方を工夫する
✅発達ゆっくりな子に
「今、家族にできること」
・その子自身を認める/ほめる
・ハードルを下げる
・ポジティブな視点で向き合う
・過去の本人と比べる
・周囲の理解を広げる
✅子どもの発達が気になる時に
「注意したいこと」
・本人の失敗体験
・周りの子と比べる
・”他の子に追いつく” という思考
・親が一人で抱え込む
・学習の遅れの様子見
以上になります。
本記事が、参考になれば幸いです。
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