

くるくる回る子供の対応方法を知りたい方「他の子供と同じように遊ばなくて心配。子供がくるくる回るのは止めた方がいい?対応方法を知りたい」
このようなお困り、疑問にお答えします。
✓本記事の内容
- 自閉症スペクトラムの子供のくるくる回る行動とは
- くるくる回る原因
- くるくる回る行動はどんな子に多い?
- くるくる回る行動は、どんなときに問題になる?
- くるくる回る行動の対応方法
- くるくる回る行動の治療法
- くるくる回る行動の相談先
自閉症スペクトラムの子供は、なぜ「くるくる回る」のでしょうか?
親からみると、何が楽しいか分からないですし、他の子と同じように遊ばない様子も気になると思います。
本記事では、自閉症スペクトラムの子供の気になる行動を、原因/特徴/介入する目安/対応方法/治療法/相談先など、関連する情報について解説しています。
この記事の執筆者の私は、療育指導員を10年ほどしています。
今まで、1,000名以上の発達障害の子供とその親を支援をしてきました。
支援をする中で、自閉症スペクトラムの子供の親から、「くるくる回る」について、よく相談を頂くことがありました。
子供の「くるくる回る」について、疑問や不安をお持ちの方にとって、役に立つ情報を発信できればと思い、今回の記事を執筆しました。
子供の行動には、必ず意味があります。
その意味を理解することで、正しい対応の仕方が見えてきます。
この記事を通して、知って頂ければ幸いです。
今回は、「くるくる回る原因とは【自閉症スペクトラムの子供の対応方法】」について解説していきたいと思います。
自閉症スペクトラムについては、
自閉症スペクトラムの子供の症状とは?【4つの特徴と7つの接し方】
をご覧ください。
自閉症スペクトラムの子供のくるくる回る行動とは

自閉症スペクトラムの子供の「くるくる回る」は、常同行動ともいいます。
周りから見ると、
「一見意味のない同じ動きを繰り返している」ことをいいます。
例えば、
- ぐるぐる回る
- 手をヒラヒラさせる
- 物を振り続ける
などです。
どんな行動で出るかは、子供によって様々です。
『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版 テキスト改訂版)にも、常同行動の診断の条件が明記されています。
私の方で、下記に、簡単な表現でまとめてみました。
一見、意味のない反復行動が、
- 1:3才以下で表れる
- 2:社会生活で支障出るor自傷がある
- 3:医学的に説明できない
(薬の副作用や病気の症状など)
常同行動自体は、問題ではないのですが、
これが社会生活に支障が出る場合は、介入が必要です。
詳しくは後述します。
くるくる回る原因

くるくる回る行動の原因は、3つあります。
- その①:不安/緊張がある
- その②:満たされない感覚がある
- その③:不快感がある
1つずつ見ていきましょう。
その①:不安/緊張がある

自閉症スペクトラムの子供は、感覚の偏り(過敏)があります。
多くの人が気にならない音や人の気配など、強いストレスを感じやすいです。
そういったストレスから、自分を守る/安心感を得るために、くるくる回るなどの行動をとる場合があります。
その②:満たされない感覚がある

こちらも感覚の偏り(鈍さ)のため、満たれない感覚を満たすために、行動する(感覚探求)ことです。
自閉症スペクトラムの子供は、「こんなに回って目がまわらないの?」と思うぐらい、頻繁にくるくる回っている子供がいます。
これも感覚の鈍さから、人より感覚を欲する特性があるのです。
感覚遊びは、子供の遊びの中でも、一番土台となる遊びです。
全体的な発達傾向がゆっくりな子供は、3才を過ぎても、この感覚遊びを好む傾向にあります。
自閉症スペクトラムの子供の遊びについては、
自閉症スペクトラムの子供の遊び方とは【成長に繋げる4つの遊び方を解説!】
をご覧ください。
その③:不快感がある

何か不快感を感じているときに、出ることがあります。
例えば、
治りかけのかさぶたの痒い、室温が合わない(暑い/寒い)、肌着の素材が合わず気になる
などです。
くるくる回る行動はどんな子に多い?

3才以下の知的、発達障害の子供が多いです。
知的、発達障害の5~15%前後の子供に確認されることが多いです。
定型発達の子供にも、「くるくる回る」などの常同行動は、ありますが、
全体の4%前後で自然に消えていきます。
くるくる回る行動は、どんなときに問題になる?

くるくる回る行動は、子供にとって必要な行動です。
基本的には止めずに、尊重することが望ましいです。
ただし、表現の仕方/場面/子供自身、周囲への影響によっては、介入する必要があります。
くるくる回る行動などの常同行動が問題になるときは、
大きく3つあります。
- その①:自分や周囲の人を傷つける
- その②:子供自身の社会生活に支障が出る
- その③:周囲の社会生活に支障が出る
1つずつ見ていきましょう。
その①:自分や周囲の人を傷つける

自他を傷つける危険行動がある場合は、最優先で介入が必要です。
くるくる回る行動では、人や壁にぶつかる、外では車や自転車にぶつかりそうになる様子があれば、介入すべきです。
個人的には、すぐ専門機関へ相談することをオススメします。
その②:子供自身の社会生活に支障が出る

園や学校などの集団生活に参加できない、支障がある場合です。
離席するorその場にいるけど話を聞いていないなどです。
その③:周囲の社会生活に支障が出る

家族や担任、周囲のクラスメイトなど周囲の人が困っている場合です。
自閉症スペクトラムの子供は、興味の幅の狭さ/感覚の偏りから、「困る」ということを感じにくい場合があります。
ただ本人が困っていなくても、周りが困っていることも少なくありません。
必ず周囲の人の声にも耳を傾けましょう。
くるくる回る行動の対応方法

くるくる回る常同行動の対応方法は3つあります。
- その①:やることを与える(指示)
- その②:無害な行動へ促す(代替)
- その③:場所を限定する(条件)
その①:やることを与える(指示)

やることがなく、くるくる回っている場合があります。
そういうときは、やることを与えましょう。
「このパズルやってみようか」と子供の好きなものを通して伝えましょう。
その②:無害な行動へ促す(代替)

問題が出ている場合に、なるべく影響を下げる行動に変えることです。
例えば、
くるくる回って、周りの子にぶつかりそうになる場合は、
万華鏡を使って、その場で楽しめる形に変えることです。
硬い物を繰り返し投げる子は、
ボールを投げてもらう、机を叩く子は音の出るオモチャを叩いてもらう、など工夫ができます。
その③:物/場所を限定する(条件)

くるくる回ってよい行動をして良い場所を限定することです。
外出時は、事故など危険があるため、家だけに限定するなどです。
事前に家だけでするよう、約束をすることが大切です。
そして、外で我慢できた分、家では自由にしてもらいましょう(危険がない限り)。
子供の行動によっては、物を限定する方法もあります。
例えば、
口に入れて噛み続けるなどです。
そういった場合は、噛み続けても問題がない、柔らかい物だけで限定するなどと調整をしましょう。
使えるオモチャも紹介しているので、参考にご覧ください。
くるくる回る行動の治療法

行動療法と薬物療法があります。
行動療法は、スキルを身に着け対処したり、周りの人が関わり方を工夫し、お互いの歩み寄りをすることです。
具体的には、さきほどの「くるくる回る行動の対応方法」で解説した内容になります。
これができるのが、療育といわれるものです。
療育の詳細は、
ADHDの子供の療育とは【種類・費用・通所受給者証のメリット/デメリットを解説】
をご覧ください。
ADHDと記載ありますが、自閉症スペクトラム含めた、発達障害の子供に共通する内容になりますので、ご安心ください。
薬物療法は、薬を服薬し、一時的に自傷/危険行為、常同行動を軽減する方法です。
行動療法では対処できず、子供や周囲の人の安全/衛生面に著しく悪影響がある場合になります。
薬物療法で落ち着いてきたら、行動療法に移行していく方法が一般的です。
詳細は、
自閉症スペクトラムの子供の薬とは?【種類/効果/副作用を解説します】
をご覧ください。
くるくる回る行動の相談先

ここまでの内容を実践されても、むずかしい方は、
相談窓口へ連絡し、専門家へ相談することをオススメします。
窓口はかなり混み合っていて、予約をとるのに数ヶ月かかる方も多いですが、
専門家の意見は貴重です。
ご自身での情報収集と並行して、客観的な意見を聞ける機会作りを進めていきましょう。
3つの相談窓口を紹介します。
- その①:子育て支援センター
- その②:保健センター
- その③:発達障害者支援センター
それぞれの相談窓口の詳細と相談方法は、
自閉症スペクトラムの子供の相談先とは【種類/方法/注意点を解説】
をご覧ください。
どこの窓口も子供の発達相談はできますが、それぞれ特徴があります。
各施設の特徴もふまえた上で連絡できると、相談以外でも活用ができます。
合わせて確認してみてください。
相談に行かれるときの持ち物も参考程度にご覧ください。
もちもの
- 困りをまとめたメモ
- 母子手帳
- 通知表or連絡帳
(先生の評価がわかるもの) - 検査結果
(受けていれば。1年以内の結果がベストです) - 子供の動画
(暴言/暴力など激しい行動がある場合)
質の高い情報を伝えられれば、その分助言の精度も上がります。
私が支援をしていて一番困るときは、情報の質が低いときです。
「○○思う」という感覚ではなく、事実を伝えられると、専門家からの助言が、実態に合った内容になり、情報の質が上がります。
また限られた時間の中ですので、要点は事前にまとめておき、助言をもらえる時間の確保に努めましょう。
これができないと、ヒアリング中心の時間となり、「結局何すればいいの?」となりますので注意しましょう。
まとめ

記事のポイントをまとめます。
- 自閉症スペクトラムの子供のくるくる回る行動とは
【一見意味のない同じ動きを繰り返す常同行動】 - くるくる回る原因
【①不安/緊張がある ②満たされない感覚がある ③不快/不満がある】 - くるくる回る行動はどんな子に多い?
【3才以下の知的/発達障害の子ども】 - くるくる回る行動は、どんなときに問題になる?
【①自他を傷つけるとき ②自他の生活に支障がでるとき】 - くるくる回る行動の対応方法
【①やることを与える ②無害な行動へ促す ③物/場所を限定する】 - くるくる回る行動の治療法
【①行動療法 ②薬物療法】 - くるくる回る行動の相談先
【①子育て支援センター ②保健センター ③発達障害者支援センター】
以上になります。
自閉症スペクトラムの子供の行動の原因(意味)を把握し、必要な関わりや調整をしていきましょう。
最後に関連記事を貼っておきます。
気になる情報があれば、参考にして頂ければ幸いです。
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