学級・進路

【特別支援学級から普通高校に行くには何が必要?】5つのポイント/注意点とは

投稿日:2023年10月19日 更新日:

子どもの進学で悩まれてる方「特別支援学級から普通高校に行く子はいるの?何ができれば行けるの?」

特別支援学級の子の進学先で、悩まれる親御さんは、とても多いです。

お子さんの特性を考えると、普通高校が良いのか、通信学校など他の選択肢が良いのか、など難しい問題にぶつかります。

その中でも「普通高校」を進学先として検討される方も、少なくありません。

ただ「特別支援学級から普通高校に行けるの?行けても困らない?何ができると良いの?」など、不安に感じられる方も多いです。

そこで本記事では、

「普通高校に行く(過ごす)上で大切なこと/注意点」をお伝えしたいと思います。

私は、発達支援の相談/支援員を15年以上しており、これまで進路のご相談も受けてきました。

この支援経験を元に、私が現場で見て感じてきたことを、お伝えしていきます。

参考になれば幸いです。

特別支援学級から普通高校に行く「5ポイント」

特別支援学級から普通高校に行く為の「ポイント」は、5あります。

ここでお伝えするのは、学力以外のポイントになります。

本人が普通高校での生活を、自分らしく楽しく過ごす為に大切な点になります。

「行く」だけでなく「行って楽しく過ごせる」為のポイントになります。



①:本人の「自己選択」

②:「自己認知」と「対処法」

③:信頼できる「繋がり/居場所」

④:本人の「捉え方」

⑤:「周りに頼る」スキル


本人の自己選択

普通高校という選択肢を、最終的には本人に選んでもらう形をとります。

複数ある選択肢(進学先)のそれぞれのメリット/デメリットを伝え、本人に選んもらう機会を作ることが大切になります。

各選択肢については、学校の先生など詳しい先生から情報を集めます。

自己認知と対処法

本人が、自身の特性を知り、対処法を実践できる状態が必要になります。

例えば、記憶が苦手な特性をもつ子でしたら、机でメモ用の付箋を貼っておき、いつでもすぐにメモできる状態を作るようにします。

このように自分の特性を理解し、その対処法が実践できれば、生活の困りを減らすことができます。

自身の特性・対処法を言葉で人に伝えることができ、対処法が自分で実践できる状態が理想的になります。

また、普通高校に進むということは、特別支援学級のクラスメイトと違い、”自分と周囲との違い” を実感する場面が増えます。

「自分は◯◯が得意、◯◯は苦手。周りと◯◯が違う」など、自分と周りとの違いを正しく認識することも大切になります。

信頼できる繋がり/居場所

特別支援学級に在籍してた子が、普通高校に行くのは、多くの子にとって不安があるものです。

今まで受けていた配慮がなかったり、周りが理解してくれている状況とも違ってきます。

そんな不安がある環境の中で、大切なのは、本人が “信頼できる人/場所との繋がり” を持つことになります。

家族や友人、療育先の先生など、安心して話せる存在になります。

・自分を理解してくれる人の存在
心を許して話せる時間

これらは、本人の安心感に繋がります。

安心感は、生活する上での土台になる為、進学前にしっかり作っておく必要があります。

本人の捉え方

普通高校に行くことで、今まで当たり前に受けていた配慮(周囲の理解)は、得にくくなります。

そんな環境ですと、本人の中で、

「上手くいかなかったこと」
(他の子と同じ様にできなかった)

「自分と周りの子との違い」

などを感じやすくなります。

ただ、違いは誰にでもあって、その違いが、特別支援学級に通う子は、特に大きいことが多いです。

「自分は自分」「人は人」と分けて考えられるかは、本人自身を守る上で、大切な要素になります。

「自分はダメだ」「周りの子よりできない」など、ネガティブに捉える子ですと、高校生活が辛くなり、二次障害などに繋がる恐れがあります。

周りに頼るスキル

誰でも少なからず、高校生活やこの先の生活で困ることはあります。

そんな時に、一人で抱え込まず、周りの人に頼れる力(ヘルプ要求)が大切になります。

・困ってることを人に伝えられる
・人に手伝ってもらう
・人に教えてもらう

このように、周りに頼るスキルは、高校生活に限らず、生きてく上で、ずっと必要になるスキルになります。

特別支援学級の子高校受験の注意点

特別支援学級の子が高校受験する時の注意点をお伝えします。

注意点は、公立の普通高校の受験が厳しくなる点になります。

特別支援学級の多くは、内申点がつかない(低い)です。その為、内申点の影響を受ける公立高校の受験が難しくなります。

ただ、学校や地域によって変わる可能性がある為、在籍校に確認することが一番になります。

普通高校に行く為に「必要な学習対策」

特別支援学級の子が普通高校に行く為には、早めの学習対策が必要になります。

ただ、何を押さえて学習対策をすればいいのか、ここが支援学級の子が学習する上で難しいポイントになる為、学習対策の中身についてお伝えします。

ポイントは、4つになります。

本人の特性の把握

特別支援学級に通う子は、大なり小なり特性があります。特性とは、生まれつき持った気質に近いもので、私たち皆にあります。生活に支障が出るかどうかが大きな違いになります。

この特性は、学習でも影響が出る場合があります。例えば、注意特性といって、情報が多いと、どこを見て進めればいいのか、優先順位がつけられない特性になります。(注意の選択性)

また、気になるモノが視界に入ったり、音があると注意が逸れて(注意の転動性)、取り組みに時間がかかることもあります。

他にも、見て覚えることが得意(視覚優位)、聞いても覚える方が得意(聴覚優位)など、それぞれの得意、不得意があります。

その子の “学びやすさ” が把握できると、その子に合った学習方法が見えてきます。

特性に合う学習法の実践

本人の特性(得意、苦手)が把握できたら、得意を活かした学習方法を実践します。

例えば、漢字を覚える場合、形から覚えやすい子は、漢字を見て覚える方が良いです。

体感とセットで覚えられる子は、書きながらが良いです。イメージが覚えやすい子は、イラストのような、雨という感じと雨の絵がセットで覚えられる学習方法が良いです。

このように、その子の得意を取り入れた学習方法が効果的になります。

学習の成功体験を重ねる

本人の特性が把握でき、学習方法を実践できると、問題が解けたりと、本人の学習の成功体験が増えてきます。

最初は、「自分に合った方法で勉強すればできる!」という本人の実感を作ることが大切になります。

この成功体験の積み重ねは、学習意欲に繋がり、学習意欲があれば学習時間が増え、その結果、学力に繋がってきます。

この良いサイクルを作るための起点が、”成功体験” になります。

学習単元の流れに沿う

特性に合う学習方法が分かって、学習意欲があっても、学習単元の選び方がズレてると、効率が悪くなり、卒業までの限られた時間では、間に合わない場合もあります。

学習は、進める上で順番があり、その子の学習課題によって、どこの単元から始めた方が良いのか変わってきます。

お子さんによっては、前の学年まで遡って学習する場合もあります。

ここまでの内容を聞いて「大事なポイントは分かったけど、家で全部やるのは難しいそう..」と思われた方も多いと思います。

療育支援や家庭教師の活用も1つですが、料金や利用できる頻度を考えると、足りない場合がほとんどだと思います。

それを踏まえ、学習対策の1つとして、ここでは「タブレット学習」についてお伝えします。

特性に配慮された:タブレット学習

一言で言うと、先ほどの①~④を網羅した学習方法になります。

先ほどの②の “特性に合う学習方法” では、視覚優位、聴覚優位の子に合わせて、アニメーション解説や音声解説など、特性に合わせて最適な学習方法を活用できます。

また、お子さんの特性が分からない場合は、実際にいくつかの学習方法を試し、一番理解が早かった学習方法を見つければ、家庭でも把握しやすいです。

それでも自信がない方は、心理検査、発達検査を受け、心理士の助言をもらうのも1つです(かかりつけのクリニック、大学病院などで、受けたり、紹介してもらえます)

またタブレット学習は、ゲーム性も豊富なため、苦手意識がある子も楽しく取り組める工夫がされています。

問題を解くとポイントが貯まり、アイテムと交換し、コレクションを集めるようなゲーム性があります。

また、キャラクターと対話をしながら学習を進められる為、学習意欲を高めながら、理解を深めることができます。

④の “学習単元の流れに沿う” では、本人の解答結果を分析し、本人に今必要な学習課題(単元)を選び、提示してくれます。

また、無学年式といって、学年に縛られず、他の学年の学習も自由にできます。

タブレット一台で完結する為、自分のペースで家庭内で進めることができます。

ここまで、タブレット学習についてお伝えしましたが、デメリットもあり、中には合わない子もいます。

その他、デメリット、具体的なタブレット学習の種類は、こちらの記事をご覧ください。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良い タブレット学習

診断名に関わらず、学習対策をしたい子にとって、参考になる情報になります。

1つの学習方法として、お役に立てば幸いです。

【特別支援学級から普通高校に行く】まとめ

記事のポイントになります。



特別支援学級から普通高校に行く為の
 「5つのポイント」

・本人の自己選択
・自己認知と対処法
・信頼できる繋がり/居場所
・本人の捉え方
・周りに頼るスキル

特別支援学級の子が
 「高校受験する時の注意点
・公立高校の受験が厳しい
・在籍校に確認する

普通高校に行く為に
 「必要な学習対策」

・特性の把握
・特性に合う学習方法
・学習意欲を高める
・学習の成功体験を積む
・学習単元の流れに沿う
・タブレット学習


以上になります。

本記事が、お役に立てば幸いです。

【関連記事】

【発達障害の子の勉強】スムーズになる4つの対処法

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