学級・進路

【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは。事例も紹介します

投稿日:2023年4月20日 更新日:

子どもの学級で悩まれてる方「学校から通級を勧められた。通級を利用すべきか迷ってる。学級選びの判断基準を教えてほしい」

このようなお悩みに、お応えします。

本記事の内容



✅通級を勧められた時に
 「大事なこと」

通級を利用する
 「判断基準

通級を勧められた後の
 「3つの事例」

通級を勧められる理由が
 「学習面のとき」~通級を嫌がってる子~



お子さんの学級選びは、多くの親御さんが悩まれるとても難しい問題です。

先生に通級を勧められてすぐに決断できるという方は、少ないと思います。

むしろ戸惑ったり、落ち込んだり、悩まれる方がほとんどだと思います。

そこで、本記事では「通級を勧められた時、押さえておきたい3点」をまとめました。

私は、発達支援の相談/指導員を10年以上しており、これまで学級選びの相談も多く受けてきました。

この経験を元に、私が特に大事だと思う3点について、お伝えしていきます。

本記事が参考になれば幸いです。

通級を勧められた時に「大事なこと」

通級を勧められた時に「大事なこと」は、3つあります。



①:子どもの「具体的な行動」を聞く
 (通級を勧める理由)

②:「通級の情報」を集める

③:子ども本人の「気持ち」を聞く


①:子どもの「具体的な行動」を聞く(通級を勧める理由)

学校が通級を勧めるということは、お子さんの “何かしらの行動” を見て判断しています。

学校の先生が、お子さんのどんな行動を見て「通級を勧める」という判断をしているのか、確認することが必要になります。

そのため、お子さんの “具体的な行動” を聞くことが大切になります。

よくある理由(お子さんの行動)は、下の内容が多いです。

・学習の遅れ
・授業中の離席
・友達との頻繁なトラブル


ただ、本人が物凄く困っている、周りの子や授業に大きな影響を出してしまう、

という所までは、いっていないことが多いです。

②:「通級の情報」を集める

学校、可能なら知り合いのママに、通級の情報を聞きます。

というのも、学校によって大きく変わる為、事前情報はとても重要になります。

知り合いがいないと難しい部分もありますが、経験されてるママ友からの情報は、一番です。

学校からは表面的な情報しか聞けないことが多い為、

学級の中身やリアルな情報の把握には、経験されてる方から聞くのが、一番になります。

把握しておきたい情報は…

・在籍校に通級があるのか
・通級の頻度と時間
・指導内容


になります。

③:子ども本人の「気持ち」を聞く

子ども本人が今の学級(普通学級)で過ごすことに対して、どう思ってるのか、聞きます。

聞くポイントとしては、①困ってるか ②希望があるか になります。

本人が日常的に困っているのか。

困っていないけど、もっとこうなるといい(ex.静かな場所で勉強したい)などの希望があるのか、というイメージになります。

通級に関わらず、学級選びは、本人の気持ちが一番大切になります。

通級を利用する「判断基準

通級を利用する「判断基準は、3つあります。



①:今の学級での「本人の困り」があるか

②:子ども本人が「通級」を望んでるか

③:専門家の「意見」


①:今の学級での「本人の困り」があるか

先ほども触れましたが、本人が今の学級で困りを抱えているか、が大事になります。

過ごしにくさやストレスを感じていたり、学びの機会が減っていたり、

友達との関わりで、すれ違いがあったり…など、本人にとっての困りがあるのかです。

本人が感じていなかったり、言葉にすることが難しい場合もありますので、大人が具体的な場面で聞いていくのも1つになります。

例えば、「友達と話をしてる時に、イラッとして怒ることとかある?それで嫌だなぁって思う事ある?」などです。

本人が困ってる可能性がある場面(もしくは先生からお話があった内容)を出して聞いてみると、

本人の気持ちや感じ方が引き出しやすくなります。

「本当は友達と仲良くしたいけど、怒っちゃうんだよね」のようなお話が出れば、

本人が困ってる可能性が出てくる為、通級の選択肢も視野に入ってきます。

②:子ども本人が「通級」を望んでるか

先ほどの①で、困ってる可能性があれば、”通級” という選択肢があることを伝えていきます。

通級のメリット・デメリットを伝えて、その上で本人が「通級」望んでいるのか、確認していきます。

⚠よくある子どもが”通級を嫌がる理由”

通級は、授業を抜けていく為、本人としては「自分だけ、皆と違う教室で授業を受けるのはイヤ」

「みんなと離れるのがイヤ」と、拒否感を示すことがあります。

このような状態ですと、通級が素敵な環境だったとしても、難しくなります。


【合わせて読みたい記事】

【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準

③:専門家の「意見」

ここでいう専門家とは、学校のスクールカウンセラー(SC)、医療機関の医師(児童精神科医など)、療育の先生になります。

学校のスクールカウンセラーは、授業の様子を見てくれたり、今の学校の状況に合わせて助言をしてくれます。

医師は、正直当たり外れが大きいので、信用できる先生でしたら、参考にされるのが良いと良いと思います。

療育の指導担当の先生の意見も参考になります。

お子さんの特性を理解し、そこに対して指導してくれている先生ですので、

本人がどんな場面で困りやすく、何があると(先生の配慮や環境)過ごしやすくなるのか、把握されてることが多いです。

どれも繋がりがないと難しいですが、繋がってる専門の方がいれば、積極的に頼っていくことをお勧めします。

通級を勧められた後の3つの「事例」

通級を勧められた後の「3つの事例(成功/失敗)」を紹介します。

私が実際に支援に携わってきたケースになります。

✅成功事例

【通級を利用】小学2年 男の子 ADHD傾向あり



友達とのトラブルがあった男の子。悪気はないのですが、友達を怒らす発言をして、トラブルに発展してしまうことがありました。

担任との面談で、通級を勧められ、週2回(2コマ)利用することに。

通級の時間では、友達を傷つけない言葉(ふわふわ言葉)、伝え方を学び、2ヶ月が経つ頃には、トラブルが減ってきていました。

自分の気持ちを大切にしてもらいながら、本人のペースで学べる環境(通級)があったからこそ、過ごしやすさに繋げることができました。


【通級利用なし】小学4年 女の子 ASD(自閉スペクトラム症)傾向



先生から “授業の遅れ” のお話があった小学4年の女の子。

テストの点数は、平均より30点ほど低く、学習へのモチベーションも高くはありませんでした。

授業には参加していても、内容の理解が難しくと、テストでは白紙で出す時もありました。

ただ、本人は友達関係は良く、クラスの皆と離れることを嫌がった為、今の学級のまま、学習を頑張ることにしました。

本人がゲームが好きということもあり、タブレット学習を試してみることにしました。

課題が解けると、ポイントが溜まったり、溜まったポイントでアイテムをゲットできたりと、

“ゲームっぽい勉強” があることで、本人のモチベーションも上がってきました。

3ヶ月が経つ頃には、平均点を超える科目も出てきて、

半年が経つ頃には、ほとんどの科目で、平均点を上回る点数を出すことができました。

何より、本人が勉強への自信がつき、自分から学習する姿勢になったのが喜ばしいケースでした。


✅失敗事例

【通級を利用】小学3年 男の子 ADHD傾向



授業中に時々離席があり、担任の先生との面談で、通級を提案された男の子。

本人としても通級は嫌がることなく、利用することになりました。

ただ実際に通い出すと、本人の楽しそう!というイメージとは違っていたようで、途中で嫌がるようになりました。

クラスから抜ける為、周りの子にも「どこにいくの?何してるの?」と聞かれることもあり、本人の拒否感は一層強まってきました。

クラスの子の認識もバラバラだったため、悪気なく本人に質問をする子もいて、本人としてはストレスを感じやすい状況になっていました。

本人やクラスの子への、事前の丁寧な説明が不十分で、本人の失敗体験(嫌な思い)に繋がってしまったケースになります。


通級を勧められる理由が「学習面のとき」~通級を嫌がってる子~

ここでは、通級を勧められてる理由が、学習面の遅れである場合について、お伝えします。


また、本人が通級を嫌がってるケースになります。

本人が通級を嫌がってれば、無理に通わすことは難しいです。

一方で、学習の遅れは、授業が苦痛になったり、将来の選択肢が減るなど、今後の本人の困りに繋がります。

それを踏まえると、授業が苦痛になる前に、学習が嫌になってしまう前に、家庭ですぐできる学習対策が必要になってきます。

学校の授業以外の時間で、学習時間を確保し、学習の小さな成功体験を作ることが、学習の苦手意識を減らし、学習の遅れを取り戻すことに繋がっていきます。

ここでは、家庭でできる学習対策の1つとして、タブレット学習をお伝えします。

✅家庭内の学習対策は「タブレット学習」

通級を勧められてる子(学習面の遅れ為)の特徴として、以下が多いです。

・ペーパー教材だと理解しにくい
(文章、概念理解等)

・理解がゆっくり
(処理がゆっくり)
(授業スピードが合わない)

・同時並行が苦手
(ex.見る、聞く、書く、考える)

・書きの苦手さ
(生まれ持った特性)

もちろん、他にもありますが、私が支援する中で、特に多い特徴になります。

これらの特徴を考えると、一般的な学習より、タブレット学習の方が、本人に合う要素が多いです。

・ペーパー教材だと理解しにくい
⇨アニメーション学習

・理解がゆっくり
⇨繰り返し学べる
⇨本人のペースで学習

・同時並行が苦手
⇨1画面に1つの課題/解説
⇨1つに集中できる環境

・書きの苦手さ
⇨タッチペンで、書きの負担軽減
⇨”学ぶ” に集中しやすい

メリット、デメリットなど、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

タブレット学習が、合う、合わない子の特徴を、詳しくまとめています。

【支援員がおすすめ】発達障害の子向けタブレット学習

発達障害に関わらず、学習の困りがある子にも共通する内容になります。

1つの学習方法として、参考になれば幸いです。

「【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは。事例も紹介」のまとめ

記事のポイントになります。



通級を勧められた時に
 「大事なこと」
・子供の具体的な行動(勧める理由)を聞く
・通級の情報を集める
・本人の気持ちを聞く

通級を利用する
 「判断基準
・今の学級での「本人の困り」があるか
・子ども本人が「通級」を望んでるか
・専門家の「意見」
・本人に選択肢と中身を知ってもらう

通級を勧められた後の
 「成功事例」
・【通級を利用】小学2年生 ADHD傾向
・【通級利用なし】小学4年生 ASD傾向

通級を勧められた後の
 「失敗事例」
・【通級を利用】小学3年生 ADHD傾向

通級を勧められる理由が
 「学習面のとき」~通級を嫌がってる子~
・授業が苦痛になる前に対策
・学習の成功体験を作る
・家庭内の学習対策の実践
・タブレット学習


以上になります。

本記事が、お役に立てば幸いです。

【関連記事】

【発達障害の子と担任が合わない時】3つの大切なポイント・対処法

-学級・進路

執筆者:


  1. […] 【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは~事例も紹介~ […]

  2. […] 【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは。事例も紹介 […]

  3. […] 【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは~事例も紹介~ […]

  4. […] 【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは~事例も紹介~ […]

  5. […] 【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準とは。事例も紹介 […]

  6. […] 【通級を勧められた時】利用すべき?3つの判断基準~事例も紹介~ […]

comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【特別支援学級とは?】初めて特支の担任になったら知るべき4選

特別支援学級の担任について知りたい方「特別支援学級の担任になったら、何から準備すればいいの?把握すべきことが知りたい」 このようなお悩みにお応えします。 ☑本記事の内容 ✅ …

【どんな基準で判定される?】通級を徹底解説!通う時の3つの目安・注意点とは

通級(判定など)について知りたい方「通級ってどんな基準で判定されるの?うちの子が判定されるのか知りたい。通級が必要な目安、注意点も知りたい」 このようなお悩みにお応えします。 ☑本記事の …

【普通学級に通った】軽度知的障害の子の5つのパターン~2つの困るポイント~

子どもの学級で悩まれてる方「軽度知的障害の子に普通学級は合わない?普通学級に行ったらどうなる?どの学級が良いのか分からない」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 &#x2 …

【行かなきゃ良かった】就学相談でショックを受ける2つのポイント~後悔しない為の4つの視点~

就学相談を受けるか迷われてる方「就学相談は行かない方がいいの?親が希望しない支援級や支援学校で決められちゃうって本当?」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本記事の内容 &#x270 …

【支援学級】担任と合わない時はどうする?2つの対策と注意点について

支援学級の担任で悩まれている方「支援学級の担任と相性が合わない。どこまでお願いをしていいか分からない。担任と合わない時にやるべきことが知りたい」 このようなお悩みに、お応えします。 ☑本 …

サイト作成者プロフィール

Image

発達障害/グレーゾーン/場面緘黙/不登校のお子さんとご家族の支援を、日々行っております。◇療育指導員◇相談支援員◇発達支援10年◇ブログ【週2回更新】◇twitter【毎日発信】◇長男が療育通所中◇

2023/12/18

【不登校の平均期間は?】短くなる時、長くなる時の違い(特徴)~期間より大切な7つのコト~

2023/12/14

【禁句】不登校の子に言ってはいけない言葉~8つの言葉・NGな理由~

2023/12/03

【療育に通うまでの流れ】6つのステップ、3つの注意点~目的に合った療育を選ぶ~

2023/10/24

【療育に通う基準】3つのポイント~療育を始める方が多い4つの時期~

2023/10/04

【保健室登校(別室)】成績はどうなる?よくある2つの事例と5つの対策

2023/10/03

【口に物を入れる】発達障害の子向けの対策~関わる上で大切な3つの視点~

2023/09/12

【発達障害だけど普通学級で貫き通します】事例の紹介~学級選びのポイント~

2023/09/01

【発達ゆっくりな子のその後は?】療育の現場の事例紹介~今、家族に出来ること~

2023/08/17

【学校をまた休む】不登校の復帰後の4つのポイント~再不登校の予防法~

2023/08/04

【よく寝るのは問題?】不登校の回復期のサイン・関わり方・注意点とは

2023/08/01

【療育のデメリット】3つの注意点・メリット・心構え・療育の選び方とは

2023/07/04

【不登校】学校とのやりとりで大切な3つのポイント・2つの注意点とは

2023/05/11

【療育支援員が紹介】不登校の子にオススメな習い事。4つの選ぶポイント・注意点とは

2023/03/23

【発達障害の子と担任が合わない時】3つの大切なポイント・対処法とは

2023/02/22

【通級は恥ずかしい?】通級のメリット・デメリット・通う基準について

2022/10/12

【発達障害の子向け】噛み癖に役立つグッズ5選!支援員が使う時のポイントを解説

2022/06/16

【発達障害】落ち着くグッズ20選~自閉症の子がクールダウンする時のポイント~

2022/04/27

【発達支援員が使った感想】すららの無料体験~5つの長所、4つの短所~

2022/04/06

【宿題でいつも癇癪…】発達障害の子がスムーズにできる6つの対処法

2022/03/16

【療育支援員がおすすめ】発達障害(グレーゾーン)の子向けの習い事~選ぶ時の8つのポイント~

2022/01/12

【2024年 支援員がおすすめ】発達障害の子向けタブレット学習~ADHD/自閉症の子に必要な4つの特徴~

2021/10/21

【支援級勧められたけど普通級に行った!】学級選びで大切な3つのポイント

2021/06/30

【保育園に療育を勧められたら】やるべきこと・注意点・事例を元に解説

2021/06/18

【療育支援員が紹介】発達障害の子におすすめな椅子5選!補助グッズも解説

2021/06/16

【療育に行かなかったら後悔する?】よくある5つの事例~早期療育はどの子にも良い~

2021/02/24

【特別支援学級】子どもへの説明~2つのポイント~良い/悪い7つの具体例~

2021/01/15

【療育辞めてよかった!】辞めるタイミングは4つ!事例・注意点も解説します

2020/12/07

【場面緘黙の子供】なんで挨拶が苦手なの?3つの理由・5つの接し方とは

2020/07/27

【発達障害】逆さバイバイはいつまであるの?原因と接し方について解説します

2020/06/03

【自閉症の子が夢中になる!】人気おもちゃ26選~療育支援員が紹介~

2020/05/21

【子どもの癇癪】3つの原因から考える!クールダウンの方法~自閉症の子にも有効~

2024/02/17

【学習障害】親ができること~家庭できる4つのコト・外でできる2つのコト

2024/02/16

【字を書くのが嫌いな子】4つの理由・対策~予防しておきたい注意点~

2024/02/07

【普通学級に通った】軽度知的障害の子の5つのパターン~2つの困るポイント~

2024/02/06

【母子登校】発達障害の子どもへできる5つのコト~大切な3つの視点~

2024/02/05

【発達障害の子の育児をやめたい】親の負担を軽くする4つの方法~一人で抱え込まない為に~