

人前で話をすることが苦手な子の育児で悩まれている方「家では普通に話せるのに、外で話さないのは甘えなの?どう接すればいいか教えてほしい」
こういった疑問、お困りにお答えします!
☑本記事の内容
- 場面緘黙とは
- 場面緘黙の子どもの困り
- 場面緘黙の子供の接し方
- 場面緘黙の子供のNGな接し方
「家では普通にしゃべるのに、外で話さないのは甘え・・?」
「話さない原因が甘えなのか分からない・・良い接し方が分からない・・」
家では普通に話をするのに、家を出た途端話をしなくなる・・「何で??」と不思議に思ったり、どう接していいか困ってしまいますよね。
この記事を書いている私は、療育セラピストを10年程しております。
これまで場面緘黙/発達障害/二次障害のお子さんとその親御さんの支援をしてきました。
その経験を元に、本記事では、場面緘黙のお子さんの「特徴/原因/困り/接し方/NGな接し方」をまとめました。
本記事が参考になれば幸いです!
場面緘黙とは

場面緘黙(かんもく)とは、家族など慣れている人以外に話をすることが難しい状態をいいます(家ではごく普通に話せるにも関わらず)。
例えば、幼稚園/保育園/学校/習い事などの場所や家族以外の人と話せない状態が1ヶ月以上続くなどです。
✍場面緘黙の原因
原因は医学的にはっきりしてません。ただ原因として、扁桃体(不安/恐怖を司る脳の一部)の過敏性が指摘されています。扁桃体(へんとうたい)とは、身の危険が迫ると対処法(戦うor逃げる)を一瞬で判断する脳の一部になります。この扁桃体の過敏さから「話さなきゃ」と分かっていても、強い緊張/不安にかられ、話すことが難しくなると言われています。
✍場面緘黙の割合
0,2~0,5%になります。学校に数名はいる計算になります。
✍人見知りとの違い
程度の違いになります。社会生活に大きな支障が出る場合は、場面緘黙として継続的なサポートが必要になります。
✍場面緘黙の診断基準
□他の状況で話せるけど、ある特定の場面(保育園/幼稚園/学校など)では一貫して話せない
□話せないことにより、社会生活/成長に大きな影響が出ている
□1ヵ月以上続いている(入園/入学時など特定の期間ではない)
□話せない理由が言葉の遅れによるものではない
□コニュニケーション障害/発達障害とは違う
場面緘黙の子どもの困り

場面緘黙のお子さんの困りは、「能力が発揮できず、社会生活に支障が出る」ことになります。
場面緘黙のお子さんは、緊張する場面になると、具体的に下の状態になります。
- ①:固まる
- ②:無表情
- ③:反応がない
- ④:声を出さない
- ⑤:笑顔がなくなる
①~⑤の状態になることで、伝えたいことが伝えられない、誤解を受け辛い思いをすることが増えます。
「話せない」ことで失敗体験が増えてくると、二次障害(鬱など)に発展し、困りが強まる場合もあります。周囲の理解が大切になってきます。
【関連記事】
発達障害の子供と二次障害の関係とは【原因/種類/対応法/相談先を説明します】
場面緘黙の子供の接し方

場面緘黙のお子さんへの接し方は、大きく5つあります。基本的には、お子さんの安心/楽しめる人/場所/活動/時間を作ることになります。
これから説明する5つの内容は、全てお子さんの「安心/楽しい」が前提のものになります!
- 1:家/家族以外で関わり楽しかった経験を増やす
- 2:夢中になれるもの/場所を増やす
- 3:好きな習い事をする
- 4:1~3の楽しめたことを話す
1:家/家族以外で関わり楽しかった経験を増やす

「家/家族以外の人と関わって楽しかった」という経験を作ることが、大切です。
この成功体験が積み重なってくると、人と関わることも楽しみが増え、緊張も和らいでいきます。緊張/不安を減らす方法も大切ですが、それ以上にお子さんの「楽しかった!」の経験を積むことが必要になります。
2:夢中になれるもの/場所を増やす

お子さんの「夢中になれるもの/それができる場所」を増やすことです。
これが増えてくると、人と関わる手段が増えます。言葉で交わす以外にも、一緒に何かを作ったり、ゲームをしたり、スポーツをするなどがあります。言葉だと緊張しても、話すことが求められず楽しめる方法なら、関わりやすいです。
3:好きな習い事をする

お子さんの「好き!楽しい!」が詰まった習い事をしましょう。
先程の夢中になれるものを、一定の時間や場所を得ることで、お子さんの成功体験や自己肯定感が上がる機会が保つことができます。
4:1~3の楽しめたことを話す

1~3で楽しめた経験を家族(お子さんが安心して話せる人)で話題として話し、楽しみましょう。
お子さんが1~3の経験を「少し緊張するけど、楽しいし、またやりたい」と思ってもらうことが大切です。そのために、家で楽しかったことを振り返ることは良いことです。
場面緘黙の子供のNGな接し方

場面緘黙のお子さんへのNGな接し方は、2つあります。
1:話をさせようとしない

場面緘黙のお子さんに、「声を出す、話をしてもらう」ことを求めるのは、避けるべきです。分かっていても、できないのが困りなので、「求められる→話せない→失敗体験→自己肯定感下がる→一層話せなくなる」、流れに陥りやすいです。
場面緘黙のお子さんは、周囲の変化に敏感です。大人の「話をさせよう」という意図も感じ取り、構えてしまったり、緊張が強まり、拒否感が強まっていきます。良いことは何もないので、本記事の接し方をしながら、時間をかけることが必要になります。
場面緘黙のお子さんに話をするよう促したり、練習させようとするのは、最も避けるべき関わりになります。
2:否定する

「話せない」ことを否定することは避けるべきです。「話せないとダメだよ」はもちろんですが、「今日、先生に挨拶できた方がよかったね」「今後は頑張って声出してみよう」など、お子さんからしたら否定と捉えられる表現も避けるべきです。
「やっぱり自分はダメだったんだ」と思い、自信を失い、ふさぎ込んでしまいます。「話せない」を連想させる声掛けも避けましょう。
3:人前で話せたことを褒める

場面緘黙のお子さんは、人に注目されることが負担になります。「人の注目を得る」「話すことそのものに触れる」は避けましょう。話せても自然にしていて、やりとりを楽しめれば十分です。
もしお子さんの気持ちを確認されたい場合は、家など、お子さんが安心して気持ちが言える空間が良いです。お子さんの気持ちに寄り添った日々の関わりが大切になります。
【場面緘黙の子供】話さないのは甘え?【接し方/NGな接し方を解説します!】

記事のポイントをまとめます。
- 【場面緘黙とは】
・特定の場面で話すことが難しい状態 - 【場面緘黙の原因】
・医学的にはっきりしていない
・一説では:脳の扁桃体の過敏さ - 【挨拶が苦手な理由】
・注目が集まりやすい
・失敗体験の積み重ね
・自分から発するハードルの高さ - 【場面緘黙の子への大切な視点】
・話をさせようとしない
・安心/楽しいが最優先 - 【場面緘黙の子供の接し方】
・家族以外で関われる人を増やす
・楽しめるもの/場所を増やす
・「話さなくてもいい」活動に参加
・習い事をする
・1~4の楽しめたことを話す
以上になります。
関連記事も載せておきますので、役に立ちそうなものありましたら、ご活用ください!