家での関わり方/その他

【場面緘黙の子】話さないのは甘え?5つの特徴、4つの関わり方、避けたい接し方

投稿日:2020年12月8日 更新日:

場面緘黙の子の育児で悩まれている方「家では普通に話せるのに、外で話さないのは甘えなの?どう接すればいいか知りたい」

このような疑問、お困りにお応えします。

本記事の内容



✅「場面緘黙」とは
 
(原因、割合、基準など)

場面緘黙の子の
 「5つの特徴」

場面緘黙の子の
 「4つの接し方」

場面緘黙の子に避けたい
 「3つの関わり方」


それでも
 「進展が見られない時」



「家では普通にしゃべるのに、外で話さないのは甘え…?」

「話さない原因が、甘えなのか分からない…良い接し方が分からない…」

家では普通に話をするのに、家を出た途端話をしなくなる..「何で??」と不思議に思ったり、どう接していいか困ってしまいますよね。

この記事を書いている私は、お子さんの療育指導/相談支援を10年以上しています。

これまで、場面緘黙の子への支援もしてきました。

その経験を元に、本記事では、場面緘黙のお子さんの「原因・特徴・接し方・注意点」をまとめてみました。

本記事が参考になれば、幸いです。

場面緘黙とは

場面緘黙(かんもく)とは、特定の場面で、話をすることが難しい状態をいいます(家ではごく普通に話せるのに)。

例えば、幼稚園・保育園・学校・習い事などの場所で人と話せない状態が、1ヶ月以上続くなどです。

✅場面緘黙の原因

原因は、医学的にはっきりしてません。ただ原因として、扁桃体(不安/恐怖を司る脳の一部)の過敏性が指摘されています。

扁桃体(へんとうたい)とは、身の危険が迫ると対処法(戦うor逃げる)を一瞬で判断する、脳の一部になります。

この扁桃体の過敏さから「話さなきゃ」と分かっていても、強い不安にかられ、話すことが難しくなると、言われています。

✅場面緘黙の割合

0,2~0,5%になります。学校に、数名はいる計算になります。

✅人見知りとの違い

程度の違いになります。社会生活に大きな支障が出る場合は、場面緘黙として継続的なサポートが必要になります。

✅場面緘黙の診断基準

□特定の場面(保育園/幼稚園/学校など)で一貫して話せない

□話せないことにより、社会生活/成長に大きな影響が出ている

□1ヵ月以上続いている(入園/入学時など特定の期間ではない)

□話せない理由が言葉の遅れによるものではない

□コニュニケーション障害/発達障害とは違う

場面緘黙の子の「5つの特徴」

場面緘黙のお子さんの困りは『能力が発揮できず、社会生活に支障が出る』ことになります。

場面緘黙のお子さんは、緊張する場面になると、下のような様子が見られます。



①:固まる

②:無表情

③:反応がない

④:声を出さない

⑤:常に緊張してる


①~⑤の状態になることで、伝えたいことが伝えられない、誤解を受け辛い思いをすることが増えます。

「話せない」ことで失敗体験が増えてくると、二次障害(鬱など)に発展し、困りが強まる場合もあります。周囲の理解が、大切になってきます。

【関連記事】

【発達障害の子の二次障害は治らない?】原因・予防/対処法を解説

場面緘黙の子の「4つの接し方」

場面緘黙のお子さんへの接し方は、大きく4つあります。

基本的には、お子さんの安心できる人・場所・活動・時間を、作ることになります。

これから説明する4つの内容は、全てお子さんの「安心」が、前提のものになります。



①:「家/家族以外で」楽しかった経験を増やす

②:「夢中になれるもの/場所」を増やす

③:「好きな習い事」をする

④:1~3の楽しめたことを「振り返る」


①:「家/家族以外で」楽しかった経験を増やす

『家/家族以外の人と関わって楽しかった』という経験を作ることが、大切です。

この成功体験が積み重なってくると、人と関わることも楽しみが増え、緊張も和らいでいきます。

緊張/不安を減らす方法も大切ですが、それ以上にお子さんの「楽しかった!」の経験を積むことが、必要になります。

②:「夢中になれるもの/場所」を増やす

お子さんの『夢中になれるもの/それができる場所』を、増やすことです。

これが増えてくると、人と関わる手段が増えます。言葉で交わす以外にも、一緒に何かを作ったり、ゲームをしたり、スポーツをするなどがあります。

言葉だと緊張しても、話すことが求められず楽しめる方法なら、関わりやすいです。

③:「好きな習い事」をする

お子さんの『好き!楽しい!』が詰まった習い事をします。

先ほどの夢中になれるものを、一定の時間や場所を得ることで、

お子さんの成功体験や自己肯定感が上がる機会が保つことができます。

④:1~3の楽しめたことを「振り返る」

1~3で楽しめた経験を家族(お子さんが安心して話せる人)で話題として話して、楽しく振り返ります。

お子さんが1~3の経験を「少し緊張するけど、楽しいし、またやりたい」と思ってもらうことが、大切になります。

そのために、家で楽しかったことを振り返ることは、とても良いことです。

面緘黙の子に避けたい「3つの関わり方」

面緘黙の子に避けたい「関わり方」を3つお伝えします。

①:話をさせようとする

場面緘黙のお子さんに、「声を出す、話をしてもらう」ことを求めるのは、避ける必要があります。

分かっていても、できないのが困りなので、「求められる→話せない→失敗体験→自己肯定感下がる→一層話せなくなる」

このような流れに、陥りやすいです。場面緘黙のお子さんは、周囲の変化に敏感です。

大人の「話をさせよう」という意図も感じ取り、構えてしまったり、緊張が強まり、拒否感が強まっていきます。

場面緘黙のお子さんに話をするよう促したり、練習させようとするのは、最も避けるべき関わりになります。

②:否定する

「話せない」ことを否定することは避けるべきです。「話せないとダメだよ」はもちろんですが、

・今後は頑張って声出してみよう
・今日、先生に挨拶できた方がよかったね

このようなお子さんからしたら、否定されたと捉えられる表現も、避けられた方が良いです。

「やっぱり自分はダメだったんだ」と思い、自信を失い、ふさぎ込んでしまいます。

「話せない」を連想させる声掛けも、避けていきたい所です。

③:人前で話せたことを褒める

場面緘黙のお子さんは、人に注目されることが負担になります。

・人に注目される
・話すことそのものに触れる


これらも避けられる方が、良いです。話せても自然にしていて、やりとりを楽しめれば、十分です。

もし、お子さんの気持ちを確認されたい場合は、家など、お子さんが安心して気持ちが言える空間をお勧めします。

お子さんの気持ちに寄り添った日々の関わりが、大切になります。

✅「学習場面」が負荷になることも

勉強を教わる場面で、

・分からない箇所が聞けない
・分からない所が伝えられない

など、学習面で膨大なエネルギーを使ったり、ストレスを感じる子もいます。

特に小学校中学年以上ですと、親御さんが教えることも難しくなってくる為、塾や家庭教師が必要になってきます。

ただ場面緘黙の子の場合、それが難しい場合も多いです(形でできても、本人が無理をしてるケースがある為)。

お子さんの学習の場面で負荷がかかっていそう(かかりそう)でしたら、タブレット学習をお勧めします。

タブレット学習では、アニメーション・音声で解説をしてくれ、分からない箇所は何度も確認することができます。

「伝えられない・聞けない・分からなかったらどうしよう」という不要な緊張/ストレスを避けることができます。

詳しく知りたいは、こちらの記事をご覧ください。

【支援員がおすすめ】発達障害の子向け タブレット学習

発達障害の子向けの記事になりますが、場面緘黙のお子さんにも参考になる内容になっています。

お子さんのタイプ別に複数のタブレット学習を解説していますので、お子さんに合う特徴のタブレット学習が見つけやすいと思います。

それでも「状況が進展しない時」

ここでは、家で試行錯誤されても、お子さんの様子に「ポジティブな変化が見られない時」についてお伝えします。

場面緘黙は、少し関わり方を変えただけで、短期的に変化が見られることは少ないです。

一方で、避けたい関わりをすると、途端に緊張感が高まり、お話をすることは遠のいていくばかりです。

場面緘黙のお子さんには、根気強く、安心できる関わりや環境を作り続けることが大切になります。

ただ、場面緘黙の子に合わせた関わりは、とても難しく、専門的な経験がない親御さんが、適切に関わることは、難しいことが多いです。

そのため、支援経験がある先生に一度見てもらい、本人の特性、必要な関わり、環境、逆に避けたい関わり、環境を教えてもらうことが大切になります。

関わる上で、根本的な認識を揃えておかないと、お子様に必要な関わりや環境作りを家族みんなで進めていくことは難しいです。

場面緘黙は、失敗体験に繋がることも多いです。

周囲の無理解により、無理を強いられたり、誤解され傷ついたり、ネガティブな経験になることも少なくありません。

失敗体験を積み重ね自己肯定感が下がる前に、回復できる段階の内に、まずは、家族の方が本人のことを理解する時間が必要になります。

✅お子さんの相談は「リタリコジュニア

リタリコジュニア とは、療育/発達支援の教室になります。

場面緘黙、不登校、発達障害、グレーゾーン、など、特性に関わらず、様々な困りを抱えてる子が通われてます。

お子さんの年齢/特性/困り事によっても、変わりますが、

・安心できる繋がり
(信頼できる人/居場所/成功体験)

・コミュニケーション
(気持ちを言葉にする/表現方法)

自己管理
(感情コントロール/ストレス発散法)

学校連携
(ex.学校での配慮/担任とのやりとり)

など、本人に必要なサポートが幅広く受けられます。

リタリコジュニアが良い理由は、大きく6つあります。

・療育の最大手
(実績/信頼/豊富な事例)

・家での関わりサポート
(具体的な親の関わり方)
(ペアレントトレーニング)

・自己肯定感を高める指導
(安心感/楽しさ/成功体験)

・園/学校生活の相談
(担任との連携)

・オンライン支援
 (遠方/海外の方向け


・応用行動分析
(エビデンスに基づく指導)

1回の指導で、本人の特性、親の関わり方、配慮すべき点など、必要なことを教えてもらえます。

お子さん自身の成長促進を希望される場合は、継続的な支援を受けることもできます。

他の場面緘黙のお子さんの事例も聞けると、今後の参考になると思います。

その他、メリット・デメリットなど詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。

【リタリコジュニア】発達/療育支援教室

私の息子が療育に通っていた経験、私自身の支援経験を元にお伝えしています。

お子さんの気持ち/様子、家庭の状況に合わせて、活用いただけますと幸いです。

【【場面緘黙の子供】話さないのは甘え?5つの特徴と4つの接し方とは。NGな接し方も紹介】

記事のポイントになります。



✅「場面緘黙」とは
 
(原因、割合、基準など)
・特定の場面で話すことが難しい状態

場面緘黙の子の
 「5つの特徴」

・医学的にはっきりしていない
・一説では:脳の扁桃体の過敏さ

場面緘黙の子が
 「挨拶が苦手な理由」
・注目が集まりやすい
・失敗体験の積み重ね
・自分から発するハードルの高さ

✅場面緘黙の子の
 「4つの接し方」

・家族以外で関われる人を増やす
・楽しめるもの/場所を増やす
・「話さなくてもいい」活動に参加
・習い事をする
・1~4の楽しめたことを話す

場面緘黙の子に避けたい
 「3つの関わり方」

・話をさせようとする
・否定する
・人前で話せたことをほめる

それでも
 「状況が進展しない時」

・本人の特性の把握
・親の関わり方を学ぶ
・民間療育の活用
リタリコジュニア


以上になります。

不安が強い子には、「今のままでも大丈夫だよ」という、

“ありのままのお子さん ” を認める姿勢が、大切になります。

お子さんの安心に繋がるキッカケになれば、幸いです。

【関連記事】

【不安が強い子供】今日から始められる!2つの原因と8つの対処法

-家での関わり方/その他

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  1. […] 【場面緘黙の子】緊張が強くて話さないのは甘え?5つの特徴と4つの接し方 […]

  2. […] 【場面緘黙の子供】話さないのは甘え?5つの特徴と4つの接し方とは。NGな接し方も紹介 […]

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発達障害/グレーゾーン/場面緘黙/不登校のお子さんとご家族の支援を、日々行っております。◇療育指導員◇相談支援員◇発達支援10年◇ブログ【週2回更新】◇twitter【毎日発信】◇長男が療育通所中◇

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