不登校

【よく寝るのは問題?】不登校の回復期のサイン・関わり方・注意点とは

投稿日:2023年8月4日 更新日:

子どもの不登校で悩まれてる方「不登校の回復期は、よく寝るものなの?どう関わればいいか分からない」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



不登校の「回復期」とは

✅回復期の「サイン」

✅回復期の「関わり方」

✅回復期の「注意点」

回復期の「心構え」

不登校の子に「必要なもの」

不登校の子が「備えておきたいこと」


不登校のお子さんの状態を表す言葉の1つとして「回復期」があります。

ネットで調べると、回復期の子は「よく寝る」と言いますが、

具体的にどういう意味を指してるのでしょうか?そして、どんな関わりが必要なのでしょうか?

このような悩みをお持ちの方が増えています。

そこで本記事では「不登校の回復期」に関する情報を紹介します。

この記事を執筆している私は、不登校・療育支援を10年以上しています。

その支援経験を通して本記事をまとめています。参考になれば、幸いです。

不登校の「回復期」とは

不登校には段階があり、

回復期」は、その段階の一部になります。

不登校の全体像としては、以下のような状態(時期)があります。

「開始期→引きこもり期→回復期」

ここでは詳しく触れませんが、要点だけ確認していただければと思います。


①開始期

行きしぶりが出始める時期になります。

・朝起きるのが、遅くなった
・朝の登校の準備が、遅くなった
・行きしぶりの発言がある


このような様子が、出始める時期を指します。

②引きこもり期

学校を本格的に休む状態になります。自室にこもったり、生活リズムが乱れることもあります。

歯磨きや入浴もせず、自分の殻に閉じこもる場合もあります。

ベクトル(矢印の向き)が全て “自分自身(本人)” に向いている状態になります。

③回復期

お子さんの言動が外(自分以外)に向く時期になります。

自分自身に向いていたベクトル(矢印の向き)が、”自分以外” に向き始めます。

具体的には、本を買いたい、人に会いたいなどの発言があったり、身だしなみを整えたり、家の手伝いをする、などです。

不登校の全体像と回復期の位置づけの確認ができましたら、

ここからは回復期について、深く見ていきたいと思います。

不登校の回復期の「サイン」

不登校の回復期の「サイン」は、

3つあります。



①:「自分以外」に関心が出る

②:「外出の頻度」が増える

③:「暇」などのニュアンスの発言が増える



①:「自分以外」に関心が出る

本人の言動が「自分(本人)以外に向く」状態になります。

よくある例としては、以下の言動になります。

勉強する
家の手伝い
・買い物
・身だしなみを整える
将来の話をする
家族との会話
必要な物を欲しがる
(ex.勉強に必要な物)

お子さんの発言・行動から、状態が見えてきます。

②:「外出の頻度」が増える

ほとんどの時間を、家や自室で過ごしてた子の場合、外に出る機会が増えます。

また、外出できる時間帯が広がる場合もあります。

不登校の子にとって、外出は、負荷がかかりやすいです。

特に、同級生がいる夕方の時間は、外出を避けたがる子も少なくありません。

外で過ごせる時間が増えることは、お子さんのポジティブな変化の1つになります。

③:「暇」などのニュアンスの発言が増える

「やることがない」

「家にいても、つまんない」

このような発言があると、お子さんの回復期のサインである可能性があります。

家での過ごし方は、以下のものがあります。

・散歩
・読書
・買い物
・家の手伝い

(洗濯・掃除など)
・学習
(ドリル・タブレット学習など)
・習い事

(本人の好きなこと・オンラインなど)

【関連記事】

【不登校の小学生】家での過ごし方は何が大事?4つのポイント・注意点

不登校の回復期の「関わり方」

不登校の回復期の「関わり方」は、

3つあります。



①:本人の意思・関心に「応える」

②:本人の気持ちに「共感」する

③:「ポジティブ」なスタンスを持つ



①:本人の意思・関心に「応える」

本人の意思・関心が出たときには、本人がその情報に触れられる機会を作っていきます。

具体的には、下のような例になります。

・資料を取り寄せる
・ネットで、一緒に調べる
・実際に一緒に行ってみる
・購入し、家で触ってみる

・習い事/フリースクールの見学

“お子さんの気持ち” を聞きながら、選びたい点になります。

②:本人の気持ちに「共感」する

不登校の子は、心に傷を負ってることが多いです。

・学校の辛い経験
・自責の念
・自己肯定感の低下

など、様々なものを抱えています。

「どうせ自分なんて、何もできない」
「皆ができてることは、自分はできない」
「皆に迷惑かけてる自分はダメだ」


このような気持ちを抱えています。

この気持ちに対して「◯◯なんだね」と、寄り添うことが大切になります。

③:「ポジティブ」なスタンスを持つ

不登校の子の中には、何でもネガティブに捉える子がいます。

被害的に捉えたり、攻撃的になったり、自分自身で失敗したと思い込む場合もあります。

そのため、関わる大人の方は「ポジティブな姿勢」を持つことが必要になります。

すぐできる方法の1つは、大人の言葉の表現を肯定的にします。

「走らないで」→「歩こう」

「片付けできてないよ」→「片づけしよう」

「時間過ぎてるよ」→「◯時までにやろう」

このようなイメージで、否定的なニュアンスを避ける伝え方をしていきます。

不登校の回復期の「注意点」

不登校の回復期の「注意点」は、

4つあります。



①:「一喜一憂」しない

②:安易に「学校・将来」の話をしない

③:「失敗」と捉えない

④:「体力の低下」を考慮する


①:「一喜一憂」しない

お子さんの1つずつの言動・変化に、過剰に反応しないことになります。

例えば、下のような言動になります。

・「登校する」と発言した
・学校に1回行けた
・ドリルを1Pできた

不登校の子は、気持ちの波が大きいです。

前日の夜に「明日は学校にいく」と言っても、当日の朝には「やっぱり休む」と言うこともあります。

数日登校できても、その後に反動でしばらく学校に行けなくなることもあります。

大人の過剰な反応は、本人にプレッシャーを与え、無理させてしまいます。

「これ(今の子どもの状態)は、大きな波の1部なんだ」と思うことが、親御さんの気持ちを楽にさせ、

結果として、本人にも良い影響(安心感)を与えます。

②:安易に「学校・将来」の話をしない

親御さんは、焦り・不安から、以下の声掛けをしやすくなります。

「明日は、学校行けそう?」
「今日学校の先生と電話で話したよ」
「明日は学校で、○○やるんだって」


我が子を心配しての声掛けですので、お気持ちは、とても分かります。

ただ親御さんとしては、心配して伝えているつもりでも、

お子さん本人からしたら、”プレッシャー・心の負担” として受け止めます。

本人から話(関心)が出るまで、大人側から積極的に聞くのは、避けた方が良いです。

③:「失敗」と捉えない

不登校の子の気持ちには波があり、チャレンジしても上手く行かないことも多いです。

ここで大事なのは、どんな出来事も大人側が「失敗」と捉えない姿勢を示すことです。

例えば、自宅学習のため、タブレット学習にチャレンジしたけど、結果的に合わなず途中で辞めてしまったとします。

このような時は「タブレット学習は合わないことが分かったね(他の学習方法を探せる)」と声をかけます。

これは、チャレンジしたからこそ「本人には合わない」と分かったということです。

このように、一見失敗に感じられそうなことも、良い側面で捉える(リフレーミング)ことが、

お子さんの心を守る意味で、重要になります。

もちろん、お子さんの捉え方によって変わるため、上記の関わりも合う・合わないがあります。

これまでのお子さんの言動を想像して、何が合うか考えることが必要になります。

④:「体力の低下」を考慮する

不登校期間が長い子は、体力が低下してることが多いです。特に、家で過ごす時間が長い子は該当しやすいです。

大人の想像以上に疲れやすい為、そこを考慮して本人に合うペースで、生活リズムを作ったり、体を動かす機会があると良いです。

もちろん、本人の意思があることが前提になります。

不登校の回復期の「心構え」

不登校の回復期の「心構え」は、

3つあります。



①:大人の想像以上に「時間が必要」

②:「学校に行く」≠ゴール

③:「正解はない」「ダメなこと」はある


①:大人の想像以上に「時間が必要」

不登校の問題は、時間がかかることが多いです。

私が支援してきた中ですと、早くても数ヶ月、中には数年かかる子もいます。

お子さんの状態(不登校期間の長さなど)によりますが、短期間で問題が解決することは少ないです。

大人側が「数ヶ月~数年の時間がかかる可能性がある」という認識を、持つ必要があります。

②:「学校に行く」≠ゴール

お子さんにとって「学校に行く」は、

選択肢の1つに過ぎません。

お子さんの特性・状態によっては、「学校に行く」が最善でない場合もあります。

今は、他の選択肢も増えています。

・自宅学習
・フリースクール
・通信
・転校


「”本人に合う選択肢” を探す」という視点が、大切になります。

③:「正解はない」けど「ダメなこと」はある

不登校支援において「正解」はありません。ただ「避けるべきこと」はあります。

そのため、正解を探すよりも、まずは「避けるべきこと」を確認する方が良いです。

理由は、不登校問題の多くは、

「本人にしてはいけないこと・良くない環境」が多いことで、深刻化している為です。

【関連記事】

【親のストレス】不登校に子にイライラする~3つの対策・5つの大切なこと~

「【よく寝るのは問題?】不登校の回復期のサイン・関わり方・注意点」のまとめ

記事のポイントになります。


不登校の「回復期」とは
・不登校の子の回復の兆し
・本人の言動が外(自分以外)に向く時期

回復期の「サイン」
・自分以外に関心が出る
・外出の頻度が増える
・”暇” などのニュアンスの発言が増える

回復期の「関わり方」
・本人の意思・関心に応える
・本人の気持ちに共感する
・ポジティブなスタンスを持つ

回復期の「注意点」
・一喜一憂しない
・安易に学校・将来の話をしない
・失敗と捉えない
・体力の低下を考慮する

回復期の「心構え」
・大人の想像以上に時間が必要
・”学校に行く=ゴール” ではない
・”正解はない” けど “ダメなこと” はある


以上になります。

本記事が参考になれば幸いです。

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