学級・進路

【一斉指示が通らない】普通級でできる7つの対策~指示通りを良くするポイント~

投稿日:2023年10月5日 更新日:

普通級の子の学校生活が心配な方「うちの子、一斉指示が分かってなさそう。周りより何テンポか遅れていて、この先ついていけるか心配。指示通りが良くなる方法が知りたい」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



✅一斉指示が通らない
 「3つの理由」

✅一斉指示が通らない時の
 「7つの対策」~本人への関わり方~

✅一斉指示が通らない時の
 「2つの対策」~環境作り~


担任との面談、授業参観、習い事での様子など、

様々なキッカケを通して、我が子の一斉指示の通りづらさを知る親御さんが増えています。

「周りについていけなくなるんじゃないか..」

「いつか学校が嫌になるんじゃないか..」

心配な点が多くあると思います。

そこで本記事では、

「一斉指示が通らない理由・対策」をまとめました。

本記事の執筆者の私は、発達障害・グレーゾーン・発達がゆっくりな子の療育/相談支援を10年以上しています。

その支援経験を元に、本記事をまとめています。

また、本記事の後半では、一斉指示が通らない子が「先々困りやすい点・対策」もまとめています。

参考になれば幸いです。

一斉指示が通らない「3つの理由」~普通級~

一斉指示が通らない「理由」は、

3つあります。



①:指示を「聞いてない」
 (ex.注意特性)

②:指示を「理解してない」
 (ex.複数指示・長文の指示)

③:指示の内容が「やりたくない」
 (ex.興味がない、苦手意識からの拒否)


①:指示を「聞いてない」(ex.注意特性)

「そもそも指示を聞いていない」という場合になります。

特に多いのが、お子さんの注意特性(注意の向け方の癖)によるものです。

✅注意が散りやすい(注意の転動性)

視界に入るモノ、音などの刺激で注意が散ります。気になるモノ、人の動き、人の話し声、外の車の音、エアコンの音など、様々なものが刺激になります。

✅周囲の音が全部同じ音量で聞こえる(注意の選択性)

先生の声、エアコンの音、外の車の音などが全て同じ音量で聞こえる特性になります。私たちは、無意識に聞くべき音に注意を向けています。例えば、外で人と話しをするときに、車の音、虫の鳴き声が聞こえていても、目の前の人の声に意識を向け聞くことができます。

ただ、注意特性がある子ですと、全部が同じように聞こえて、1つに絞って意識を向けることが難しくなります。騒がしくなくても、些細な音だけでも、先生の指示を聞く逃す場合があります。

集中力が切れやすい(注意の持続性)

一つのことに注意を向け続けることが難しい特性になります。先生の話を聞いていたけど、途中で集中が切れてしまい、指示の内容が把握しきれない状態になることがあります。

✅過集中

目の前のモノに没頭して、周囲の声が入りづらくなる特性になります。本を読み込んだり、手元にある物をいじるなどが挙げられます。

自分の世界に入ってる(自己刺激)

自分の世界に入り込んで、周囲の声が届きづらくなる特性になります。自分が好きなことを想像して入り込んでいることが多い為、周囲の状況把握が遅れる場合もあります(集団行動の遅れ)。個別で何度声掛けしても、なかなか反応しないこともあります。

②:指示を「理解してない」(ex.複数指示・長文の指示)

指示は聞いているけど、内容の理解が難しい場合になります。

よくあるのは、1つの指示は問題ないけど、複数の指示や長文の指示になると、漏れてしまうなどです。

中には、処理がゆっくりな為、指示のスピードに追いつけない場合もあります。

この場合は、理解する力(認知力)はあるのですが、処理が追いつかず、結果として指示を行動に移すことが難しい、となります(心理検査では「処理速度」といわれます)。

③:指示の内容が「やりたくない」(ex.興味がない、苦手意識からの拒否)

指示は聞いているし、理解もしているけど「やらない」と本人が自分の意思で選んでる場合になります。

多くの理由は、興味がない(興味があること以外やりたくない)、苦手意識が強い(失敗体験が多い)など、特性と過去の経験からくるものが多いです。

【関連記事】

【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準

一斉指示が通らない時の「7つの対策」~普通級~

ここでは、本人に直接アプローチする方法としての、

一斉指示が通らない時の「7つの対策」をお伝えします。

学校での一斉指示の場面ですと、先生の理解・協力が必要になります。

学校の先生の協力を得ながら、手立てを実行できるのが理想的です。

家庭でもできる手立ても多い為、様々な場面で活用いただければ幸いです。



①:「注意を引いて」指示を出す
 (原因1:聞いてない)

②:「静かな環境を作って」指示を出す
 (原因1:聞いてない)

③:「視覚情報」で伝える
 (原因2:理解してない)

④:指示を「1つずつ」伝える
 (原因2:理解してない)

⑤:「ハードル」を下げる
 (原因3:やりたくない)

⑥:本人に「選んでもらう」
 (原因3:やりたくない)

⑦:指示が聞けたら「ほめる」
 (原因:全て)


①:「注意を引いて」指示を出す(原因1:聞いてない/注意が散りやすい)

一旦、お子さんの注意を引いてから、指示を出します。

・名前を呼ぶ
・肩をたたく
・本人の視界に入る

など、本人と目が合っているのを確認してから、指示を出すのが効果的です。

また席を先生の目の前にするのも1つです。

先生が注意を引きやすいですし、本人の視界に他の子が入りづらいので、注意が散りづらくなります。

②:「静かな環境を作って」指示を出す原因1:聞いてない/他の音も気になる)

他の音が、同じ音量で聞こえる子(注意の選択性)の対策になります。

基本的には、先生の指示以外の音を最小限にすることです。

クラス全体に静かにするよう声をかけ、先生だけの指示が聞こえる環境を作ったり、窓や扉を閉めて他の音が入りづらい状況を作ります。

学校やクラスの状況によりますので、できる範囲のことを、先生と進められるのが良いと思います。

③:「視覚情報」で伝える(原因2:理解してない)

目で見て分かる手がかり(視覚情報)を提示します。

先生の指示は、音(聴覚情報)が中心であることが多いです。そのため、本人が理解できる手がかり(視覚情報)を増やすのが効果的になります。

視覚は、人が情報を得る為に、最も多く使う感覚になります。指示に含まれる視覚情報の割合を増やし、理解の手助けができると、指示通りが良くなりやすいです。

④:指示を「1つずつ」伝える(原因2:理解してない)

複数や長文の指示理解が難しい場合、その指示の情報量を減らす必要があります。

指示を1つずつ区切り、1つ終わったら次の指示を出します。

また、指示を出す時はゆっくり伝えると、より伝わりやすくなります。

⑤「ハードル」を下げる(原因3:やりたくない)

本人が取り組む難易度(ハードル)を下げます。

10問の課題なら5問にしたり、時間を半分にするなど、本人が取り組める様に調整します。

お子さんが「これならできるかも」「これならやってもいいかな」と思えるハードルを設定することがポイントになります。

⑥:本人に「選んでもらう」(原因3:やりたくない)

本人に選択肢の中から選んでもらいます。

「やりたくない」気持ちが強い場合、先生や大人から指示を出されても、実行は難しいです。

仮に実行できても、

「本当はやりたくなかった」

「もう次はやらない」

など、拒否感を強めてしまう場合もあります。

そんな状況を避ける為に、本人に選ぶ機会を作ります。

自分で選ぶことで、納得感ができて「やりたくないのに、やらされた」というネガティブな気持ちを最小限にするができます。

⑦:指示が聞けたら「ほめる」(原因:全て)

これまでの手立てを実践して、お子さんが指示を行動に移せていたら、ほめていきます。可能なら、その場で先生にほめてもらったり、家で家族がほめるなどです。

もし、ほめられるのが苦手な子でしたら、本人が「指示を聞くと良いこと(メリット)がある!)」と思ってもらえる様な声掛けもできます。

例えば、

「先生の話を聞いてると、こんなに点数(テスト・課題)が上がるんだね」

「持ち物聞けてたから、明日の用意がすぐ終わって、遊べる時間が増えてるね」

のようなイメージになります。

その子が感じるメリットに紐づけて伝えることが大切になります。

【関連記事】

【普通学級or支援学級か】内容・選ぶ基準・メリット/デメリット

一斉指示が通らない時の「2つの対策」~環境作り~

ここでは、本人への間接的なアプローチ(環境作り)としての、

一斉指示が通らない時の「2つの対策」をお伝えします。

予防的な意味合いが強いため、早めに動けた方が効果的になります。

①:スクールカウンセラーに相談

一斉指示が通りづらい特性があることを、早い段階でスクールカウンセラーの先生にお伝えします。

そして、本人に必要な関わりや環境作りなども相談できると良いです。

担任の先生に理解があり協力的なら、スクールカウンセラーの助言のもと、担任の先生と進めていくことが良いです。

②:予防的な学習対策

一斉指示が多少通らなくても、本人が全然気にしないタイプでしたら、何となく学校で過ごすことはできます。支援する中で、私も実際に何人も見てきました。

一方で、先々困る点として、”学習の遅れ” があります。当たり前のお話ですが、先生の話が聞けないということは、学習で遅れが出る可能性が高まります。

学習の遅れが出てくると、授業が辛くなり、学校が嫌になり、行き渋りから不登校になる子もいます。

問題が大きくなる前に、予防的な意味も込めて、早めの学習フォローが大切になります(勉強が得意な子は不要になります)

✅学習・宿題の助けになる「タブレット学習」

一斉指示が通りにくい子の場合、注意特性・理解の仕方(認知力)に合わせて、学習方法を変える必要があります。

学校教育の授業で学びづらさがある場合は、その子の特性に合わせて学び方を選んでいく必要があります。

その1つの学び方として、タブレット学習があります。

一斉指示だけでなく、教科書・参考書などの文面での “想像理解” が難しい子にも、

アニメーション・動画などの、 “理解・想像しやすい学び方” があるので、良いと思います。

また、ドリル・プリント学習など、ペーパーの学習に苦手意識がある子にも、選択肢の1つになると思います。

✅小さな成功体験を積むためのツールにもなる

一斉指示が通らない子の多くは、学校で失敗体験を積んでいる場合が多いです。

注意されたり、指摘されたり、指示が分からずその子自身が困ってしまったり。

自己肯定感を下げない為にも、日常で気軽にできる学習の中で、“分かる” や “できる” という実感を作ることは、この先の生活で大事になってきます。

タブレット学習に関する、その他のメリット・デメリットなどの詳細は、こちらの記事をご覧ください。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良い タブレット学習

発達障害に関わらず、グレーゾーン、発達が気になる子にも、共通した内容になります。

1つの学習サポートの方法として、参考になれば幸いです。

「【一斉指示が通らない】普通級でできる6つの対策」のまとめ

記事のポイントになります。



一斉指示が通らない
 「3つの理由」
・指示を “聞いてない”
・指示を “理解してない”
・指示の内容が “やりたくない”

一斉指示が通らない時の
 「7つの対策」~本人への関わり方~
・注意を引いて指示を出す
・静かな環境を作り、指示を出す
・視覚情報で伝える
・指示を1つずつ伝える
・ハードルを下げる
・本人に選んでもらう
・指示が聞けたらほめる

✅一斉指示が通らない時の
 「2つの対策」~環境作り~
・スクールカウンセラーに相談
・授業の失敗体験の予防
・”学習の遅れ⇒授業が辛い⇒不登校” の回避
・予防的な学習対策
・タブレット学習


以上になります。

本記事が、お役に立てば幸いです。

【関連記事】

【発達障害の子と担任が合わない時】3つの大切なポイント・対処法

-学級・進路

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