不登校

【不登校】家では元気なのに学校に行かない~2つの理由・9つの接し方~

投稿日:2021年5月10日 更新日:

子どもの不登校で悩まれている方「家では元気なのに学校にいけないのは何で?学校に行かせるべき?休ませるべき?子どもへの接し方が知りたい」

このようなお悩みに、お応えします。

☑本記事の内容



家では元気なのに
 「学校に行かない理由」

✅不登校の子への
 「9つの接し方」

✅不登校の子に
 「避けたい接し方」

不登校の子に
 「必要なもの」


不登校の子が
 「準備しておきたいこと」


不登校のお子さんは、家と学校で様子が違うことが多いです。そのため、多くの親御さんはお子さんへの接し方に悩まれてしまいます。

この記事を執筆している私は、発達・相談支援を11年以上しています。不登校のお子さんの支援も多くしてきました。

その経験を通して、本記事では「不登校の原因、子どもへの接し方/避けたい接し方」をまとめました。

本記事が、参考になれば幸いです。

家では元気なのに「学校に行かない理由」

お子さんが家では元気なのに「学校に行かない」理由を、2つお伝えします。



①:家が安心できる場所だから

②:家族へ心配をかけないため


①:家が安心できる場所だから

不登校の理由が、「学校」にある場合になります。

例えば、

・授業についていけない
・先生に叱責される
・苦手な友達がいる
・クラスで孤立する


など、学校に行くことで嫌な思いをすることです。

学校が不安になる要素があれば、その分、家は安心できる場所になることが多いです。

②:家族へ心配をかけないため

不登校のお子さんは、「本当は学校に行ってほしいと思われてる」、「自分のせいで、家族や先生や、周りの人に負担を増やしていること」を理解しています。

そのため、「学校に行かないから迷惑をかけている」「早く学校に行かなきゃ」と思っていることが多いです。

家族を心配にさせまいと、その気持ちから「元気に見せる」ことがあるのです。

✅不登校には4段階ある

初期

「学校に行きたくない」という気持ちが、芽生え始める時期です。

・朝起きられない
・着替えをしない
・トイレに何回もいく
・準備に時間をかける


のような行動が、見られることがあります。

お子さんによっては、頭痛や腹痛、吐き気などの体調不良を訴える場合もあります。

進行期

「学校に行けない」「行かない」という意思をはっきりを示す言動が見られます。

初期と比べ、目が覚めても起きない、布団から出ない、何度声を掛けても、一向に動かないなど、

初期より行動が強まり、適切な対処がないと、本格的に学校を休み始めます。

引きこもり期

引きこもり期は、乱暴な言動、引きこもり、無気力化が表面化する時期です。

乱暴な言動、部屋から出ない、生活動作(ex.お風呂、歯磨き等)をしないことが、目立ってきます。

「学校を休む→学校に登校しづらくなる→学校を休む」、のサイクルができ、コントロールが難しくなります。

お子さんによっては、昼夜逆転し、生活リズムが乱れることもあります。

回復期

お子さんが少しずつ自信を取り戻した結果、登校に対して前向きな気持ちを持てるようになる時期です。

・学校の友達に会いたい
・学校で使う物を買いたい
・新しい洋服が欲しい


などの言動などになります。

また「家族のために何かをすること」も、回復へ向かっているサインになります。

例えば、洗濯、料理、買い物、掃除などの手伝いです。

ご家族が1つ1つ丁寧に感謝を伝えることで、お子さんの自己肯定感が上がっていきます。

【関連記事】

【発達障害の子の二次障害は治らない?】原因・予防/対処法を解説

不登校の子への「接し方」~家では元気な子~

不登校の子への「接し方」を9つお伝えします。



①:本人の気持ちに「共感」する

②:本人の気持ちを「尊重」する

③:本人が「安心できる要素」を増やす

④:本人の「ストレス/不安の元」を減らす

⑤:家での役割を任せて「感謝を伝える」

⑥:「生活リズム」を整える

⑦:「夢中になれるもの」を見つける

⑧:家庭内で「すり合わせ」する

⑨:学校に「相談」する


①:本人の気持ちに「共感」する

本人の気持ち、話に共感をします。

例えば、本人が「眠いよ。学校行きたくないよ」「勉強したくない」と言ったら、

ご家族は、第一声に「朝は眠いよね。学校にも行きたくなくなるよね」「勉強面倒くさいよね」と共感の言葉を入れます。

不登校の子は、言葉で表現できない強い不安、緊張を抱えています。まずは、本人の気持ちを受け止め、共感することで、大人の話に耳を傾けやすくなります。

ここで「昨日学校行くって言ったでしょ!」と言えば、やりとりはそこまでになります。お子さんも否定された!となり、大人の話に耳を傾けにくくなります。

私たちも、人の話を聞きたくなるのは、自分の気持ちを理解してくれたり、受け止めてくれる人の話だと思います。


少なくとも、自分を否定する人のお話は聞きたくないと思います。お子さんも同じイメージになります。

②:本人の気持ちを「尊重」する

本人の気持ちに共感できたら、次は本人の気持ちを尊重します。

本人に、2つのポイントで聞いていただき、その気持ちを尊重します。

・どう感じてるか
(ex.やりたい・不安・怖い・面倒くさい)

・どうしたいか
(ex.◯◯したい、◯◯したくない、◯◯なら出来そう)

お子さんによっては、説明自体が難しい場合がありますので、本人から出た言葉を拾いながら「◯◯っていうこと?」など、確認しながら話を進めるのが良いです。

ご家族、親族、担任、療育の先生など、本人が安心して話せる人なら、どなたに話す形でも問題ありません。

③:本人が「安心できる要素」を増やす

不登校の子は、他の子より「安心できる人・時間・場所」などが少ないです。

私たちで言うと、健康、人間関係、仕事、お金、住む場所など、最低限の生活ラインが確保されてる為、安心して生活ができます(=生活に支障が出る程の不安は抱えてない)。

ただ、お子さんには、この最低限のライン(安心感)が確保されていない為、不登校という形で、生活に困りが生じています。

そのため、本人が安心できる人・場所・活動・時間を通して、

「◯◯ができて楽しい」
「自分の話を聞いてもらえる」
「自分ことを分かってもらえる」

のように思える機会が必要になります。

よくあるのは、

・家族と一緒に楽しいことをする
・夢中になれる趣味や習い事
・学校や療育の先生と話す
・友達と遊ぶ


などがあります。

④:本人の「ストレス・不安の元」を減らす

先ほどの「安心できる要素」の逆になります。

不登校の子は、他の子より不安・ストレスに感じることが多いです。

・人の視線、話し声
・音やニオイ
・学習の拒否感
・初めての人・モノへの不安感
・非日常感

(学校の行事など)
・見通しが変わること
(やることが変わる)

など、様々になります。周りの人が工夫することで、減らせる不安があれば、対処していきます。

例えば、見通しが立たないてことで不安に繋がってる子の場合は、

自宅で、今日やることを写真や文字を使って、事前に本人に伝えます。

そして学校でも1日が始まる前に、繰り返し見通しを伝えてもらいます。

本人がイメージが湧くように、本人の反応を見ながら、進めていくイメージになります。

⑤:家での役割を任せて「感謝を伝える」

お子さんが、できたこと/手伝ってくれたことに感謝の言葉を伝えましょう。

不登校のお子さんは、自己肯定感が保てるような機会が少ないです。

そのため、家の中で『誰かの役に立った』『今日は○○ができた』など、自分を肯定的に捉えられるよう機会があると、自己肯定感が高まりやすいです。

その自己肯定感を高める1つとして、「家庭内での役割」があります。役割は、本人ができることで嫌いなことじゃなければ、何でも大丈夫です。


例えば、ゴミ捨て、お風呂掃除、洗濯物を畳むなどです。お子さんと話をして、一緒に決めると良いでしょう。

お子さんが、できたことを『具体的に』伝えることです。

理由は、お子さん自身が「今日は○○できた!」と自己効力感が上がるためです。

不登校の子は無気力になることもあります。自己効力感が上がると、自分から「○○やってみよう」と行動に移せるようになります。

例えば、プリント学習をされるなら「算数のプリント3枚全部できたね!」「玄関とお風呂場をきれいにしてくれてありがとう」などです。

不登校の子は、学校に行かなければいけないことを理解しています。その上で行けない自分自身に嫌気が指したり、自信を失っています。

そんな状態でも、できていること/人に感謝されることが実感できると、前を向くエネルギーになります。

⑥:「生活リズム」を整える

学校に行く日に近い、生活リズムで過ごせるようにしましょう(起床/着替え/食事/課題/就寝など)

学校に行くことが困難で、生活リズムが崩れている場合は、

「学校に行く」というのは、触れず「家庭で学校に近い生活リズムで過ごせる」ことに、重点を置かれた方が良いです。

不登校のお子さんの場合、学校が最も厳しい環境なため、家庭でできないことは、学校でできないのは、自然なことになる為です。

生活リズムの改善では「決まった起床時間で起きる」が効果的になります。

最初は大変ですが、起きる時間が一定になると、夜眠りやすくなる為、リズムの改善がしやすいです。

【合わせて読みたい記事】

【不登校ですっと寝てる子】3つの原因・対処法を解説。3つの注意点あり

⑦:「夢中になれるもの」を見つける

お子さんの「夢中になれるもの」を見つけることです。

先ほどの『家庭内の役割』の説明と同じですが、お子さんの自己肯定感が上がる時間、活動、場所、人とのつながりを作ることです。

「これは楽しい!」「これは自信を持ってできる」などの、気持ちになれる好きなことを見つけることが、その子の生活の支えになります。

⑧:家庭内で「すり合わせ」する

本人の安心要素を増やしたり、不安要素を減らせる余地があれば、家族の中ですり合わせをします。

例えば、学校の話題が出ると本人のストレスになるので、家では学校の話題は出さない、などです。

このように家族の理解・協力を通して、本人が過ごしやすい環境作りができます。

⑨:学校に「相談」する

先ほどの “家庭内でのすり合わせ” と同じになります。

本人の安心要素・不安要素が、学校で調整できる内容があれば、担任の先生に相談をします。

特に、支援学級ですと、普通学級とは違い、理解・配慮を得やすい為、協力してもらえる可能性は高いです(中には、協力が得られないケースもありますが)。

例えば、他の子と同じ様に学校に通うことが難しい場合、別室登校という形で、通う時間帯・過ごす時間・取り組む内容など、

本人に無理がない形で出来るのか相談をします(本人の意思があることが前提)

このように、本人の過ごしやすさを増やす為に、学校でできる工夫を、担任に相談するイメージになります。

【関連記事】

【不登校】学校とのやりとりで大切な3つのポイント・2つの注意点

不登校の子に「避けたい接し方」~家では元気だとしても~

不登校の子に「避けたい接し方」を3つお伝えします。



①:「学校に行かせよう」としない

②:「否定・質問攻め」をしない

③:「すぐ解決策を出す」は避ける
  (思春期の子)


①:「学校に行かせよう」としない

不登校の子と関わる際に大切なことは、大人側が「学校に行かせよう」という意識を持たないことです。

不登校の子が学校に行ける様になるには、学校での安心要素があったり、不安要素が少ない状態である必要があります。

その状態を作っていければ、自然に本人の中で「学校に行く」という選択肢が入ってきます。

お子さんの安心や不安のバランスが保たれたことによって、結果として「学校に行く」ができる様になります。

もちろん不登校の理由は様々ですので、どう調整しても難しい状況の場合は「フリースクールに行く」「転校する」など、他の選択肢に進む子もいます。

②:「否定・質問攻め」をしない

不登校の子は、自己肯定感が下がっていて、周囲の言動に敏感なことが多いです。

「◯◯は駄目だよ」
「◯◯は終わった?」
「◯◯するって言ってたよね?」

など、お子さんが心配故の声掛けだとしても、本人からしたら、否定されたり、責められてる気持ちになります。そうなると、自分の殻に閉じこもる様になり、不登校の長期化に繋がります。

③:「すぐ解決策を出す」は避ける(思春期の子)

思春期の子は、自分で考え(主張)、整理(周囲と折り合いがつく方法を見つける)して、解決(行動)することが大切になります。

例えば、その日の宿題がたくさんあり、やる気が出ない状況の場合、

「宿題面倒くさいな(でもやらなきゃ)」
(主張)

「30分休んで、17時から始めよう」
(周囲と折り合いがつく方法)

「17時~宿題を始める」
(行動)

このような流れになります。ただここで、周囲の大人が「宿題はやらなきゃ駄目でしょ。終わらなくなるからすぐやりなさい」と言ってしまうと、

考えを整理する過程が抜けてしまうので、自分で考える(整理)力を養える機会が減ってしまいます。

考える(整理)機会がないと、周りに委ねる癖がついたり依存に繋がる場合もあります。

支援する中でも実際に、中学生になっても自分では決められず、全部母親に決めてもらいたがる子もいます。

もし、本人が考えることが難しい場合は、「◯◯と◯◯ならどっちが良い?」など、選択肢の中から選んでもらうのも、1つになります。

【関連記事】

【不登校の小学生】家での過ごし方は何が大事?4つのポイント・注意点

不登校の子に「準備しておきたいこと」

ここでは、不登校の子に「準備しておきたいこと」を3つお伝えします。



①:「生活リズム」を作る

②:「学習フォロー」をする

③:「学校以外の繋がり先」を見つける


①:「生活リズム」を作る

学校やその他の場所に通うときには、生活リズムが土台になってきます。

つまり、ある程度の “規則的な生活” が必要になります。

家庭ですぐできる方法として、よくあるのは『毎日決まった起床時間に起きる』です。

寝る時間がどんなに遅くても、起きる時間だけは合わせる様にします。

強制ではない本人の意思を必要とする方法ですが、その分効果が出やすい方法でもあります。

よく「寝る時間を早くする」という方法がありますが、これはなかなか難しいです。


夜は大人の介入が難しく、自由に過ごせる環境になるためです。

注意点は、過ごし方が決まっていない状態で、朝早く起きるように言われても、お子さんが行動を起こすのは難しいという点です。

「朝起きて、午前中は○○する」など具体的な過ごし方を決めた上で、起床時間を調整していくことをお勧めします。

②:「学習フォロー」をする

不登校の子の困り事の1つとして、学習の遅れがあります。

授業に出れない分、遅れるのは仕方のないことですが、不登校の子の中には「勉強も頑張りたい」という子は少なくありません。

また学習の遅れは、お子さんの希望される進路によっては、選択肢が減ることに繋がります。

授業を受けずに学習の遅れをカバーできる方法として、私がお勧めしているのは、タブレット学習になります。

本人のペースで進められ、学校の進度にも合わせてくれるので、心強いツールになります。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

【療育支援員がおすすめ】発達障害の子に良い タブレット学習

発達障害に関わらず、不登校など困りを抱えた子にも、共通する内容になります。

学習方法の1つとして、参考になれば幸いです。

③:「学校以外の繋がり先」を見つける

今後も学校に通うことが難しい、本人が強い意志で今の学校に通いたくないという場合は、

「学校以外の繋がり先」が必要になってきます。

可能であれば、事前に候補の場所の情報を集めておき、いざという時にすぐに動ける準備ができると良いと思います。

ここでは、2つのフリースクールを紹介します。

フリースクールは、数が少なく、現実的に通える子は限られているのですが、

最近では、オンラインで繋がれる学校も増えていて、選択肢が広がっています。

参考程度にご覧ください。

①SOZOWスクール


SOZOWスクール【公式ホームページ】


②クラスジャパン小中学園
(公式ホームページ⇩)


一緒にホームページや資料を見る所から始めるのが良いかと思います。


「【不登校】家では元気なのに学校に行かない~2つの理由・7つの接し方~」のまとめ

記事のポイントになります。




元気なのに
 「学校に行かない理由」
家が安心できる場所だから
・家族へ心配をかけないため

不登校の子への
 「9つの接し方」
・本人の気持ちに共感する
・本人の気持ちを尊重する
・本人が安心できる要素を増やす
・本人のストレス/不安の元を減らす
・家での役割を任せて感謝を伝える
・生活リズムを整える
・夢中になれるものを見つける
・家庭内ですり合わせする
・学校に相談する

不登校の子に
 「避けたい接し方」

・学校に行かせようとしない
・否定/質問攻めをしない
・すぐ解決策を出すは避ける

不登校の子が
 「準備しておきたいこと」

・生活リズムを作る
・学習フォロー
・将来役立つスキルを学ぶ場


以上になります。

本記事が参考になれば幸いです。



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