学級・進路

【普通学級に通った】軽度知的障害の子の5つのパターン~2つの困るポイント~

投稿日:2024年2月7日 更新日:

子どもの学級で悩まれてる方「軽度知的障害の子に普通学級は合わない?普通学級に行ったらどうなる?どの学級が良いのか分からない」

このようなお悩みに、お応えします。

本記事の内容



✅軽度知的障害の子⇨普通学級へ
 「5つのパターン(事例)」~よくある2つの困り~

軽度知的障害の子の
 「学級選びのポイント」


学級選びで悩まれてる子に
 「必要なもの」


普通学級を検討する時の
 「学習対策


軽度知的障害の子は、ある程度のコミュニケーションもとれ、日常生活を送ることはできる場合が多いです。

そのため、学級選びで悩まれてる親御さんが多いです。

実際に、普通学級に通う子もいれば、支援学級に通う子もいたり、お子さんの特性、ご家庭の考え、学校の状況によっても、判断が変わっています。

そこで本記事では『軽度知的障害の子が普通学級に通った事例(5つケース)』をお伝えしたいと思います。

私は、療育・相談支援を10年以上しており、学級に関する相談支援で多くのお子さん、親御さんの支援に携わってきました。

私が現場で支援する中で、個人的に感じた点を中心にまとめています。参考程度にご覧いただけますと幸いです。

軽度知的障害の子⇨普通学級へ「5つのパターン(事例)」~よくある2つの困り~

軽度知的障害の子⇨普通学級へ「5つのパターン(事例)」を紹介します。

そして、①②に関しては、軽度知的障害の子が普通学級で困ることが多いポイントにもなります。



①:「学習面」の遅れ
 (小3~4年頃が多い)

②:「周囲とのやりとり」の難しさ
 (思春期の子に多い・周囲との違いに気付く)

③:「大きな問題なく」過ごせる
 (些細なつまづきはある)

④:支援学級へ「転籍する」
 (主に①②が理由で)

⑤:「不登校」になる
(主に①②が理由で)


①:「学習面」の遅れ(小3~4年頃が多い)

小学校3~4年生は、学習の難易度が上がり、学習面の困りが最も出やすい時期になります。

特に、知的障害、学習障害(傾向)のお子さんは、躓くことが多いタイミングになります。

小学校1~2年生は、学習も単純で、量をこなせば、ある程度パターン学習で乗り切れますが、小学校中学年になると、複雑になり、パターンで覚えるのには限界がきます。

パターンで覚えられても、

「問題がちょっと変わると解けなくなる」
「次の日になると忘れてる」


など、学習の定着が困難なことが多いです。

お子さんによっては、勉強を嫌がったり、授業が嫌で学校への行きしぶりが出る子もいます。

②:「周囲とのやりとり」の難しさ(思春期の子に多い・周囲との違いに気付く)

軽度知的障害の子は、おおまかな会話はできます。

ただ、暗黙の了解、言葉の裏側を意味を捉える、などが苦手です。

言葉通りに捉えたり、細かいやりとりが難しい場合があります。

小学校低学年は、そこまで問題になることは少ないですが、小学校高学年以降の思春期に入ると、周りから仲間外れにされたり、本人が周りとの違いに気付いて、自己肯定感が下がったりと、問題が表面化することが多いです。

特に、女の子の場合、陰湿な嫌がらせ、仲間はずれなどがあります。表面上は、仲良くしてるようで、実際は、良いようにされてることもあり、本人は言葉通りに受け取り気付いていない為、仲良く遊んでると思ってる、などもあります。

知らず知らずして、本人が気付いていない所で、周りから良いようにされていることもがあります。

もちろん、中には、優しくしてくれ、本当に仲が良い友だちがいる子もいます。大切なのは、自分で本当の意味で仲がよく慣れる子を見極めることです。

言葉の細かいニュアンスなどをキャッチしづらい軽度知的障害の子には、難しいことが多いとも言えます。

③:「大きな問題なく」過ごせる(些細なつまづきはある)

勉強は苦手、友達ともやりとりの小さいすれ違いはあるものの、生活全般楽しく過ごせている場合になります。

お子さんが、全然気にしないタイプ、親御さんが、本人の特性として捉えられているケースが多いです。

・テストの点数が低い
・授業で分からないことが多い
・他の子より苦手なことが多い

これらを、本人や親御さんがどう捉えてるかによって変わってきます。

また、普通学級でうまくいってる子に共通しているのは、”周囲の理解” になります。

担任が配慮してくれたり、周りの子が手伝ってくれたりする環境ですと、大きな問題なく過ごせているケースが多いです。

例えば、このような配慮や協力があります。

・宿題の量の調整
・怒る指摘などしない
・個別で適宜声かけする
・周りの子が手伝ってくれる
・周りの子が本人のキャラクターとして捉えてる

あと、本人の人柄が周囲の味方につけ、助けてもらいやすい環境になってることも多いです。

人柄は、本人の “良さ” なので、今後も生きる上で、強みとも言えます。

④:支援学級へ「転籍する」(主に①②が理由で)

“授業についていけない” 、”クラスメイトとのやりとりの難しさ” が主な理由で、支援学級に転籍をします。

支援学級は、原則8名以下の少人数をクラスになります。

担任によっても大きく変わりますが、過ごしやすくなった子も多いです。

支援学級については、注意点がありますので、詳しく知りたい方はご覧ください。

【普通学級・支援学級の違い】内容、選ぶ基準、メリット/デメリット

⑤:「不登校」になる(主に①②が理由で)

“授業が嫌” 、”クラスメイトとの関係性” が主な理由になります。

不登校でもう1つ多い理由があり、それは担任の先生になります。

「一人だけ特別扱いはできません」と、本人に無理を強いているパターンになります。

また、本人が注意や指摘を受けることが多いことで、先生が嫌になり、不登校になるケースもあります。


【関連記事】

【不登校になる子とならない子の違い】6つの特徴と対策~親が持ちたい5つの視点~

軽度知的障害の子の「学級選びのポイント」

軽度知的障害の子の「学級選びのポイント」は3つあります。

軽度知的障害に関わらず、特性ある子にとって、共通する視点にもなります。

・本人の気持ち
(必要性・納得感)

・本人の過ごしやすさ
(客観的な)

・学校側(担任/SC)の意見
 ※SC=スクールカウンセラー

学級を転籍する場合は、新しい学級に行く理由(必要)や本人が納得できていることが大切になります。

また、客観的に見て本人がどの学級が過ごしやすいのか、判断することも大切になります。

療育など支援先で本人をよく知っている先生の意見も大切になります。本人の特性を考慮したときに、周りの配慮・環境でできる範囲のことなのか、の視点で意見が聞けると安心です。

最後は、学校側の意見になります。学校の先生は、学級の状況を一番把握されている為、できること・できないことなどが分かります。

本人に必要な配慮や環境があった時に、それがその学校の学級で可能なのか判断ができます。

本人の特性という観点では、療育の先生が良いですが、過ごす環境においては、学校の先生の意見も有力になります。

もしそれでも判断に迷われる場合は、その学級でできること・できないことを聞き、療育の先生に相談するのも1つです。

「◯◯の環境ならできそう」「◯◯の環境だと厳しいかも」と意見がもらえやすくなります。

最終的な判断は、親御さんの判断になりますが、ある程度の判断材料はあった方が安心です。

詳しい学級選びについては、こちらの記事をご覧ください。


【関連記事】

【発達障害だけど普通学級で貫き通します】事例の紹介~学級選びのポイント~

「【普通学級に通った】軽度知的障害の子の5つのパターン~2つの困るポイント~」のまとめ

記事のポイントになります。



✅軽度知的障害の子⇨普通学級へ
 「5つのパターン(事例)」~よくある2つの困り~
・学習面の遅れ
 (小3~4年頃が多い)
・周囲とのやりとりの難しさ
 (思春期に多い・周囲との違いに気付く)
・大きな問題なく過ごせる
・支援学級へ転籍する
・不登校になる


✅軽度知的障害の子の
 「学級選びのポイント」
・本人の気持ち(必要性・納得感)
・客観的に見た “本人の過ごしやすさ”
・学校、専門家の意見


以上になります。

本記事がお役に立てば、幸いです。

【関連記事】

【小学校で支援学級を勧められた時】学級選びの3つのポイント・事例紹介

-学級・進路

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【小学校で支援学級を勧められた時】学級選びの3つのポイント・事例紹介

子どもの学級で悩まれてる方「小学校の先生から支援学級を勧められた。普通学級と支援学級、どっちがいいの?学級選びのポイントが知りたい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 …

【ADHDの子は普通学級は避けるべき?】小学校の学級選びの3つのポイント

ADHDの子の学級で悩まれてる方「うちの子は普通学級で大丈夫かな。ついていけるか心配。学級選びのポイントや事例が知りたい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 &#x27 …

【特別支援学級とは?】初めて特支の担任になったら知るべき4選

特別支援学級の担任について知りたい方「特別支援学級の担任になったら、何から準備すればいいの?把握すべきことが知りたい」 このようなお悩みにお応えします。 ☑本記事の内容 ✅ …

【支援学級はどんな子が通う?】子どもの2つの特徴・メリット・デメリット

子どもの学級で悩まれてる方「支援学級はどんな子が通うの?支援学級に通わせた方がいいのか迷ってる。支援級のメリット・デメリットが知りたい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内 …

【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは。事例も紹介します

子どもの学級で悩まれてる方「学校から通級を勧められた。通級を利用すべきか迷ってる。学級選びの判断基準を教えてほしい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 ✅ …

サイト作成者プロフィール

Image

発達障害/グレーゾーン/場面緘黙/不登校のお子さんとご家族の支援を、日々行っております。◇療育指導員◇相談支援員◇発達支援10年◇ブログ【週2回更新】◇twitter【毎日発信】◇長男が療育通所中◇

2023/12/18

【不登校の平均期間は?】短くなる時、長くなる時の違い(特徴)~期間より大切な7つのコト~

2023/12/14

【禁句】不登校の子に言ってはいけない言葉~8つの言葉・NGな理由~

2023/12/03

【療育に通うまでの流れ】6つのステップ、3つの注意点~目的に合った療育を選ぶ~

2023/10/24

【療育に通う基準】3つのポイント~療育を始める方が多い4つの時期~

2023/10/04

【保健室登校(別室)】成績はどうなる?よくある2つの事例と5つの対策

2023/10/03

【口に物を入れる】発達障害の子向けの対策~関わる上で大切な3つの視点~

2023/09/12

【発達障害だけど普通学級で貫き通します】事例の紹介~学級選びのポイント~

2023/09/01

【発達ゆっくりな子のその後は?】療育の現場の事例紹介~今、家族に出来ること~

2023/08/17

【学校をまた休む】不登校の復帰後の4つのポイント~再不登校の予防法~

2023/08/04

【よく寝るのは問題?】不登校の回復期のサイン・関わり方・注意点とは

2023/08/01

【療育のデメリット】3つの注意点・メリット・心構え・療育の選び方とは

2023/07/04

【不登校】学校とのやりとりで大切な3つのポイント・2つの注意点とは

2023/05/11

【療育支援員が紹介】不登校の子にオススメな習い事。4つの選ぶポイント・注意点とは

2023/03/23

【発達障害の子と担任が合わない時】3つの大切なポイント・対処法とは

2023/02/22

【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準について

2022/10/12

【発達障害の子向け】噛み癖に役立つグッズ5選!支援員が使う時のポイントを解説

2022/06/16

【発達障害】落ち着くグッズ20選~自閉症の子がクールダウンする時のポイント~

2022/04/27

【発達支援員が使った感想】すららの無料体験~5つの長所、4つの短所~

2022/04/06

【宿題でいつも癇癪…】発達障害の子がスムーズにできる6つの対処法

2022/03/16

【療育支援員がおすすめ】発達障害(グレーゾーン)の子向けの習い事~選ぶ時の8つのポイント~

2022/01/12

【2024年 支援員がおすすめ】発達障害の子向けタブレット学習~ADHD/自閉症の子に必要な4つの特徴~

2021/10/21

【支援級勧められたけど普通級に行った!】学級選びで大切な3つのポイント

2021/06/30

【保育園に療育を勧められたら】やるべきこと・注意点・事例を元に解説

2021/06/18

【療育支援員が紹介】発達障害の子におすすめな椅子5選!補助グッズも解説

2021/06/16

【療育に行かなかったら後悔する?】よくある5つの事例~早期療育はどの子にも良い~

2021/02/24

【特別支援学級】子どもへの説明~2つのポイント~良い/悪い7つの具体例~

2021/01/15

【療育辞めてよかった!】辞めるタイミングは4つ!事例・注意点も解説します

2020/12/07

【場面緘黙の子供】なんで挨拶が苦手なの?3つの理由・5つの接し方とは

2020/07/27

【発達障害】逆さバイバイはいつまであるの?原因と接し方について解説します

2020/06/03

【自閉症の子が夢中になる!】人気おもちゃ26選~療育支援員が紹介~

2020/05/21

【子どもの癇癪】3つの原因から考える!クールダウンの方法~自閉症の子にも有効~

2024/02/17

【学習障害】親ができること~家庭できる4つのコト・外でできる2つのコト

2024/02/16

【字を書くのが嫌いな子】4つの理由・対策~予防しておきたい注意点~

2024/02/07

【普通学級に通った】軽度知的障害の子の5つのパターン~2つの困るポイント~

2024/02/06

【母子登校】発達障害の子どもへできる5つのコト~大切な3つの視点~

2024/02/05

【発達障害の子の育児をやめたい】親の負担を軽くする4つの方法~一人で抱え込まない為に~