家での関わり方/その他

【子どもの癇癪】3つの原因から考える!クールダウンの方法~自閉症の子にも有効~

投稿日:2020年5月21日 更新日:

子どもの癇癪で困っている方「癇癪が多くて困っている。気に入らないと、すぐに癇癪を起こす。適切な癇癪の対処法が知りたい」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



✅癇癪とは

癇癪の原因

✅癇癪の対処法
(クールダウンも)

癇癪のNGな対応

それでも
 「癇癪が落ち着かない時」


癇癪は、お子さんや親御さんも疲弊して、大変ですよね。家はもちろん、外出先だと、周囲の目もあり、余計疲れると思います…。

この記事の執筆者の私は、療育指導を10年以上しています。

支援をする中で、癇癪の相談を頂くことが多く、どう接していいか困っている方が、大勢いらっしゃいました。

その経験を元に、本記事では、「癇癪の原因・対処法・NGな対処法・親のイライラ対策」をまとめました。

その場だけの対処法ではなく、癇癪の根本解決(癇癪を減らすorなくす)の方法も、お伝えします。

誰にでも、すぐに実践できる内容になっていますので、安心して読み進めてください。

癇癪とは

癇癪とは…



①:床にひっくり返って泣く

②:周りの人を叩く/蹴る/噛む

③:物を投げる、壊す

④:自分を傷つける
※頭をたたく、壁に頭突きなど


このような行動になります。どう接すればいいか、困ってしまう行動ですよね…。

ただ、癇癪を含めた全ての行動には、必ずその子なりの、メッセージ(意味)があります。

この意味を理解し、接することが大切になります。

癇癪とは、大きく2つの意味があります。



①:自己表現

②:要求の手段


①:自己表現

自分を傷つけるレベルの癇癪が出る子には、言葉の発達がゆっくりな場合が、多いです。

本来なら、自分の気持ちを言葉で伝えられる所が、言葉の未発達/未学習が原因で、「癇癪」という表現に、なることがあります。

そのため、『その子の発達段階に合う適切な自己表現』を身につけることが、必要になってきます。

②:要求の手段

相手に要求/拒否などを伝える「要求の手段」として、癇癪を起こしている場合があります。癇癪の中で最も多いパターンです。

お子さんは、「癇癪を起こせば、要求が通る/親が動いてくれる」と、誤学習(間違った学び)をしていることが多いです。

「癇癪以外の適切な行動(代替行動)」を教えていく必要があります。

癇癪の原因

癇癪の原因は、3つあります。



①:ほしい/やりたい欲求

②:やりたくない/拒絶

③:注目を得たい


①:ほしい/やりたい欲求

  • 癇癪で最も多い原因
  • 欲しい物/したいことを得るための要求
  • 大人の一貫した対応が求められる
  • 要求を通すことで、癇癪が悪化しているケースが多い※

※ex.欲しいお菓子がもらえない→癇癪→お菓子をあげる

②:やりたくない/拒絶

  • 苦手/興味のないことを避ける行動
  • 課題が難しい、興味ない時が多い
  • 見通しがない為、できないことも多い
  • 無理強いすると一層、癇癪が強くなる

③:注目を得たい

  • 周囲の人の注意を引くための行動
  • 周囲の人の反応を楽しむ
  • 適切な注目の引き方を知らない
  • 行動後に、周りの人の反応を確認する
    (自分に注目しているか)

※ex.親が自分以外と会話中に、大声を出す/物を投げるなど

癇癪の対処法(クールダウンも)

癇癪に関わらずですが、癇癪などの困った行動には、原因へのアプローチが必要になります。まず原因を絞り、対応していきます。

原因にアプローチできれば、癇癪自体が減り、癇癪を起こしたとしても、クールダウンしやすくなります。ここでは、原因の絞り方を、解説していきます。

まず行動が起きるときは、3つの要素に分けられます。「お菓子を食べる」という行動で、見ていきましょう。

もう1つ、例を見ていきます。

このように行動とは「きっかけ→行動→結果」のサイクルで、繰り返されます。

行動には、『行動した結果、行動した人のメリットがあれば、その行動は増える』。


逆に『メリットがなければ、その行動は減る』、という特徴があります。

ここは、言葉だけではイメージしづらいので、具体例でさらに、理解を深めていきましょう。

料理を作る、母親の例になります。

料理を作った結果、家族が喜んでくれれば(母親のメリット)、「また作ろう!」と料理をしようと思います(行動が増える)。

逆に家族の反応が悪ければ(母親のデメリット)、料理を作ろうとは、思わないですよね(行動が減る)

この行動のサイクルを理解し、関わることで、癇癪の根本解決へ、グッと近づきます。

次は、原因の種類・絞り方を、見ていきます。同じ行動でも、原因によって、対処法が分かれます

ここでは「癇癪を起こす」という行動を、原因別で解説していきます。

※厳密にいうと「癇癪を起こす」は行動ではありませんが、どなたにでも伝わりやすいよう、ここではあえて、使いたいと思います。

①:ほしい/やりたい欲求

  • 癇癪による要求には応えない
  • 適切な要求(表現)のみ応える
  • 要求に応えられない場合は、事前に要求がでない環境を作る

要求に応えられないことが、事前にわかっている場合は、なるべく要求がでづらい環境を、作っていきましょう。

例えば、

・オモチャを買ってほしくて癇癪が出る子⇨買い物のときに、オモチャコーナーの前は、通らない

・エレベーターに乗りたくて癇癪を起こす子⇨エレベーターの近くは、通らない

のような、イメージになります。

なるべく癇癪の原因になるものが、視界/耳に入らないようにすることが、大切になります。

子どもの要求が出そうだけど、要求に応えられない…ですと、

適切な要求ができても、メリットを感じづらくなります(言葉での要求が減ります)。

お子さんが、癇癪以外で要求すれば、嬉しいことがある(要求が通る!)と理解し、経験を積んでいくことが、大切になります。

:やりたくない/拒絶

  • 無理やりさせない
  • 子供ができるレベルに調整する
  • 子供が「やりたい」と思う促しをする
  • できたときに褒める

お子さんによっては、興味が限定されていたり、「やりたくないこと」への拒否感が、強く出やすいことが、あります。

特に、興味が限定されていると、「やりたい!」と思えるものが、限られてきます。

誰だって興味がないことは、他人に強要されたくないですよね?そのため、お子さんが興味の持てる要素を課題に入れて、促すことがポイントになります。

まずは楽しく、続けられることが、必要です。例えば、片付けを促す場面でしたら、何個片付けられるか、親と競争する、などです。

1個入れたら、1ポイントカウントして、片付けが終わったら、何ポイント貯まったか発表するなど、ゲーム性を取り入れる方法になります。

大切なのは、「どうやらせるか」よりも、『どう、やりたい!と思ってもらえるか』です。

お子さんの好きな要素を、どう入れるか考えると、上手くいきやすいです。

③:注目を得たい

  • 不適切な行動には無反応
    (注目を与えない)
  • 適切に注目が引けたときは応える
    (注目を与える)

癇癪では、誰も反応してくれない(注目得られない)けど、言葉で呼べたら(適切な注目引き)、

ちゃんと聞いてくれた(注目得られた)という、経験をしてもらうことが、大切になります。

『頭突きなど、怪我の恐れがある癇癪』は、お子さんの頭にそっと手を添えて安全確保し、クールダウンするまで見守りましょう(反応は最小限にしつつ)。

このように、同じ癇癪でも、原因によって、対処法は変わってきます。

1回で理解が難しい場合は、何回でも読んでみましょう。

このアプローチは、療育の現場では多用されている、非常に効果的な手法になります。

✅お子さんの「コンディションが悪い時」

眠い、空腹、風邪気味など、お子さんが本調子でないときは、まずコンディションを整えましょう。

私たちも、体調が悪いときは仕事を休んだり、早退したり、早めに寝るようにすると思います。

コンディションが悪いときに、普段できることを求めることは、お子さんにとって辛くなりやすいですので…。

癇癪のNGな対応

よくあるNGな対応を3つお伝えします。



①:物を与えて解決

②:怒る/無理やりさせる

③:動揺する


①:物を与えて解決

『癇癪が起きる→親が要求に応える』は、必ず避けましょう。

癇癪を通して物がもらえたら、癇癪はさらに増えます。物を与えるのは、その場しのぎになり、長期的に悪化していきます。

ただ、要求に応えないと、一時的に癇癪が増える可能性が、高いです。

お子さんからしたら「今までOKだったのに、何でダメなんだよ!」と怒るでしょう。

実はここが、踏ん張りどころなのです。

お子さんが、

・「癇癪しても意味がないな」
・「○○(言葉で要求など)の方が、要求が通るな」


と思ってもらえるまでは、お子さんとの根比べです。

癇癪の解決には、避けて通れないところになります。

✅困った行動には「傾向」がある

お子さんの困った行動には、傾向があります。

癇癪に対して適切な対応(要求を通さない)をすると、癇癪が一時的に増えます。

図をご覧ください。

お子さんが『癇癪を起こしても意味がないと実感した瞬間』に、癇癪が減ります。

ピークを超えるまでが勝負です。

逆に、このピークの前に「癇癪がひどくなったから、やっぱり物をあげよう」とすると、

お子さんとしては「粘れば良いこと(メリット)がある」と誤った学習し、より癇癪が強まります。

見通しがあると、少し安心できますよね。このピークを超えることを目指して、関わっていきましょう。

②:怒る/無理やりさせる

怒ることは解決にはなりません。

お子さんがどの行動をすればいいのか、理解できないためです。また無理やりさせるのも、同じです。

「自分はダメなんだ…」、「もうやりたくない!」とネガティブな感情・ストレスが溜まり、良い方向にはいきません。

時間を掛けて正しい関わり方で、癇癪の根本解決を、目指していきましょう。

③:動揺する

毅然とした対応を、していきましょう。

癇癪を起こしても「何も変わらない」ことを、理解してもらうことが、大切になります。

癇癪を起こすことで、親御さんが動揺したら、「動いてくれるかも?良いことあるかも?」と、お子さんの期待が膨らみます。

そして期待が高まれば、癇癪を起こす動機になります。

✅「感覚で対処する」は避けたい

原因を確認せず、感覚で対処するのは避けましょう。

仮に上手くいったとしても、次上手くいくとは限りません…。

原因と対処法がズレると、癇癪が悪化する可能性が、高くなるためです。

例えば、授業中に離席する子に対して、先生が「椅子に座るよ」と声を掛ける場面です。

この離席の原因が、注目引きだった場合、お子さんとしては「席から離れれば、先生が声掛けてくれる、またやろう」と、メリットを感じ、離席は増えます。

このように、ちゃんと対応してるはずなのに、「困った行動が変わらない・悪化する場合」は、原因と対処法が、ズレている可能性が高いです。

「【子どもの癇癪】3つの原因から考える!クールダウンの方法~自閉症の子にも有効~」のまとめ

記事のポイントになります。



癇癪とは
・自己表現
・要求の手段

癇癪の原因
・目的を通そうとしたい
・嫌なことから逃げたい
・注目を引きたい

癇癪の対処法
・適切な表現で要求に応える
・できる/興味のあるものを促す
・適切に注目が引けたら、応える

癇癪のNGな対応
・物を与えて解決
・怒る/無理やりさせる
・動揺する


以上になります。

本記事が参考になれば幸いです。


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