学級・進路

【どっちがいい?】支援学校か、支援学級に行くのか~迷った時の4つの手順/考え方~

投稿日:2024年1月24日 更新日:

子どもの進路について悩まれてる方「支援学校か、支援学級に行くべきか、迷ってる。うちの子に合ってる進路を選びたい。選ぶ基準が知りたい」

特性ある子の進学先の判断は、多くの親御さんが悩まれる難しい問題だと思います。

以前と比べ「支援学級」「支援学校」は、増え、お子さんの選択肢は増えました。

一方で、


「うちの子はどっちが合ってるの?」
「選ぶ基準が分からない」

と悩まれてる方が多いのも、事実になります。

そこで本記事では、お子さんの進学先を選ぶ際に関わる「支援学校/支援学級」に関する情報をお伝えします。

私は、療育・発達支援員を15年以上しており、これまで特性ある子の支援に携わってきました。

その支援経験を元に、本記事をまとめてます。参考になれば幸いです。

支援学校or支援学級「どっちがいい?」

支援学校と支援学級は、お子さんによって、どっちが良いのか、変わってきます。

進学先に何を求めるのかによっても、違ってきます。

ただ、支援学校の方が支援の厚さがあり、その分、生活面での困り度が大きい子が通う場所になります(詳しくは後述します)。

そこを踏まえ、具体的にどんな視点で、選んだ方が良いのかお伝えします。

支援学校 or 支援学級「選ぶ時の4つの手順」

支援学校or支援学級を「選ぶ時の手順」は、4つあります。

こちらの順で進められるのが、一番スムーズになります。



①:支援学校、支援学級の「違い」を知る

②:「発達のバランス/知能レベル」の把握

③:「通学圏内の支援学校/支援学級」の把握

④:検討中の支援学校/支援学級に見学にいく


支援学校、支援学級の違いを知る

当たり前になりますが、まず最初に、支援学校と支援学級の違いを把握します。

対象となる児童、支援内容、卒業後の進学先、支援をする先生を把握した上で、メリット/デメリットを確認します。

支援学校と支援学級の違いについては、後ほど、図でお伝えします。

発達のバランス/知能レベルの把握

お子さんの発達のバランス(得意/不得意/凸凹)、知能レベルを把握します。

代表的なのは、WISCなどの検査を受け、書面で残す形が望ましいです。

WISCの場合ですと、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの領域から、客観的に数値化されます。

お子さんの得意、不得意、生活上で想定される困りなど、心理士の所見から確認することができます。

注意点は、

「口頭で言われてだけで書面は残ってない」
「何を言われたか覚えてない」

など、勿体ないケースもありますので、検査前に書面が残るのか、事前に確認することをお勧めします。

かかりつけの小児科、クリニックなどで実施するか、実施していない場合は、実施可能な病院などを紹介してもらえます。

お近くのクリニック、児童精神科、教育支援センターなどに問い合わせをするのが一番良いです。3~6か月待ちぐらいは当たり前になるぐらい、混み合ってる所が多いです。

もし、3か月以上待つ場合は、民間療育の リタリコジュニア でも心理検査を実施しています。

2か月以内で受けられる場合が多いので、早めに受けたい方向けになります。

心理検査を受けたい旨をお伝えすれば、その後ご案内があります。

通学圏内の支援学校/支援学級の把握

現実的に、通学できる支援学校/支援学級を把握します。

お住まいの地域によっては、そもそも選択肢が少ない場合も考えられます。

検討中の支援学校/支援学級に見学にいく

支援学校、支援学級の違い、お子さんの発達バランス/知能レベルが把握できたら、通学可能な支援学校、支援学級に見学に行きます。

見学の際に、こちらの2点があるのか、聞けると安心です。

本人に似た特性の子の受け入れ実績
本人が通った場合に得られる配慮

例えば、予定外のことが起こるとパニックになる特性の子に対しては、クールダウンできる部屋が設けらてる等です。

また、本人の様子を伝え、見学先の先生の意見を聞くのも重要です。

先生から見て、

「配慮があれば、通えそうです」
「うちの学校だと、難しいかもしれません」

など反応があると、参考材料になる為です。

支援学校と支援学級の「違い」

支援学校と支援学級の「違い」になります。

項目特別支援学校特別支援学級
呼び方支援学校(2007年まで:ろう学校、盲学校、養護学校)支援級、なかよし学級など
人数3~8名8名以下
内容自立と社会参加
(ex.社会ルールの遵守、道具の使い方、時間理解)
個別の支援計画に基づいた授業
メリット支援が手厚い・自立に直結しやすい個々の特性に応じた指導が受けられる
デメリット関わる人・経験できることが限定されやすい・専門的な先生とは限らない
・内申点がほとんどつかない  ※中学


支援学校と支援学級のメリット、デメリットは、こちらになります。

支援学校のメリット

・専門性が高い支援
・知識、スキルが高い先生
(全員が特別支援学校教諭免許状あり)
・進学や就職の相談ができる
(通常の学校より情報が集まる)

支援学校のデメリット

・手続きが複雑
・本人が嫌がる場合がある
・関わる人が限られる

支援学級のメリット

・発達/特性に合う指導が受けられる
・自己肯定感を保ちやすい
・普通級と交流が持てる場合がある

支援学級のデメリット

・在籍基準があいまい
・担任の質の違いが大きい
・学校、地域差が大きい
・子どもが拒否することがある
・高校は、ほとんど支援級がない
・近くの学校に通う必要がある
(学区内に支援級がない場合)

【関連記事】

【現場でよくある事例】支援級(情緒級)を選んで後悔する3つのパターン/対策

支援学校が合いやすい子の「特徴」

支援学校が合いやすい子の「特徴」になります。

あくまで、支援してきた中で、個人的に感じた点になります。

・知的障害がある

・社会での自立に力を入れたい
(生活に直結するスキル)

・苦手な環境が多く、パニックになりやすい
(環境の変化が著しく苦手)

あとは、本人が支援学校の雰囲気・どんな場所なのか知った上で、安心して過ごせるかになります。

支援学級が合いやすい子の「特徴」

支援学級が合いやすい子の「特徴」になります。

こちらも、支援する中で感じられた点になります。

・集団が非常に疲弊しやすい
・集団行動に常に遅れがある
・困っても誰にも助けを求められない
・他害、癇癪など周りに大きな影響が出る
・知的な遅れがある

境界域~軽度まで

※境界域:IQ71~84 軽度:IQ51~70

こちらも、本人がメリット、デメリットを把握した上で、本人が納得していることが大切になります。

支援学級を選ぶ子が「備えたいこと」

ここでは支援学級を検討されてる方に向けてお伝えします。知的に遅れはないけど、集団参加、人とのコミュニケーションなどに困りがあり、

学級でいうと、情緒級に在籍するイメージの子になります(学校によっては、知的/情緒級に分かれてない場合もあります)。

私が支援してきた中で、支援学級に在籍する親御さんから、お困りとして聞く内容~対策まで触れていきたいと思います。

支援学級は学校、担任、クラスの雰囲気、構成など様々になります。その学校によりますが、お困りの1つとして「学習機会の不十分さ」があります。

支援学級は、その子の特性に応じて学ぶ機会を作る場になりますが、中には、プリントを渡されて解くだけで終わったり、本人にとって簡単すぎる内容であったりと、学校によって、お子さんによっては、学習機会が不十分なことがあります。

本来は、支援学級で全てできれば良いのですが、学校の体制や先生のスキルの問題など、現実的に難しいことも少なくありません。

生活面では支援学級が良いけど、学習面では物足りない..という方には、1つの学習対策として、タブレット学習をお勧めします。

学習対策「タブレット学習」

タブレット学習は、特性ある子にとって、使いやすい点が3つあります。

具体的に1つずつお伝えします。

特性に合わせた学習PGM

支援学級を検討する子の多くは、生まれ持った特性をキッカケに、困りを抱えてます。

学習面でもその影響が出ることがあり、その子の”学びやすさ”、”学びにくさ” など、その子の特性に合った学び方が大切になってきます。

タブレット学習では、文字やイラストだけでは理解しづらい子には、アニメーション解説があり、具体的にイメージして学べるサポートがあります。

他にも、聞いて覚えるのが得意な子(聴覚優位)は、プロの声優さんによる音声解説があります。

また、一人で学習するのが苦手な子は、対話型でタブレット上のキャラクターとやりとりをしながら、モチベーションを高めながら、学習を進める機能もあります。

このように、様々な特性に対して、その子が”学びやすい”、”学びたい” と思える学習PGMが豊富にあります。

集中しやすい環境調整

“注意特性” といって、注意が散りやすかったり(転動性)、興味のあることだけに没頭したり(過集中)、集中が続かなかったり(持続性)、学習に影響が出やすい特性を持つ子がいます。

特に、気になるものが視界に入ると、注意が逸れて学習に影響が出るパターンが多いです。

タブレット学習では、タブレット1台で完結し、タブレット上の情報も、課題に関する情報のみに制限し、余計な情報(刺激)はありません。


本当に必要な課題と解説に絞られてる為、注意が散りづらく、結果として集中力が上がります。

このように、注意特性がある子の勉強の阻害要因の刺激を最小限にしてるのが、タブレット学習になります。

学年を遡って学習できる

お子さんによっては、学年を遡って学習する必要があります。

タブレット学習では「無学年式」といって、前の学年に遡って学習することができます。

また、本人の解答結果を分析し、必要な課題を提示してくれる機能もある為、本人や家族が学習単元を選ばなくても、大丈夫です。

「課題を解く+解説を見る+理解する」だけに集中できるのが、タブレット学習になります。

ここまで、タブレット学習の特徴(メリット)をお伝えしましたが、逆にデメリットもあり、中には合わない子もいます。

その他の詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良い タブレット学習

診断名に関わらず、学習対策の情報として、参考になると思います。

1つの学習方法として、お役に立てば幸いです。

【どっちがいい?支援学校 or 支援学級】まとめ

記事のポイントになります。



支援学校or支援学級
 「どっちがいい?」

・学習の進度が一般的
・多くのクラスメイトと交流が持てる

支援学校or支援学級
 「選ぶ時の4つの手順」

・支援学校、支援学級の違いを知る
・発達のバランス/知能レベルの把握
・通学圏内の支援学校/支援学級の把握
・検討中の支援学校/支援学級へ見学

支援学校のメリット
・専門性が高い支援
・知識、スキルが高い先生
(特別支援学校教諭免許状)
・進学や就職の相談ができる

✅支援学校のデメリット
・手続きが複雑
・本人が嫌がる場合がある
・関わる人が限られる

✅支援学級のメリット
・発達/特性に合う指導が受けられる
・自己肯定感を保ちやすい
・普通級と交流が持てる場合がある

✅支援学級のデメリット
・在籍基準があいまい
・理解ない先生もいる
・学校、地域差が大きい
・子どもが拒否することがある
・高校は、ほとんど支援級がない
・近くの学校に通う必要がある

✅支援学校が合いやすい子の
 「特徴」

・知的障害がある
・社会での自立に力を入れたい
・苦手な環境が多く、パニックになりやすい

支援学級が合いやすい子の
 「特徴」
・集団が非常に疲弊しやすい
・集団行動に常に遅れがある
・困っても助けを求められない
・他害、癇癪など周りに大きな影響が出る
・知的な遅れがある

支援学級を選ぶ子が
 「備えたいこと」
・学校以外での学習対策
・特性に合う学習方法
・タブレット学習


以上になります。

本記事が、参考になれば幸いです。

【関連記事】

【支援学級の子は高校進学できない?】7つの進路先

-学級・進路

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