不登校

【別室登校の過ごし方】メリット・デメリット・教室へ復帰する5つのポイント

投稿日:2023年3月2日 更新日:

子どもの不登校で悩まれてる方「別室登校って、どんな風に過ごすの?教室へ復帰する為には何をすればいい?」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



別室登校の
 「3つの過ごし方」

✅別室登校の
 「5つのメリット」

✅別室登校の
 「3つのデメリット」

✅教室へ復帰する時の
 「5つのポイント」

不登校の子に
 「必要なもの」


別室登校をしてるお子さんがいると、

「別室登校って何をして過ごすの?」
「教室に行けるようになるのかな…」
「進路はどうなるんだろう…」


など、お子さんはもちろん、親御さんも不安な気持ちで、いっぱいになると思います。

そこで今回は、別室登校の過ごし方~教室へ復帰するポイントをお伝えしていきたいと思います。

教室へ復帰することがベストとは限りませんが、お子さんが望まれている場合、形にしてあげたいのが親御さんの気持ちだと思います。

本記事では「教室へ復帰」という1つの選択肢について、お伝えできればと思っています。

この記事の執筆者の私は、療育・相談支援を10年以上しています。不登校(完全不登校/別室登校)のお子さんの支援も数多くしてきました。

その支援経験を通して、本記事をまとめています。

参考になれば、幸いです。

別室登校の「3つの過ごし方」

別室登校には個人差があり、学校によっても変わってきます。

ここでは、よくある別室登校の「3つの過ごし方」を紹介します。



①:「保健室(教室以外の部屋)」に登校

②:「放課後に」教室に登校

③:「課題を取る為」に別の時間に登校


お子さんによって、複数重なることもあります。

①:「保健室(教室以外の場所)」に登校

“教室以外の場所” に登校するパターンになります。

1番多いのは保健室ですが、学校によっては、校長室や会議室などもあります。

中には、日によって教頭先生が付き添って見てくださる場合もあります。

先生と話したり、課題を解いたり、テストを受ける場合もあります。

過ごす時間としては、午前中だけ、2時間目まで、など時間を区切って過ごされるお子さんが多いです。

②:「放課後に」教室に登校

“クラスメイトがいない時間帯(放課後)” に登校するパターンになります。

特に、お子さん本人が「同級生には会いたくないけど、学校に行きたい」という場合が多いです。

教室で担任の先生と話をしたり、学校の連絡事項を確認するなどして、時間を過ごします(親御さんが付きそう場合もあり)。

協力的な担任の先生でしたら、時間をとってもらえます。

ただ、学校や先生によっては、イレギュラーの対応自体が難しい場合もあります。

③:「課題を取る為」に別の時間に登校

宿題・課題を取りに、登校するパターンになります。

放課後が1番多いですが、日中に教室以外の場所で課題だけ受け取って、すぐ早退する子もいます。

「教室で過ごすのは難しいけど、学習が遅れないように頑張りたい子」 に多いです。

別室登校の「5つのメリット」

別室登校の「メリット」は、5つあります。



①:「本人が安心できる場所」が確保できる

②:「本人・親の気持ちの負担」が軽くなる

③:「生活リズム」が作れる

④:「教室復帰のキッカケ」になる可能性

⑤:「出席扱い」になる



①:「本人が安心できる場所」が確保できる

本人の「学校の中での安心できる場所」が作れることです。

不登校問題でよくある1つの問題が「学校に行く」が目的になってしまうことです。


本人の気持ちが追いつかず、学校に行けても辛い思いをしたりと、状況の進展が難しい場合になります。

・数日間登校できたけど、行けなくなった
・教室に行けたけど、本人が嫌な思いをした
(学校での失敗体験になった)

など、本人にネガティブな影響を与えることが多いです。

そういった背景から、まず学校で過ごす時間の中で、子ども本人が、

「○○だと少し落ち着ける」
「○○が楽しかった」
「意外に、○○は嫌じゃなかった」

とポジティブな気持ちを実感することが必要になります。

この実感が、学校や他の場所に繋がるための土台になります。

②:「本人・親の気持ちの負担」が軽くなる

不登校問題は、お子さんも親御さんも、孤独になりやすいです。

精神的にも物理的にも、取り残された気持ちになります。

そこで大切になるのが「学校との繋がり」になります。

お子さんやご家族のご様子にもよりますが、学校と繋がれてることで、

本人や家族だけで抱え込まず、気持ちの負担(孤独感)の軽減に繋がることがあります。

また、学校へ復帰をする時の、いざという時の架け橋にもなります(復帰のハードルが下がります)。

そういった意味でも、「学校との繋がり」は持ちつつ、定期的に連絡をとって、

近況の共有・認識のすり合わせをすることが大切になってきます。

③:「生活リズム」が作れる

ある程度決まった時間・場所に通うことは、生活リズムの構築にも繋がります。

外との繋がり(今回でいうと別室登校)があると、基本的にはそれを軸に過ごします。

別室登校の時間に合わせて過ごすことは、睡眠・食事・起床など、生活に必要なリズムを作ることに繋がります。

④:「教室復帰のキッカケ」になる可能性

先ほども触れましたが、学校へ復帰するキッカケになります。

お子さんによりますが、多くの子は、いきなり登校再開、とはいかないことが多いです。

もちろん、中には出来る子もいますが、そんな子ばかりではありません。

本人の状態に合わせて、段階を踏んで登校のステップを刻むことは、お子さんを守る上でも大切になってきます(失敗体験の予防)。

お子さんの気持ちとしても、完全不登校の状態よりも、

別室登校で通っている状態の方が、教室へ復帰のイメージが湧きやすくなります。

⑤:「出席扱い」になる

別室登校は、基本的に出席扱いになる為、成績がつきます。ただ成績のつけ方は、学校によって様々になります。


進路にも影響する大事なことですので、在籍校に確認しておきたい点になります。

今はタブレット学習で出席扱いになるケースも増えています。

詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【関連記事】

【相談員が解説】すららで不登校を出席扱いにする方法!7つの条件

別室登校の「3つのデメリット」

別室登校の「デメリット」は、3つあります。

“お子さんの感じ方・捉え方” によって変わりますので、該当する所をご覧ください。



①:「自己肯定感」が下がる

②:「学習の遅れ」に繋がる

③:周囲が気になり「ストレス」になる



①:「自己肯定感」が下がる

別室登校をすることで「皆出来てることが、出来ない自分」が嫌になります。

そのため、自己肯定感が下がり「どうせ何やっても上手くいかない」と自分の殻に閉じこもります。

本人の「別室登校」に対する捉え方が大事になってきます。

本人と親御さんとの関係性にもよりますが、

本人に合った通い方の1つとして「別室登校」という選択肢があることを、伝えていきたい所です。

②:「学習の遅れ」に繋がる

不登校の子が抱える困り事の1つとして、学習の遅れがあります。

別室登校をする子の中には「勉強を頑張りたい..でも学校には行けない..」という子が少なくありません。

ただ授業が十分に受けられないと、自力での学習は難しいです。

そこで、家庭でできる学習フォローが必要になってきます。

私がお勧めしているのは、タブレット学習になります。

本人のペース・学力で進められ、学校の進度にも合わせてくれるので、とっても心強いツールになります。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良いタブレット学習

発達障害に関わらず、不登校など困りを抱えた子に共通する内容になります。

③:周囲が気になり「ストレス」になる

「別室登校=皆と違うことをする」と、多くの子は考えます。

その時に、周囲からの視線・どう思われているのかを考え込み、ストレスになる子がいます。

周りとの違い、周囲の様子を敏感に気にする子は、特にストレスがかかりやすい傾向があります。

教室へ復帰する時の「5つのポイント」

教室へ復帰する時の「ポイント」は、5つあります。



①:「安心感」

②:「自己肯定感」

③:本人が決めた「目標(動機)」

④:家庭と学校の「共通認識」

⑤:「学習のフォロー」



①:「安心感」

ここは、「別室登校のメリット」の項でもお伝えした通りになります。

不登校の子にとって学校に行くことは、不安と向き合うということです。

その時に、本人が安心できるものがないと、強い負荷がかかり、

頭痛や腹痛など体調に出たり、自分の殻にこもるなど、反動が出ます。

また、安心に似てますが、「逃げ道」も大事になってきます。

辛くなったら、逃げれる場所(方法)になります。

例えば…


・辛くなったら、保健室に行く
・辛くなったら、担任に伝え、早退する

(学校もOKと言ってる)

などになります。

いざ辛くなっても「○○できるから大丈夫」と本人が思えていれば、過剰な不安を抱え込まず、学校で過ごすことができます。

そして、その状態の方が、結果的に上手くいくことが多いです。

②:「自己肯定感」

不登校の子に関わらずですが、自己肯定感は、お子さんの原動力になります。

特に、不登校や発達障害など、失敗体験を積みやすい子にとっては、とても重要になります。


自己肯定感を上げるためには、お子さんが実感できる「○○ができた!」などの、成功体験が必要になります。

家庭や学校で、できるようになったことを褒めることが大切になります。

褒められるのが嫌な子でしたら、親御さんが感じたことを言葉にする方法もあります。

例えば、お子さんが掃除してくれた時に「部屋がきれいだなぁ、物がないと広いなぁ」など、

“独り言に近い形” で伝えるイメージになります。

③:本人が決めた「目標(動機)」

「目標がある=モチベーションになる」という子は、目標(動機)を決められると良いです。

特に、受験などを控えていたり、進学先の方向性がある程度決まってきそうな子は、目標がある方が活力に繋がりやすいです。

・テストで○点
・受験の必須科目の授業は出る


ただ単に「学校に行こう」よりも、ポジティブな気持ちで取り組めます。

✅目標(動機)が作りづらい子の場合

「目標」が作りづらい子には、学校に行くメリットを作るのが効果的になります。

本人が “メリットが実感ができる時間” だけ、学校に行くのも1つです。

・好きな授業だけ出る
・好きな先生の授業だけ出る
・好きな先生と話せる時間に行く


学校の協力は必要になりますが、とても大事なポイントになってきます。

④:家庭と学校の「共通認識」

家庭と学校が、本人の状態・今後の見通し(どんなステップで進めていくか)の共通認識を持つことが大事になります。

よくあるのが、家庭としては本人のペースで登校すればいいと思っていても、

学校としては「毎日登校するように促して下さい」「一人だけ特別扱いできません」という場合もあります。

この状態ですと、家庭と学校が向いている方向もバラバラなので、本人に必要な環境や配慮を用意することは難しくなります。

まずは、下の2点が大事になってきます。

・本人の今の状態
(何ができて、何が難しいか)

・どういうステップで進めるか

学校との共通認識が、不登校の子へのサポートの第一歩となります。

「【別室登校の過ごし方】メリット・デメリット・教室へ復帰する5つのポイント」のまとめ

記事のポイントになります。


別室登校の「過ごし方」
保健室(教室以外の場所)に登校
・放課後に教室に登校
・課題を取る為、別時間帯に登校

別室登校の「メリット」
・本人が安心できる場所の確保
・本人/親の気持ちの負担が軽くなる
・生活リズムが作れる
・教室復帰のキッカケの可能性
・出席扱いになる


別室登校の「デメリット」
・自己肯定感が下がる
・学習の遅れに繋がる
・周囲が気になりストレスになる

教室へ復帰する時の「ポイント」
・安心感
・自己肯定感
・本人が決めた目標(動機)
・家庭と学校の共通認識
・学習のフォロー


以上になります。

本記事が、参考になれば幸いです。

【関連記事】

【不登校の子は勉強追いつくの?】学習支援でも実践してる6つの勉強法

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