家での関わり方/その他

【3歳のオウム返し】健常児にもある?言葉を増やす2つの関わり~3つの具体例~

投稿日:2020年6月15日 更新日:

3歳の子の言葉の発達が心配な方「3歳の子のオウム返しは普通?それとも障害がある?言葉の発達が少し心配」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



オウム返しとは
 ~3歳健常児にもある~


言葉を増やす関わり方
 ~オウム返しが多い3歳児~


✅子どもの発達の相談先



お子さんの言葉にオウム返しが多かったり、言葉の成長がゆっくりですと、心配になる方も多いと思います。

近年、お子さんの言葉の発達で悩まれている方が、増えています。

そこで本記事では「オウム返しが多い3歳の子への関わり方」をまとめてみました。

この記事の執筆者の私は、発達相談を10年以上しており、これまでお子さんの言葉の発達相談に携わってきました。

オウム返しは、自閉傾向がある子によく見られますが、3歳の健常児にも見られます。

そこを踏まえ、情報をまとめています。参考になれば幸いです。

オウム返しとは~3歳の健常児にもある~

「オウム返し」とは、言われた言葉を「そのまま真似して言い返す」ことです。

例えば、「おはよう」と言ったら「おはよう」と返してくれます。でも「ただいま」と言ったら「おかえりなさい」とは言いません(ただいま、と返します)。

真似をするだけで、会話自体は成立していません。この「オウム返し」は、自閉傾向のある子によくみられます。

ただ「オウム返しが出た=何か障害がある」というわけではありません。

ポイントは、「オウム返しばかりで、会話が成立していないか」になります。

オウム返しが多少多くても、会話自体が成立していれば、様子を見る形でも良いと思います。

✅オウム返しの「1つの原因」~自閉傾向がある子の場合~

自閉スペクトラム症の特徴が関係しています。その1つの特徴として、「目に見えないものを想像/理解する」の苦手さがあります。

会話とは、相手の質問の意図、気持ち/状況など、目に見えないものを考えて、伝えることです。

言葉の意図が理解しづらいと、聞いた言葉をオウム返ししやすくなったり、言葉の発達自体がゆっくりな傾向であったりします。

自閉スペクトラム症の詳しい特徴については、【自閉スペクトラム症】4つの特徴/7つの接し方をご覧ください。

✅オウム返しの「考え方」

ここまで読むと、「オウム返し」は良くないんだ…と思われる方も多いかも知れません。

ただオウム返しは、立派な言葉の成長です。

オウム返しとは、言葉のマネ(模倣)です。言葉に限らずですが、学ぶことは全て『真似』から始まります。

真似ができなければ、何も学べません。オウム返しができる=言葉を覚える準備ができたということです。

お子さんの1つの成長として捉え、「得意なマネ」を活かし、会話に繋げる関わりをしていくことが大切になります。

言葉を増やす関わり方~オウム返しが多い3歳児~

オウム返しが多い、お子さんの言葉を増やすポイントは、2つあります。



①:オウム返しの前に、親が「正しい言葉」を言う

②:「視覚ヒント」「場面」と繋げて発する機会を作る


①:オウム返しの前に、親が「正しい言葉」を言う

「オウム返し=マネが上手」ですので、この得意なマネを活かします。オウム返しは出る前に、「正しい言葉」を親が先に言うのです。

親が帰ってきた場面の、具体例で見ていきましょう。

~関わりを工夫しない例~



親:「ただいま」
     ↓
子:「ただいま」


~関わりを工夫した例~



親:「ただいま」
     ↓
親:「おかえりなさい(子供にオウム返しされる前に言う!)
     ↓
子:「おかえりなさい」


もう1つ見ていきましょう。

~関わりを工夫しない例~



大人:「何才ですか?」
     ↓
子供:「何才ですか?」


~関わりを工夫した例~



大人:「何才ですか?」
     ↓
大人:「3歳です(子供にオウム返しされる前に言う!)
     ↓
子供:「3歳です」


2つの具体例のように、お子さんのオウム返しが出る前に、親が正しい言葉を言うことが大切になります。

スピード勝負なので、事前に意識しておかないと、「先に子供に言われちゃった…(オウム返しを)」となってしまいます。

私も慣れないうちは、間に合わないことが何回もありました…。

ただお子さんの様子を観察していると、予想がつくようになりますので、回数をこなし慣れることをお勧めしています。

またお子さんが正しい言葉を言えたら、褒めましょう。正しい言葉が言えれば、自信になり、次第に自分から言えるようになっていきます。

②:「視覚ヒント」「場面」と繋げて発する機会を作る

「視覚的ヒント」や「その場面」になった時に、言葉の促しをすることです。

具体例を見ていきましょう。

~例~



大人:「今日の朝は、なに食べたの?(直後に複数の絵カードを見せる)
     ↓
子供:「クロワッサン(複数の絵カードから食べたものを選びながら)
     ↓
大人:「クロワッサン食べたんだね!教えてくれてありがとう~!」


このように、今何を聞かれているのか分かるよう、絵カードなどの視覚的ヒントがあると、会話のキャッチボールに繋がりやすくなります。

また、視覚ヒントの代わりに、場面を活かす方法もあります。

例えば、外出先からお子さんと一緒に帰宅した時、「ただいま」と一緒に言うよう促しをすることです。

その場面になった瞬間、近くの大人が適切な言葉を発して見本を見せたり、一緒に言うよう促しをすると、場面と言葉が繋がり、日常会話に活かしやすくなります(帰宅する=ただいまと言う)。

こちらの関わりも、オウム返しが出る前にすることが、大切になります。

少し機械的な関わりに感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ただ自閉傾向のお子さんは、パターン化して覚えることが得意な場合が多いため、その子の良さを活かせる関わり方になります。

お子さんが日常生活で活かせるものを身につけていくことが、一番大切だと思います。

✅言い直しさせない/否定しない

オウム返しに関わらずですが、「言い直しさせる/否定する」は避けましょう。

理由は、言葉を発するモチベーションが下がり、発語自体の頻度が減ることに繋がるためです。

例えば、私達も新しく英会話を始めたときに、発音する度に「言い直し/否定」ばかりされたら、やる気がなくなってしまいますよね。

百歩譲って大人の私たちは、「失敗の繰り返しが身になる」など見通しがあるから、まだ割り切れるかもしれません。

ただ自閉スペクトラム症の子は別です。目の前のメリットが重要になります。

言葉が言えたことで、親が褒めてくれる/要求が通る、など嬉しいことがあるから、次の発語へと繋がるのです。

多くの方が、ここを間違って関わってしまうことが多いです。せっかく頑張っているのに、逆効果になってしまうのは、もったいないですよね・・。

【関連記事】

【クレーン現象はいつから?】原因、接し方、相談先

子どもの発達の相談先

ここでは、子どもの発達が心配な時の「相談先」についてお伝えします。

主な相談先は、5つになります。

①子育て支援センター
②保健センター
③区の相談窓口
(障害福祉課)
④児童相談所
⑤民間療育

①~④は、無料になります。

「園に療育を勧められたので、とりあえず相談しておきたい」「急ぎではないけど、先々相談しておきたい」という方に向いています(混み合ってる為)。

相談される施設に「子どもの発達について相談がしたいです」とお問い合わせいただければ、大丈夫です。

一方で、少しでも早く子どもの現状が把握したい、今家でできる関わり方を具体的に知りたいという方は、⑤の民間療育をお勧めします。

費用はかかりますが、①~④に比べると、待ち時間が短く、複雑な手続き、医師の意見書(区の療育で必要)も不要になる為です。

何より、子どもの様子を見てもらい、家でできる関わりを、1回の指導(単発)の中で、具体的に教えてもらうことができます。

相談支援で多いのが「もう少し様子を見ましょう」「〇〇の傾向があるかもしれませんね」と言われて終わることです。

家でどう関わっていけばいいのかなど、具体的なアドバイスがもらえることが少ない為、相談したけど、ずっと悩まれてる親御さんが後を絶ちません。


また、家族間で認識の違いがある場合も多いです。一番多いのは、お母さんだけが心配をしていて、一人で抱えてるケースになります。

特に、父親から「心配しすぎでしょ」「時間が経てば成長するよ」と、相談ができない状態です。

専門の先生から、具体的な見立てやアドバイスがあれば、“家族間で共通認識が持つキッカケ” になりやすいです。

✅発達相談は「リタリコジュニア

私がお勧めする 民間療育は、リタリコジュニア になります。

発達障害、グレーゾーン、発達が気になる子など、様々な子が通う療育/発達支援の教室になります。

お子さんの年齢/特性/困り事によっても、変わりますが、

・発達特性の把握
(ex.言語、社会性、認知、注意特性)

・言葉、コミュニケーション
(アイコンタクト、模倣、発声、発語)
(人との関わり)

・プレイスキル
(遊び方、遊べる物、興味関心を広げる)

園連携
(ex.園での配慮/担任とのやりとり)

など、本人に必要なサポートが、幅広く受けられます。

リタリコジュニアが良い理由は、大きく6つあります。

・療育の最大手
(実績/信頼/豊富な知見)

・応用行動分析
(エビデンスに基づく指導)

・家での関わりサポート
(具体的な親の関わり方)
(ペアレントトレーニング)

・自己肯定感を高める指導
(楽しさ/成功体験)

・園生活の相談
(園での関わりサポート)

・オンライン支援
 (遠方/海外の方向け)

1回限りの指導で、お子さんの発達特性、親の関わり方、園で配慮してほしい点などの把握ができます。

専門の先生から、直接的にお子さんの成長を促してほしい場合は、継続的な支援を受けることもできます。

お子さんの言語/コミュニケーション面に関する相談は、とても多い為、大きな療育機関ですと、その分事例も多いです。

現場の先生から、他の子の事例も聞けると、今後の参考になります。

その他、メリット・デメリットなど詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。

【リタリコジュニア】発達/療育支援教室

私の息子が療育に通っていた経験、私自身の支援経験を元にお伝えしています。

お子さんの様子、ご家庭の状況に合わせて、ご活用いただければ幸いです。

✅相談時の持ち物(あれば良いもの)

・困りをまとめたメモ
・検査結果
・子どもの動画
(癇癪の対応等の相談がある場合)

「【3歳のオウム返し】健常児にもある?言葉を増やす2つの関わり」のまとめ

記事のポイントになります。



オウム返しとは
・3歳健常児にもある
・会話への準備が整った状態
・言葉のマネが上手にできる状態

言葉を増やす関わり方
~オウム返しが多い3歳児~

・オウム返し前に正しい言葉を教える
・否定しない

子どもの発達の相談先
・子育て支援センター
・保健センター
・区の障害福祉課
・児童相談所
・民間療育
リタリコジュニア 


以上になります。

本記事が参考になれば幸いです。

【関連記事】

【自閉症】落ち着くグッズ20選

【発達障害の子向け】タブレット学習~ADHD/自閉症の子に合う4つの特徴~

-家での関わり方/その他

執筆者:


  1. […] 自閉症スペクトラムの子供のオウム返しとは【会話に繋げる2つの方法】 […]

  2. […] 【健常児にもある?】子どものオウム返しとは。言葉を増やす2つの関わりとは […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【作文が苦手】ADHDの子が書ける様になる!作文の6つの方法を紹介

ADHDの子の作文で悩まれてる方「子どもが作文が苦手で困ってる。作文が書ける様になる方法を教えてほしい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 ✅ADHDの子 …

【学習障害】親ができること~家庭できる4つのコト・外でできる2つのコト

学習障害の子で悩まれてる方「学習障害の子に何をしてあげればいい?親ができることが知りたい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 ~学習障害の子へ~ ✅親が家 …

【自閉症の子は絵本をめくる?】めくる理由、おすすめ絵本・遊びを紹介

自閉症の子の育児で悩まれてる方「うちの子は絵本をめくるだけ…。何で絵本を読まないの?読ませる様に促したほうがいいのかな…」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑ …

【場面緘黙の子供】なんで挨拶が苦手なの?3つの理由・5つの接し方とは

人前で話すことが苦手な子の育児で悩まれている方「家では普通に話せるのに、どうして外では話せないの?原因/接し方が知りたい」 このようなお悩みにお応えします。 ☑本記事の内容 &#x270 …

【発達障害】クレーン現象はいつから?定型発達の子にもある?原因、接し方、相談先を解説します

子どもの発達が心配な方「子どもにクレーン現象が出て、発達障害なのか心配。クレーン現象には、どう関わればいいか教えてほしい」 このようなお悩みにお応えします。 ☑本記事の内容 &#x270 …

サイト作成者プロフィール

Image

発達障害/グレーゾーン/場面緘黙/不登校のお子さんとご家族の支援を、日々行っております。◇療育指導員◇相談支援員◇発達支援10年◇ブログ【週2回更新】◇twitter【毎日発信】◇長男が療育通所中◇

2023/12/18

【不登校の平均期間は?】短くなる時、長くなる時の違い(特徴)~期間より大切な7つのコト~

2023/12/14

【禁句】不登校の子に言ってはいけない言葉~8つの言葉・NGな理由~

2023/12/03

【療育に通うまでの流れ】6つのステップ、3つの注意点~目的に合った療育を選ぶ~

2023/10/24

【療育に通う基準】3つのポイント~療育を始める方が多い4つの時期~

2023/10/04

【保健室登校(別室)】成績はどうなる?よくある2つの事例と5つの対策

2023/10/03

【口に物を入れる】発達障害の子向けの対策~関わる上で大切な3つの視点~

2023/09/12

【発達障害だけど普通学級で貫き通します】事例の紹介~学級選びのポイント~

2023/09/01

【発達ゆっくりな子のその後は?】療育の現場の事例紹介~今、家族に出来ること~

2023/08/17

【学校をまた休む】不登校の復帰後の4つのポイント~再不登校の予防法~

2023/08/04

【よく寝るのは問題?】不登校の回復期のサイン・関わり方・注意点とは

2023/08/01

【療育のデメリット】3つの注意点・メリット・心構え・療育の選び方とは

2023/07/04

【不登校】学校とのやりとりで大切な3つのポイント・2つの注意点とは

2023/05/11

【療育支援員が紹介】不登校の子にオススメな習い事。4つの選ぶポイント・注意点とは

2023/03/23

【発達障害の子と担任が合わない時】3つの大切なポイント・対処法とは

2023/02/22

【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準について

2022/10/12

【発達障害の子向け】噛み癖に役立つグッズ5選!支援員が使う時のポイントを解説

2022/06/16

【発達障害】落ち着くグッズ20選~自閉症の子がクールダウンする時のポイント~

2022/04/27

【発達支援員が使った感想】すららの無料体験~5つの長所、4つの短所~

2022/04/06

【宿題でいつも癇癪…】発達障害の子がスムーズにできる6つの対処法

2022/03/16

【療育支援員がおすすめ】発達障害(グレーゾーン)の子向けの習い事~選ぶ時の8つのポイント~

2022/01/12

【2024年 支援員がおすすめ】発達障害の子向けタブレット学習~ADHD/自閉症の子に必要な4つの特徴~

2021/10/21

【支援級勧められたけど普通級に行った!】学級選びで大切な3つのポイント

2021/06/30

【保育園に療育を勧められたら】やるべきこと・注意点・事例を元に解説

2021/06/18

【療育支援員が紹介】発達障害の子におすすめな椅子5選!補助グッズも解説

2021/06/16

【療育に行かなかったら後悔する?】よくある5つの事例~早期療育はどの子にも良い~

2021/02/24

【特別支援学級】子どもへの説明~2つのポイント~良い/悪い7つの具体例~

2021/01/15

【療育辞めてよかった!】辞めるタイミングは4つ!事例・注意点も解説します

2020/12/07

【場面緘黙の子供】なんで挨拶が苦手なの?3つの理由・5つの接し方とは

2020/07/27

【発達障害】逆さバイバイはいつまであるの?原因と接し方について解説します

2020/06/03

【自閉症の子が夢中になる!】人気おもちゃ26選~療育支援員が紹介~

2020/05/21

【子どもの癇癪】3つの原因から考える!クールダウンの方法~自閉症の子にも有効~

2022/06/02

【発達相談員が紹介】発語を促すおもちゃ12選~言葉が遅い子の4つの遊び方のコツ~

2023/05/25

【発達障害の子にプレゼント】おすすめ28選!支援員が紹介する自閉症・ADHDの子が好きなオモチャ

2022/11/14

【発達障害の子向け】おすすめゲーム7選~自閉症、ADHDの子が楽しく学べる~

2023/09/13

【知的障害の子におすすめ】おもちゃ19選!感覚遊び~全身運動まで紹介

2023/08/26

【知的障害の子におすすめ】室内遊び20選~おもちゃ・グッズを紹介~